「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」のステージに立ち続ける”覚悟”とは
【8/4(土)「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018」 @ 国営ひたち海浜公園】
初日の参加者は、公表値で約6,9000名。
間違いなく日本最大級の夏フェスであり、その規模感は、突如一つの「街」が現れてしまった、と言い表してもいいかもしれない。
2013年から昨年までの5年間、僕はこのフェスの発展を運営サイドの目線から見てきたが、参加者の目線でこのフェスを体験したのは今年が初めてだった。
1日でいくつものアーティストのライブを観ることができたが、数日経った今でも、鮮烈な余韻が残っているアクトが2つある。
・欅坂46
エースである平手友梨奈の絶対的才能。
そして、彼女以外のメンバーたちが胸に抱く、平手友梨奈への絶対的信頼。
それらがステージ上で美しく折り重なった時に生まれる爆発力。
あまりにも凄まじすぎる。
昨年、初めて彼女たちがGRASS STAGEに立った時、一瞬にしてひたちなかの空気が変わったことを今でも鮮明に覚えている。
真夏の炎天下にもかかわらず、まるで会場の空気は凍りついたようだった。
欅坂46の「狂気」をはらんだパフォーマンスが与える衝撃は、「アイドルがロックフェスのメインステージに立つ」なんていう次元を遥かに超えたものだった。
そして、それは今年も同じであった。
「悪意」「洗脳」「欺瞞」「現実逃避」といった刺激的な言葉たち。底知れぬ情念を体現するような怪奇的なフォーメーションダンス。
そう、彼女たちの全身全霊のパフォーマンスは、明らかに常軌を逸している。
しかし昨年と違ったのは、欅坂46の「狂気」にシンクロするかのように、曲を重ねるにつれて、客席エリアのボルテージが上がり続けていったこと。
ラストに披露された"ガラスを割れ!"は、完全に僕たちの新しいロック・アンセムと化していた。
本来ロックバンドが担っていた「反骨」というテーマを、今、最も大胆に、そして最もポップな形に昇華させて体現しているのは、間違いなく彼女たちだ。
だからこそ、欅坂46は「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」の参加者に強く求められているのだと思う。
・UVERworld
2年ぶり、3回目の出演。
しかし、彼らと「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」の物語はあまりにも長い。
UVERworldが『ROCKIN'ON JAPAN』の初表紙を飾った2013年6月号のインタビューにおいて、TAKUYA∞は次のように発言をしている。
「僕はUVERworldっていう名前を聴いて勘違いする人たちに対して、そんなに不思議だとは思わないんですよ。そういう人たち、ほんとにたくさんいる。名前は知ってるけど音楽聴いたことないって人がほとんどだと思うんですよ。俺はそれをチャンスだと思ってる。」
今となっては考えられないかもしれないが、UVERworldと「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」を軸とした邦楽ロックシーンの間には、一定の距離があった。
しかし彼らは、2015年、並々ならぬ覚悟をもって初出演を果たす。
そして、破格のレベルまで研ぎ澄まされた演奏と歌をもってして、見事に満場のGRASS STAGEを掌握した。
あれからたった数年、今やUVERworldは「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」の完全なインサイダーとなった。
それでも、今回のアクトの通奏低音となっていたのは、やはり壮絶な緊張感だった。
TAKUYA∞は、数万人を相手にしながらも、他の誰でもない一人ひとりの「あなた」に対して真っ直ぐに向き合う。
妥協や馴れ合い、生半可なコミュニケーションを一切排除しなければ、未だ見ない「あなた」の心を動かせはしないということを、彼は痛いほど分かっているのだろう。
そしてUVERworldのライブは、僕たち受け手に対しても一定の覚悟を求めてくる。
"ALL ALONE"の《答えてみろよ》という一節が鋭く胸に突き刺さるのは、だからこそだと思う。
彼らは、そのようにして愚直に、自らを取り巻く状況を覆してきた。
「UVERworldという名前を聴いて勘違いしている」最後の一人と、音楽を通して真摯に向き合うまで、彼らの挑戦は終わることはない。
だからこそ、UVERworldと「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」の物語も、ここからまた続いていくのだと思う。
※本記事は、2018年8月8日に「tsuyopongram」に掲載された記事を転載したものです。
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