テニス上達メモ024.「自己肯定感」が低いと、試合で実力を出せない
▶試合になると練習のように打てなくなる
試合になると、練習のように上手く打てなくなるというご相談をいただきます。
もっともです。
練習はそういうもので、試合はそういうものだからです。
不慣れなうちは、試合では練習の50パーセントの力でも出せれば御の字でしょう。
▶「内面」が「外面」に現れる
「練習と試合は別物」。
この事実を受け入れるところが出発点です。
練習ではミスしてもプレーを続けますけれども、試合だと途切れます。
ペースや流れがまったく違います。
練習ではポイントがありませんけれども、試合ではあります。
たとえゲーム形式の練習で、外面的にやっているプレーは試合と同じだとしても、内面的に感じている緊張感や不安感はやはり別物です。
そして内面が外面に現れます。
ですから同じテニスだとしても、「練習と試合は別物」。
この認識がないと、「練習だと上手く打てるのに……」「どうして試合になると上手く打てなくなるのだろう……」などと焦って、どんどんネガティブな循環にはまり込んでしまいます。
▶練習は「プライベート」、試合は「オフィシャル」
ところで私の見立てによると、練習と試合との実力差が激しく出るプレーヤーは、性格的に「本音」と「建前」の乖離が大きい印象です。
つまり、裏表が激しい。
いわゆる内弁慶で、プライベートな練習だと猛々しく自信過剰である一方、オフィシャルな試合になると怖じ気づいて自信をなくしてしまう。
ですからそういう人は、本音と建前の乖離をなるべく小さくして、完全には無理だとしても、裏表があまりないように生き直す。
そのような取り組みが有効です。
▶「過剰な気遣い」は打算。それは「ディスリスペクト」
たとえばプライベートの家族にはとても厳しいのに、オフィシャルな職場では過剰に気遣う人は、家族にはもう少し優しくして、職場ではもう少し気ままに振る舞ってみる。
気遣う振る舞いの「何が問題」なのかというと、「演じるモード」ですから、過緊張にさいなまれるのです。
演じてしまう。
それが疲れるのです。
ストレスなのです。
しかも演じて取り入ろうとする打算が、相手に対する嘘になっているディスリスペクトなのです。
▶「自己肯定感」が低いと、本番に弱くなる
「素の自分」を出しても、大丈夫な自分。
これが「自己肯定感」です。
自己肯定感が低い人は、素の自分のままでは受け入れてもらえないと思い込んでいる。
あまつさえ素の自分を出したら「危険!」「怖い!」とすら(潜在的に)感じているから、オフィシャルな試合で普段どおりの実力が、なかなか出せなくなります。
そしてそういうキャラクターだと繰り返しになりますが、プライベートでは猛々しく自信過剰だったりする。
この乖離が、練習では上手く打てるのに、試合になると実力を出せなくなるギャップを生み出しています。
つまり、自己肯定感が低いと、試合で普段の実力を出せなくなるのです。
▶「迷惑をかけてはいけない」思いが「いちばん迷惑になる」
自己肯定感が低いと、「ダブルスパートナーに迷惑をかけたら機嫌を損ねる」「負けたら周囲から白い目で見られる」などと感じてしまいます。
それが、パートナーや周囲の人たちに対するディスリスペクト。
そんなことで「機嫌を損ねる」「白い目で見る」などと相手の許容度を低く見積もっているからです。
ですから、迷惑をかけないように、白い目で見られないように必死です。
もちろん、そのような心理状態では、普段の実力を発揮するのはますます難しくなります。
ですからそれは、最大級の裏目。
余計にパートナーに迷惑がかかるのです。
▶「本当の自分」を生れて初めて生きる
どうすればいいでしょうか?
プライベートでは、ほんの少しずつでも優しさを尽くす。
オフィシャルでは、ほんの少しずつでも気ままをさらす。
先述したように、素の自分を出すのが「危険!」「怖い!」と感じている人にとっては、ハードルの高いチャレンジになるかもしれません。
そこで、「自己肯定感」です。
「自己肯定感」と「素の自分を出す」は、完全に正比例の相関。
つまり自己肯定感が高まると、素の自分を出すハードルはグググーッと低くなるのです。
「人から嫌われても構わない」と腹をくくっても、自己肯定感が低いとやっぱり嫌われるのは「怖い」のです。
ですから、『嫌われる勇気』のその前に。
素の自分として振る舞えるようになったとき、改めて「本当の自分」として生き始めるスタートラインに、立つことができるのですから。
▶テニスで「自己肯定感」は取り戻せる
「偽りの自分」を演じてきた過去から、「素の自分」を生きるこれからへ。
縁あって始めたテニスを通じて、幼かったころには誰もが満ち溢れていた自己肯定感を、大人になった今、取り戻すのです。
自己肯定感が回復すると、あんなに大変と思えていた「素の自分」を出したほうが、ずっと楽になります。
先述した「演じる」気遣いがないから、疲れないし、ストレスにもさいなまれません。
「いい人をやめる」「感情を出す」「感謝する」「怒らないようにする」「許す」「自分ファースト」「完璧主義を手放す」「傾聴する」など、ありとあらゆる自己啓発的な内容も、自己肯定感がベースとしてないと無理筋です。
根っこが自己否定だと、すべてひっくり返るからです。
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