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コロッケそばを広めよう

帰省したときに家族との会話の中、立ち食いそばの話題が出ました。

「やっぱり月見。卵ってそばのときだけは生卵がええんよね」
「うどんの陰に隠れがちやけど、きつねそばも定番」
「王様はやっぱ天ぷらやわ。えび天が一番や」
「天ぷらやったらかき揚げも捨てがたいんよね」
「立ち食いやから、ちく天もええんちゃう」

🍜好きですコロッケそば

そんな会話の中。

「コロッケそばが一番かな」

「え?」

コロッケそば。好きなんですよ。でも自分がその名前を出したとき。家族はみんな不思議そうな顔になりました。

「なに、それ?」

こんなリアクションです。

🍜ご当地グルメだったのか

調べてみると、コロッケそばはどうやら東京はじめ、関東の立ち食いそばの人気メニューらしいんですよね。つまり関西ではなじみのないメニューだったようです。

実は地元にいた頃、立ち食いそばってあまりいく機会がありませんでした。利用する駅のいくつかで見かけたことはあります。でも、学生時代は家に帰ればごはんが待っている環境だったし、新卒で勤めた地元のオフィスは車通勤で、電車に乗ることが少なかったんですよね。

つまり、自分にとっての立ち食いそばで食べたコロッケそばの記憶は、上京して以降の記憶だったということになります。

なんか身近すぎて、もっと昔から通ってたように思っていたのですが、記憶って曖昧なものなんですね。

🍜あらためてリサーチしてみました

今回はそんなコロッケそばを作ってみることにします。

あらためてコロッケそば歴が浅いことを自覚したので、まずはリサーチ。

すると富士そばさんのこんな記事に巡り合いました。なるほど。たしかに関東地方のご当地グルメだったんですね。と、あらためて知らされます。

さらに調べていくと、どうやら元祖は箱根そばさんらしいということがわかりました。

🍜よし、作ろう

情報がそろったところで、いよいよトケイヤkitchenのコロッケそば作りがスタートです。

コロッケのタネを準備したら、ふたつにわけます。

その理由はこれ。

コロッケそばの元祖、箱根そばさんのコロッケはカレーコロッケだということで、カレーコロッケも作ります。コロッケ2種類。わくわくしてきました。

区別がつくように、カレーコロッケのほうには、目印にカレー粉をまぶしておくことにしました。このあと衣に包まれて、それは見えなくなるんですけど。ちょっと考えたらわかることでしたね。でも衣をつける前の、この写真の見栄えはよくなった気がします。

コロッケの詳しいレシピは以前の記事で紹介していますので、よかったら見てみてください。

続いてトッピング準備。

コロッケそばといえばこちら。わかめとねぎです。

もちろん、ちく天を載せても卵を載せてもOKなのですが、あまりいろいろ載せると、コロッケそばと呼びたくてもほかの主役も名前に入れたほうがいいような気がしてきて、“コロちく天そば”とか“月見コロそば”とか、なんだかわからなくなってしまいそうなので、今回はシンプルにいきます。

おそばを茹でます。

めんつゆは濃いめの関東風。これも上京して初めて食べるときドキドキしたやつです。

関西のおつゆは色が薄いので、それに慣れていると、ものすごくしょっぱいんじゃないかと身がまえてしまう見た目なんですよね。食べるとそうでもないんですけど。

コロッケはカレーとふつうの1個ずつ揚げていきます。豪華です。

高めの温度で一気に外側を固めるように揚げます。そうすれば破裂する心配はほぼなくなるので安心。

コロッケを揚げるのが苦手という声を聞きますが、その理由は破裂させてしまうからというのが多いようです。破裂の原因を考えてみると、外側の衣がやわらかいうちに、中のタネの温度が上がって膨張することにあります。

なので、中が膨張する前に外側をガッチリと固めてしまえばOK。中身はもともと加熱してあるので、とんかつやメンチカツのように、揚げ足りなくて中身が半生という心配は無用。思い切って衣を固めることを優先して揚げていきましょう。

🍜コロッケそば完成

おそばの上にコロッケをどどーん。できました。

もう1個はおかず的に食べてもよし、あとから追いコロッケで載せてもよし。

ちなみに写真で見てわかるように、案の定どっちがカレーコロッケなのかはわからなくなりました。そりゃそうですね。

🥔コロッケはいつ崩すのか

食べはじめると気になるのは、いつコロッケを崩すのか。最初はおつゆをずずっと啜って、それからおねぎをからめてそばをひと口。いきなりコロッケ崩しの術を使う人は少ないはず。

おそばに載せてみて気づくのですが、コロッケって、衣がしっかりしてます。天ぷらそばの天ぷらって、おそばに入れたらすぐに衣がどんどんつゆを吸ってふやけていくんですけど、コロッケの衣って汁を吸ってもそれほどふやけないんですよね。

だから逆にコロッケのほうからも、それほど積極的に油がおつゆのほうに出ていく感じでもありません。つゆに浸かった下の面は衣がしんなりとしはじめても、上の面はかりっと揚がったまま。この状態のコロッケをひと口かじると、下はしんなり上はかりっとのちょっと不思議な食感が楽しめます。

そしていよいよ、コロッケを崩すときがやってきます。

いっきにコロッケの風味がそばつゆに溶けだします。お肉の旨味、じゃがいもの甘味、そして揚げ物の油の風味でおそばの表情が激変するんですね。そしていったん崩すと、それまではあんなに鉄壁だったコロッケがどんどんと溶けていきます。

ねぎのしゃりしゃりした食感とわかめの磯の風味をアクセントに、形を失っていくコロッケをそばとともにいただきます。

おそばと具を食べ終わったあと、丼に残るおつゆに漂うコロッケの名残。温かいそばつゆに油が溶け込むと、コクが増します。寒い日にずずっとすすりたいですね。

最後にちょっと味変のワンポイント。おそばに載せたコロッケにウスターソースをたらします。これがけっこういいんですよ。そばつゆとソースってどちらも親しみありますが、このふたつが組み合わさるのって新鮮。以前紹介した、ご当地グルメのつゆ焼きそばのときに気に入った組み合わせだったりします。

🍜つゆとコロッケの関係性

ふと思ったのですが、コロッケそばが東京中心に関東では定番メニューになっているのに、関西のほうではあまり知られていない理由は、そばつゆにあるのかもしれません。

関西のそばつゆって関東のものと比べると色が淡くて、うどんだしのような感じなんですよね。ザ・和な風味です。そのそばつゆに洋食出身のコロッケを入れた姿を思い浮かべてみたら、なんとなくですがトッピングの味が重すぎるように思います。

それと比べて関東風のかつおの風味の強い色の濃いおつゆは、コロッケの洋風の味わいとの相性がいい。負けないんですよね。

こんど帰省したら、家族の集まる日のお昼ごはんに、濃口醤油とかつおだしベースのそばつゆで作ってみようかなと思ったりしています。きっとみんな好きなんじゃないかな、コロッケそば。


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