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結婚相談所に行ってみた その16
僕はすぐに言葉が出なかった。
このタイミングでこういうことになるとは、夢にも思っていなかった。
なんと言っていいか分からないものの、まずは「ありがとう、伝えてくれて」と感謝した。
異性に、それも女性から男性に、好意の気持ちを伝えると言うのは勇気のいることだ。
僕なんかのために勇気を出してくれたことに感謝した。
だから、僕も勇気を出して、しっかりと気持ちを伝えなくてはいけない。
「俺も・・・F子さん
結婚相談所に行ってみた その13
僕が行った結婚相談所には、トライアル交際の次のステージとして、フォーカス交際というのがある。
トライアル交際では、今の僕がしているように、二兎でも三兎でも同時に追える、つまりは複数人と交際できる。
一方、フォーカス交際では一人の人に集中しなくてはいけない。一度に一人の人としかお付き合いができない。
それからその人と一緒に退会し、結婚を前提としたお付き合いを始めるか、それとも、お別れをしてパートナー
結婚相談所に言ってみた その12
「うあぁ」
Z君は、声にならないうめき声を上げた。
「最低だよ! B子さん相手に積み上げてきた評価が地に落ちたぞ」
「しょうがない」
「三大欲求に弱すぎんだよ。食べたいから食べて、寝たいから寝て、ふくらはぎを触りたいから触って」
「あはは。寝たらな、なんかブレーキが効かなくなってな」
「優雅に漫画を読んでいたところでふくらはぎを揉まれたら、相当ビビるよ」
「・・・いや、まあ、言ってふくらはぎよ」
結婚相談所に行ってみた その10
「おれさぁ、妻にもW男の話をしてんのよ」
僕は、新しく会ったE子さんの話を、地元で一緒に育った友人、Z君にしていた。
Z君は関東の大学に行ってから地元に戻り、数年前に年上の女性と結婚して、仲睦まじく過ごしている。
「うちの妻、これまでは興味津々でW男の話を聞いてたけどさ、ヒールを履いている女性を遠い川まで歩かせたなんて聞いたら、めっちゃ怒るだろうね。女の立場から」
「いや、しょうがないだろ。俺だっ
結婚相談所に行ってみた その9
「ちょっとアルファベットが増えているから、おさらいだけどさぁ」とZ君が言った。
Z君と僕が最後に話してから一週間が経っていた。その間に起きたことを僕が話そうとしたが、その前にZ君は事前情報を確かにしたいらしい。
「先週の情報によると、今回は新しくE子さんとF子さんに会う、と。その前にB子さんと会って、そのB子さんは、W男のコートを持っているんだよな」
「そう! その通り」
「B子さんはこれまで好印
結婚相談所に行ってみた その8
「良いですよ!」とB子さんは言ってくれた。
予定を変えることに対してポジティブでよかった、とホッとした。
相手を間接的に知る、とはこのことだ。
きっと、ざっくり予定を決めてあとは臨機応変に、という人なんだろう。
「5時まで、ってとのことだったんで、5時から予定があるのだと思っていました」
「あ〜、最初の方はね、短い時間で刻んでいこうと思ったんですよね」
「そうなんですね。お気遣いありがとうございま
結婚相談所に行ってみた その7
今まで会ってきた3人とも、プロフィール写真と全然違う、ということはなかった。
写真D子さんは、まず笑顔がすごくよかった。一方、実物D子さんを見ると同じ笑顔を浮かべそうな感じはない。
もしかしたら緊張しているのかもしれない。もしかしたら、化粧に慣れていなくて違和感があるのかもしれない。あるいは、カメラマンとメイクの方の技量がすごかったのかもしれない。
次に、顔のお肌が違う。写真では、透明というか真っ
結婚相談所に行ってみた その6
「W男、甘いよ」
ため息をつくように言うZ君に、僕は反論した。
「いや、キツいって。まだ早いって。音楽とアニメの話して、なんでその次が『結婚に何を求めていますか?』なんだよ」
「いやいや、これ結婚相談所だからな? そういう質問は当然だよ。むしろ遅いくらいだよ。そういう質問でな、もしW男が求めているものを、A子さんが無理だと感じたら、じゃあもう無理ですね、ってなるだろ」
「うーん、そういうのさ、俺的
結婚相談所に行ってみた その5
「うーん」
僕とC子さんとの話を、Z君は食い入るように聞いていた。
「・・・わかるわ」
「え?」
Z君に怒られると思ったので、意外な反応だった。
もう次会おうと思っていないのに「じゃあまた!」と言ってしまったことに、まさか共感されるとは。
「きっとねー、あれなんだよね。カッコつけちゃったんだよね、W男」
そして、心を読まれた気がして、びっくりした。
「そう! それなのよZ君。良い男感を出したかった
結婚相談所に行ってみた その4
「え?」とZ君は強く反応した。「C子さんじゃないの?」
「そう。C子さんを『B子さん』って呼んじゃったんだよ」
「名前間違えたの?」
「そうだよ」
「うわ。。。終わったわ」
「その時、訂正しようと必死に思い出そうとしたけどな、名前が出てこなかったわ」
「プロフィール見てたんじゃないのかよ」
「文章を見てばっかりで、名前は見ていなかったわ」
「1番大事なとこじゃん!」
「かなり不機嫌そうで、せっかく