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小学校社会科の授業づくり 3つのポイント ~単元編~

 

 国語や算数に比べ、授業を考えるのが難しいと言われることの多い社会科。特に小学校は、担任が多くの教科を受け持つため、教材研究や授業準備にいつも十分な時間が割けるわけではありません。


 しかしながら、子どもが自分の力で追究して、学びを深めていく授業にしたい、と思っている方も多いと思います。


 ここでは、小学校の社会科の授業を考える上で、重要なポイントを3つに絞り、個人的な見解でランキング形式にしてみました。




第3位 単元を貫く単元を貫く問いを設定する



第3位は、


単元を貫く問いを設定する


です。

 

 毎時間、教師から問いを提示していては、子どもは教師の提示を常に待つ形になり、受け身の学習になりがちです。


 
 また、子どもは異なる教科、異なる内容を毎日学習しており、そのたびに「頭のチャンネル」を切り替えている状態です。異なる問いに毎回意識を向けていくのは結構大変ですし、ある程度の期間をもって問いを追究していくことで、学びも深まっていきます。


 

 例えば、6年生の社会科、歴史の幕末から明治初期の学習において、「明治の新しい国づくりは、何を目指して、どのように進められたのだろう」という問いを設定します。


 単元の中では、岩倉使節団や廃藩置県、富国強兵などの出来事(社会的事象に関する情報)について学んでいきます。

 また、坂本龍馬や大久保利通といった、影響を与えた人々についても学習します。

 歴史好きな方ですと、次の一万円札の顔となる渋沢栄一、欧米でアジア人と小馬鹿にされる使節団の中で、異常に欧米女性にモテたという記録がある木戸孝允、といったように、うっかり小ネタを話してしまい、授業の残り時間がなくなるといった現象も起こりうるでしょう。


 これらは、そのままでは全て個別の情報に終始してしまい、関連付ける思考力のある子は、因果関係等を結びつけて、明治維新という社会的事象を捉えていきますが、そうでない子にとっては、ぶつ切りの情報の羅列に過ぎなくなります。

 

 そこで、単元を貫く問いに帰ることで、「何を目指したのか」「どのように進めたのか」と、関連付けて考えやすくなります。

 単元の末に、改めて貫く問いに帰ることで、子どもは単元の学習をさかのぼり、社会的事象を捉えていく機会となります。



 

 しかし、設定するといっても、いきなり教師が問いを出しても、子どもにとっての問いになるとは限りません。


 導入時に、子どもが疑問をもつようにすることは、念頭に置く必要があります。

 「導入が大事」と言う方がいらっしゃいますが、それはこの「問い」の部分に関係するからだと考えられます。



第2位 単元で働かせる「見方・考え方」を明確にする


 第2位は、

単元で働かせる「見方・考え方」を明確にする

です。


 正確には、「社会的事象の見方・考え方」です。


社会的事象を


位置や空間的な広がり
時期や時間の経過事象や
人々の相互関係などに着目して捉え、


比較・分類したり、総合したり、
地域の人々や国民の生活と関連付けたりすること。


とされています。


前半が「見方」、後半が「考え方」です。

 特に「見方」については、中学校の地理、歴史、公民分野につながる「見方」を、総合的に働かせていきます。



 例を挙げると、4年生「わたしたちの都道府県のまちづくり」では、自分たちが住む都道府県の中で、主に特色ある地域について学習し、都道府県の特色を捉えていきます。


 その中で、複数の地域を学習することになりますが、その際、いくつか着目する項目を設定することで、「社会的事象の見方」が働かせやすくなります。


例えば、どの地域についても

・地形や自然条件
・交通網
・人口
・有名な産業

といった項目について調べる、とします。


 多くの地域は、地形や自然条件によって、得意な産業が生まれています。
 また、特に工業系の産業については、交通網が大きく関わるでしょう。
 さらに、産業が盛んな地域は人口が多く、人口が少ない地域は自然が豊かであることが多いです。


 これらを比較・分類したり、総合したりすることで、地理的な特色を捉えやすくなり、人々の生活についても、具体をもって関連付けやすくなります。


 
 各地域によって特色は変わりますが、働かせる「見方・考え方」はあまり変わりません

 子どもがどの地域についても、「見方・考え方」を働かせることができれば、自分で追究できる場面が増えていくと考えられます。



第1位は…


さて、第1位です。
単元を構想する上で、自分は最も重要だと思っています。



それは…




単元末の子どもの姿を描く


です。


 単元の最後に、子どもがどんな姿になっていればいいか、というイメージが鮮明であればあるほど、単元計画がスムーズになります


 言い方を変えれば、単元末の授業で、子どもがどのような言葉で語ったり、まとめたりしてほしいかという「ゴールイメージ」を明確にすることです。


 学習指導要領や単元目標などは、抽象的な言葉で書かれることが多いです。
 そのため、授業における子どもの表現が、具体的にどのようになってほしいかというのは、案外明確化されない場合もあります。



 例えば、5年生の「我が国の工業生産」の単元を組む場面を想定してみます。


 単元末の子どものイメージが

 日本の工業は、日本中で様々なものがつくられている。中でも、自動車づくりは、安全で便利な車になるように、各地にある協力工場が部品を正確につくり、組み立て工場をもつ会社が自動車を設計したり完成させたりといった役割分担するなど、工夫をしている。

といったものでれば、単元の主が自動車産業になり、一つの教材について情報収集を細かくでき、知識・技能面を丁寧に育成する、その上で思考力、判断力、表現力を発揮する単元づくりになることが考えられます。



また、


自動車づくりでも、カップラーメンづくりでも、多くの部品や材料を日本だけでなく外国からも輸入したりして製品をつくり、しかも一つ一つ点検して、安全なものがたくさんつくれるように工夫をしている。


とすれば、単元の中で自動車産業と即席麺産業を扱い、それらを比較・統合するといった、思考力、判断力、表現力を重視した単元づくりになります。



さらに、

自動車づくりでも、カップラーメンづくりでも、多くの部品や材料を日本だけでなく外国からも輸入したりして製品をつくり、しかも一つ一つ点検して、安全なものがたくさんつくれるように工夫をしている。だから私たちは、安全な製品を当たり前のように使うことができる。


とすれば、思考力、判断力、表現力を駆使して獲得した概念的な知識から、自分たちの生活に結びつけることに重点を置いた単元計画になります。


 

 ただし、年間計画によりますが、単元にかけられる時数は無尽蔵にあるわけではないため、子どもに学ばせたいことをあれこれ入れすぎると、詰め込みすぎて「寄せ鍋」みたいな単元になってしまいます。


 子どもが、自分で学びを深めていると実感できるような単元計画を組むことができれば、とても素晴らしいです…というか、教師側も授業をするのが楽しみになるのではないでしょうか。



4 終わりに

 

 いかがでしたか?


 あくまでざっくりとした3つのポイントを挙げてみました。

 この3つが押さえてあれば、単元が大きくブレることはないと思います。

 

 いずれにせよ、1時間1時間の授業づくりに追われる前に、単元スパンで大きく授業を考えてみてください

 そうすれば、1時間の中で多少うまくいかないことがあっても、修正できると思います。


 子どもたちが、自分の力で学んでいく社会科の授業づくりにつながれば幸いです。



 最後までお読みいただきありがとうございました^^



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