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思い込みの心理学
あなたは思い込みが激しい方ですか?
それとも違いますか?
以下に、
社会心理学の実験で使われている問題をのせました。
「自分は客観的に物事を見られるほうだ」
と思う人は、ぜひ考えてみてください。ちなみに僕はあっさりひっかかりました笑
【ドクタースミス問題】
ドクター・スミスは,アメリカの有名な病院に勤務する腕利きの外科医。
仕事中は常に冷静沈着、大胆かつ繊細で、州知事にまで信望が厚い。
ドクター・スミスが夜勤をしていたある日、緊急外来の電話が鳴った。
交通事故のけが人を搬送するので執刀してほしいという。
父親が息子と一緒にドライブ中に谷へ転落し、車は大破、父親は即死。
子供は重体だと救急隊員は告げた。
20分後、重体の子供が病院に運び込まれてきた。
その顔を見てドクター・スミスはアッと叫び、そのまま茫然自失となった。
その子供はドクター・スミスの息子だったのだ。
さて、
交通事故にあった父子とドクター・スミスの関係は?
父親は即死・・・?
あれ?
となった方が多いのではないでしょうか。
今回はこの問題の根底にある思い込みの心理学について深掘りしていきます。
無意識に持っているステレオタイプ
ドクター・スミス問題に対して、
多くの人が頭をひねって次のような回答をひねり出します。
「ドクター・スミスは離婚しており、元の奥さんはドクター・スミスとの間に生まれた息子を連れて再婚した。
運び込まれたのはその息子で、亡くなった父親は再婚相手」
もちろん、この回答でも間違いではありません。
ですが、もっとシンプルな答えがあります。
「ドクター・スミスは亡くなった父親の妻」
という答えが。
社会集団に対する固定的なイメージや信念のことを、ステレオタイプといいます。
そしてステレオタイプは、様々な判断に影響を及ぼします。
例えば、
「著名な外科医=男性」といった思い込みもそうですね。
例えば、
「高齢者は頑固だ」
というステレオタイプを持っていると、
高齢の患者さんを前にしたとき、本人をよく知らないのに「頑固だ」と決めつけた対応をしてしまいます。
「不定愁訴を持っている患者はメンタルの問題」
というステレオタイプを持っていると、
本来ならチェックするべき理学的検査を無意識に飛ばしてしまう、ということも起こり得る。
ステレオタイプには様々な種類があります。
文化の影響も受けますし、自分の生まれた世代の考え方も影響するでしょう。教育を受けた環境によっても変わるし、家族関係によっても変化します。
ステレオタイプは無意識に持っている思い込みなので、そこに気がつくのは実は難しいんです。
思い込みを強化する確証バイアス
確証バイアスとは、
思い込みから生じた考えを支持するために、自分にとって都合の良い情報ばかりを集めてしまう傾向性のことです。
先ほど挙げた、ステレオタイプの考え方を強化するバイアスですね。
例えば、血液型占いがそう。
血液型と性格特性とは全く関係がない、というのは科学的に証明されています。
しかし、
「A型は几帳面」
というステレオタイプの思い込みを持っていると、A型の人に対しては几帳面な性格を表すようなエピソードを想起しやすくなります。
誰にだって几帳面な面があれば、大雑把なところもあります。
ところが、
「この人はA型だから」と思えば几帳面なところが真っ先に頭に浮かび、
B型だと知れば大雑把な面が目に付くようになる。
不思議ですけど、そういうものなんです。
そして、医療の現場でもこの確証バイアスは問題視されています。
例えば診察の時に、
ありがちな疾患に合致しない検査結果を無視したり、他の疾患の可能性を認めないことなどが挙げられます。
「70代で腰と下肢の痛み?はいはい、脊柱管狭窄症でしょ」
みたいな感じですね。
画像診断で狭窄症があるからといって、本当に神経根の圧迫が痛みを出しているとは限らないのに。
皮肉なことに、
患者のカルテや過去の病歴を確認すると、かえって確証バイアスがかかってしまうことがあります。
また、
疾患の有病率や患者の特徴を重視しすぎることも、確証バイアスの原因となります。
これらのステップは正しい診断を下すために不可欠ですが、誤診を招く可能性があることも考慮しなければいけません。
確証バイアスから逃れる方法
僕のような理学療法士にとっては、
診断名だけを見てリハビリ介入すると確証バイアスにかかりやすくなります。
一度医師の診断した病名は横において、
きちんと整形外科テストなり徒手テストなり、理学的検査をするべきです。
確証バイアスから逃れる一般的方法には以下の方法があります。
①異なる意見や情報に触れる
今の時代、日頃からお気に入りのSNS情報しか閲覧しない人が大体数です。
Googleの広告自体がそういう仕組みなので、構造的に他分野の情報に触れる機会そのものが少なくなっている。
そのため、
意識的に反対意見の情報をチェックする、といった対策が必要になってきます。
②自分の信念を客観的に評価する
自分自身を俯瞰して見る能力が大切です。
信念を持っていること自体は良いことです。自分の考えこそ正しい、と思い込まない限りは。
自分の考えに反対派がいるとしたら、どんな理由だろう?
そういった人とも協力関係を築くためには、どういうアプローチが有効だろうか?
と自分自身に問いかけるのが効果的です。
③他者との対話を通じて異なる視点を理解する
そういう考え方もあるのか、と感心した経験は誰しもあると思います。
自分にはない発想は、他人から聞くしかありません。
自分にない考えを、自分でネット検索することはできませんから。
もしかしたら、他者との対話以上に視点を増やす方法はないのかもしれません。
総じて言えることは、
自分の考えや信念、また言動に対して注意を向けて、意識していなかった偏見を意識することがポイントになりそうです。
他人に対する思い込みだけでなく、
自分自身に対してかける思い込みは度が過ぎると心身を害します。
自分で自分に確証バイアスという名の呪いをかけないように、気をつけたいですね。
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理学療法士を11年やってきたけど、自分のパーソナリティを今すぐ理解して欲しい。学校では「患者や同僚との関わり方」は教えてくれない。真面目な人ほど対人関係でメンタルを病みやすい。でも、自分の根っこを知ると変われる。パーソナリティを作る”5つの特性”について分かりやすくリプ欄に書きました
— 寺島佑@理学療法士/身体心理学 (@re_1021_) February 27, 2023
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