「道化の華」太宰治 〜めくるめく太宰ワールド〜|読書感想文 #10
人間失格と同じく大庭葉蔵が主人公の作品。女性と入水して葉蔵だけが生き残り、その後の入院生活が描かれる。
実体験がベースにはなっているんだろうけど、どこまでが本当のことでどこからが創作なのかがわからない。(私の好きな「富嶽百景」も、最後写真を撮ってあげる場面はリアル太宰とは違うらしい)
時折挟まれる作者の考え(つぶやき?)も、色々なことを言っているけど、どこまでリアルで考えていることなのか、このつぶやきすらも作品の一部として、あえて作っているのではないかとも思えてくる。
「こんな小説だめだ」というようなつぶやきとか…
どこまでがリアルで、どこからがそうではないのか、そういうことを考えること自体が野暮なのかもしれない。
太宰ワールドのなかにぐるぐると引き込まれて、くらくらしていく感覚。めくるめく太宰ワールド。
それはそうとして、自分を慰めるために書いたのかな?とか思ったり、私の心に響く言葉もあったりして。
いま書きながら思いました。
自分も「道化」として生きてきたんだなと。
それを悪いとは思わない。生きてくるための手段だったんだ。
これからは、偽りの笑顔ではなく「腹の底から」笑えるようになりたいな。
…
めくるめく太宰ワールドにくらくらしながら、真面目に読むのが馬鹿らしくなったけど、しっかり私の心に響いているのだから、何か悔しいな。
よし、仕事に行きます。
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