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あの子が書いた私の名前
『親友』
『花鳥風月』
『わたしの名前』
あの子が描いてくれた習字
貰ってからずっと部屋の壁に飾ってある
あの子は「適当に書いた」と言うけれど
紙の上で強かに踊るあの子の字が
一人暮らしの静かな部屋を照らすので
秒速7メートルの人生
昨日の大雨はさよならを言うにはちょうどいい土砂降りだった。
アスファルトを打つ雨の音は台湾の雨季らしい、声を掻き消すほどの激しさで、遠くで響く地鳴りのようだった。
雨粒の一生ほど短いものはないと思う。
でも宇宙からみた人間など、雨粒の一生にも満たないのだと、秒速7メートルにも満たないのだと思う。
明日も雨かな。
今日の雨粒を両手ですくって、明日に連れて行くことはできるかな。
雨粒は明日を
好きって言う代わりに、
夜明け前のキッチンでクッキーを焼こう
海岸に座って海を見よう
なんとなく隣町まで行こう
なんでもない日にワインを飲もう
たまには好きなものだけ食べよう
同じ匂いの洗濯物を一緒にたたもう
素敵じゃなかった日の終わりにお花を買おう
眠れない時は朝日が昇るまで待とう
世界はこんなにも広いのにちっとも丸くないねって笑おう
いつまでも捨てられないもの
・可愛いくてつい切り取ったペットボトルのラベル
・何枚も連写してある写真
・「ノート貸してくれてありがとう」の付箋
・見栄
実家を出た時、18年分の荷物を冬物の服を入れるケース一つ分だけ残して、他はあげるか捨てるかして来た。
私は断捨離が得意だけど、きっとどこへ行くのにも連れて行くもの、どこに行っても捨てられないものが私の人生の大切なものなのだと思う。
このもの(形があるにせよ無いにせ