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哲学のこと

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私は哲学をやってる大学院生ですから、たまには専門のことでも。
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本屋で時間を止める

本屋で時間を止める

前々から何度か言っていたことですけれど、
昨今の文芸への失望が私には抑えられません。

しかし本屋にはよく行きます。

色々落ち着いたので、この間久しぶりに本屋に行ってきました。
売れてまっせと言わんばかりの平積みのものから、本に挟まれて擦り潰れそうなものまで。
題名の文字列をひたすら目で追って、今私が読むべき本はないかと探して回る。
目が留まると、手に取って目次だけパラっと見ます。

と、いうつ

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オッペンハイマーみた。物事の道理がわからん学者という生き物。

オッペンハイマーみた。物事の道理がわからん学者という生き物。

オッペンハイマー見ました。
ダークナイト以来クリストファー・ノーラン好きなので。

ほぼフィルマークスで書いたレビューの転記になりますが、感想つらつら。

ネタバレとかあんまり気にしなくていいと思います。
むしろ知ってたほうが見易いはず。

何せ難しすぎて上映中2回寝ました。

会話のシーンばかりだから、前の方の座席に座って首が痛かったことも相まって、字幕追うのにとても疲れてしまった。

まぁでも

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言葉かどうか微妙なものと言葉

言葉かどうか微妙なものと言葉

高校生のとき、遅く来た中二病をこじらせてよくよく考えていたことですけど。
「言葉って伝わらんなぁ」と。

「私」と「あなた」がいて、
「私」が葉っぱの舟に乗せて水に浮かべた荷物が、
「あなた」に届くまでにほとんど全部水没して、
結局届くのは葉っぱの舟だけ。
みたいな不毛感。
もちろん「あなた」から「私」も同様。

院まで来て、本読んでレポート書いてレジュメ書いて、それを繰り返して最近やっと実感して

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暑い。「自然にしとく」って何ですかね。

暑い。「自然にしとく」って何ですかね。

この間アルバイトで店先の雑草を抜いていて。蚊やありんこが活発になり始めて。
水道の水たまりにタガメが死んでしまって浮いていて。
店先を掃いていたらコガネムシが死んでしまっていて宝石みたいに落ちていて。
エアコンの排気が熱くて。
室内に戻ったらエアコン入れてるのにショーケースが結露するくらい暑くて。

「自然って何だろうなぁ。」
「何が自然なんだろうなぁ。」
と考えていました。

字義的な意味ではお

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25歳一日目。「哲学は自覚の学である」。

25歳一日目。「哲学は自覚の学である」。

今日ってかもう昨日になるところですが、誕生日だったんですよ。25歳になりました。
色々な人が祝ってくださった。文字通りとても有り難いことです。

しかしもうすっかり大人なので、誕生日といっても普通の日常があって、学校があって、哲学しておりました。

今日は学校で彼氏が発表担当だったので、昨日の晩から付き合って議論して、半ばピリピリしながらごはん食べてささやかに祝ってもらって。
朝ふつうに起きて、日

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哲学やるきっかけ

哲学やるきっかけ

先日ちょっと書きましたが、私は元々「地理」が好きです。今でも好きです。

地理はすごいよ。
本当に、世界を外側から見て、事実を確認していって繋げる作業。
学問の集大成感がすごい。

岩石と海の原型しかなかった生まれたての星の状態から、地形ができて、天候ができて、その土地の環境ができて、人類の各々独自の文化形成に至るまでの歴史を説明する。その意味で歴史でもある。

もう一つ。たとえば、内陸部が寒い理

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西田幾多郎の論文のタイトルがいちいちカッコイイ件

西田幾多郎の論文のタイトルがいちいちカッコイイ件

西田幾多郎の論文のタイトルが毎度毎度カッコイイ。
主要な著書であり日本で100万部売れた『善の研究』はそうでもない。ふつう。
先輩に聞いた話だと、元のタイトルは「純粋経験と実在」だけど、出版社が『善の研究』とつけたとか。納得。

「自覚における直観と反省」
「働くものから見るものへ」
「場所」
「場所的論理と宗教的世界観」
などなど。

特にカッコイイのが、
「私の絶対無の自覚的限定といふもの」。

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