結婚相談所で出会った夫婦TW

結婚相談所に登録した時からの道のりを、夫と妻の二つの視点から書いていきます。

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最近の記事

結婚相談所に行ってみた その11

金曜日の夜、実家で在宅ワークを終えた僕は、商店街に佇む昔ながらの居酒屋に歩いて向かった。 今回は、Z君と、同じく地元に住んでいる同級生のK吉とG也の4人で会うことになった。 僕の名前で居酒屋を予約したので、今回はギリギリではなく10分前に着いた。 すると、なんとK吉がすでにいて、座敷の席に座っていた。 「よお、W男」 「早いな、K吉」 「久しぶりにW男に会うんだから、早めに来たよ」 「マジで久しぶりだな。5年ぶりくらいか」 家業の日本酒作りを継いだK吉が地方紙に取り上げられた

    • 結婚相談所に行ってみた その10

      「おれさぁ、妻にもW男の話をしてんのよ」 僕は、新しく会ったE子さんの話を、地元で一緒に育った友人、Z君にしていた。 Z君は関東の大学に行ってから地元に戻り、数年前に年上の女性と結婚して、仲睦まじく過ごしている。 「うちの妻、これまでは興味津々でW男の話を聞いてたけどさ、ヒールを履いている女性を遠い川まで歩かせたなんて聞いたら、めっちゃ怒るだろうね。女の立場から」 「いや、しょうがないだろ。俺だって、一応聞いたんだから。『ヒールですけど、川まで行けますか?』って。そしたら『ぜ

      • 結婚相談所に行ってみた その9

        「ちょっとアルファベットが増えているから、おさらいだけどさぁ」とZ君が言った。 Z君と僕が最後に話してから一週間が経っていた。その間に起きたことを僕が話そうとしたが、その前にZ君は事前情報を確かにしたいらしい。 「先週の情報によると、今回は新しくE子さんとF子さんに会う、と。その前にB子さんと会って、そのB子さんは、W男のコートを持っているんだよな」 「そう! その通り」 「B子さんはこれまで好印象で、運動をすんげーしていくら歩いても疲れない、と」 「すごいな、B子さん情報を

        • 結婚相談所に行ってみた その8

          「良いですよ!」とB子さんは言ってくれた。 予定を変えることに対してポジティブでよかった、とホッとした。 相手を間接的に知る、とはこのことだ。 きっと、ざっくり予定を決めてあとは臨機応変に、という人なんだろう。 「5時まで、ってとのことだったんで、5時から予定があるのだと思っていました」 「あ〜、最初の方はね、短い時間で刻んでいこうと思ったんですよね」 「そうなんですね。お気遣いありがとうございます」 最初から長い時間を一緒に過ごすと、お互いに飽きてしまい、次に会おうと思わな

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        • 結婚相談所に行ってみた
          10本

        記事

          結婚相談所に行ってみた その7

          今まで会ってきた3人とも、プロフィール写真と全然違う、ということはなかった。 写真D子さんは、まず笑顔がすごくよかった。一方、実物D子さんを見ると同じ笑顔を浮かべそうな感じはない。 もしかしたら緊張しているのかもしれない。もしかしたら、化粧に慣れていなくて違和感があるのかもしれない。あるいは、カメラマンとメイクの方の技量がすごかったのかもしれない。 次に、顔のお肌が違う。写真では、透明というか真っ白というか、100点満点だった。ただ、実際は、頬から寝不足なのが伝わってきた。他

          結婚相談所に行ってみた その7

          結婚相談所に行ってみた その6

          「W男、甘いよ」 ため息をつくように言うZ君に、僕は反論した。 「いや、キツいって。まだ早いって。音楽とアニメの話して、なんでその次が『結婚に何を求めていますか?』なんだよ」 「いやいや、これ結婚相談所だからな? そういう質問は当然だよ。むしろ遅いくらいだよ。そういう質問でな、もしW男が求めているものを、A子さんが無理だと感じたら、じゃあもう無理ですね、ってなるだろ」 「うーん、そういうのさ、俺的にはさ、間接的に知りたいんだよね。そんな直接的に聞くことじゃないだろ」 「間接的

          結婚相談所に行ってみた その6

          結婚相談所に行ってみた その5

          「うーん」 僕とC子さんとの話を、Z君は食い入るように聞いていた。 「・・・わかるわ」 「え?」 Z君に怒られると思ったので、意外な反応だった。 もう次会おうと思っていないのに「じゃあまた!」と言ってしまったことに、まさか共感されるとは。 「きっとねー、あれなんだよね。カッコつけちゃったんだよね、W男」 そして、心を読まれた気がして、びっくりした。 「そう! それなのよZ君。良い男感を出したかったんだな、って、振り返って思ったのよ。この子違うかな、って思ってても、良い印象を与

          結婚相談所に行ってみた その5

          結婚相談所に行ってみた その4

          「え?」とZ君は強く反応した。「C子さんじゃないの?」 「そう。C子さんを『B子さん』って呼んじゃったんだよ」 「名前間違えたの?」 「そうだよ」 「うわ。。。終わったわ」 「その時、訂正しようと必死に思い出そうとしたけどな、名前が出てこなかったわ」 「プロフィール見てたんじゃないのかよ」 「文章を見てばっかりで、名前は見ていなかったわ」 「1番大事なとこじゃん!」 「かなり不機嫌そうで、せっかくの美人が台無しだったわ」 「W男のせいだろ!」 「そのあとはもう、地獄だったよ」

          結婚相談所に行ってみた その4

          結婚相談所に行ってみた その3

          土曜日の10時55分、僕は待ち合わせ場所である、駅前ビルの入り口に行った。 駅からのアクセスも良く、ショッピング用の店やレストランが入っているので週末は人が多いが、まだ午前中だからか、そこまで混み合ってはいない。 今回は5分早く着いたので少し落ち着いていたが、初めて会う人を見つけられるように、少し気を張っていた。 ただ、そうしたのも数十秒だけだった。すぐに、175センチ、いやそれ以上ありそうな存在感のある女性が外から向かってきた。 僕はすぐに見つけることができて嬉しく、手を挙

          結婚相談所に行ってみた その3

          結婚相談所に行ってみた その2

          「・・・ハナ?」 「そうだな。マスクを取ったら、鼻が横に大きかったわ」 「顔じゃねぇかよ、結局」 「鼻は大事、ってことに気付いたわ。多分俺、シュッとしているのが好きでさ」 「外国人みたいなのが良いの? 海外かぶれかよ」 「そういう訳じゃないけど」 友人のZ君と電話で話していた。彼は小中学生の同級生で、地元に住んでいる。 婚活の末に素敵な女性と結婚して、仲睦まじく過ごしている。 恋愛は団体戦、とよく言うし、第三者の視点をくれる相談相手、キレのあるツッコミをくれる相手としては絶

          結婚相談所に行ってみた その2

          結婚相談所に行ってみた

          2月中旬の土曜日の夕方、僕は行きつけのサウナに行って汗を流し、エスカレーターをダダダと降りた。 17時59分。約束の時間ギリギリになってしまい、焦ってしまう。 駅近ビルの1階に着いた時、腕時計を確認してから顔を見上げると、身長170センチほどであろう女性が立っていたのを見つけた。 マスクをしていたけれども、あ、多分あの人だ、と確信し、「すいません、A子さんですか」と話しかけた。 「あ、そうです! W男さんですか?」 「そうです、初めまして」 「初めまして! こんばんは」 「外

          結婚相談所に行ってみた