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2021年10月の記事一覧
『ユダよ、帰れ』(奥田知志・新教出版社)
一読して、主題説教だと分かる。それは著者本人もあとがきのようなところで述べている。キリスト教の礼拝における説教、あるいはメッセージと呼ばれる聖書のお話においては、大きく主題説教と講解説教に分類できると見られている。後者は聖書に書いてあることを説明することを中心とし、前者はあるテーマに沿って聖書を引用しながら話すものである。どちらがよいとも言えないし、私は個人的に、これらの分類も便宜上のものだと思っ
もっとみる『ポストコロナの生命哲学』(福岡伸一・伊藤亜紗・藤原辰史)
2021年9月発行の集英社新書。ポストコロナを冠する類書はたくさんあるが、これはたぶん抜群のものであると思う。尤も、経済の動向にしか関心がない方にとっては落胆するだろう。人類文明の行く先を、冷静な眼差しで見つめる、現代的な哲学の観点から学びたい人にとって、抜群だということだ。
かつて『生物と無生物のあいだ』が広く読まれた福岡伸一氏。そこで直接扱う暇はなかったが、扱うことも可能であったと思われる