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カウンターレディはプ女子

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ラウンジで働くあずきはプロレス好きなシングルマザー。ある問題に遭遇する中、手を差し伸べてくれたのは同じラウンジで働くママやすみちゃん、そしてすみちゃんの”友達”の石塚だった。
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カウンターレディはプ女子①:創作小説と私

カウンターレディはプ女子①:創作小説と私

「ママ~!」
保育士とともに門の近くまで歩いてきた男の子が
駆け出した。その勢いで肩掛けカバンがバタバタと
跳ね回っている。
「甲斐ちゃん、帰ろっか。」
お迎えに来た母親は男の子にそう言うと、保育士に
軽く会釈した。

森山 あずき。27歳。
母ひとり子ひとりの生活を営むシングルマザー。
女手一つで子供を育てるため、昼間はパチンコ屋、
夜は週3でラウンジで働いている。
決して美人というわけではない

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カウンターレディはプ女子②:創作小説と私

カウンターレディはプ女子②:創作小説と私

石塚を皮切りにちょっとしたカラオケ大会で盛り
上がりだしたところで3人組の客が入ってきた。
「あ、いらっしゃ~い。ボックス席どうぞ~。」
”すみちゃん”が応対する。
「ごめんね大山さん、石やん。」
そう言うとすみちゃんはボックス席のお客さんの
ほうへと着いた。どうやらすみちゃんの”上客”が
いるようだ。
「あら~・・・。」
大山がちょっと残念そうにしている。なるほど
大山のお目当てはすみちゃんらし

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カウンターレディはプ女子③:創作小説と私

カウンターレディはプ女子③:創作小説と私

(参ったな・・・。)

同級生の大山や”それなりに”石塚の事を知っている
すみちゃんが「奥手」と揶揄する通り、石塚は
あまり女性慣れしていない。
恋愛経験がないわけではないが、それも片手の指で
お釣りがくる程度である。
どうにか雰囲気を和ませようと頑張って話を
しようと試みても、思うように会話が続かない。

普段のあずきであれば、自分からどんどん話を
盛り上げてくれるのであろうが、さすがに今は

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カウンターレディはプ女子④:創作小説と私

カウンターレディはプ女子④:創作小説と私

ゆっくりとふすまが開き、あずきが顔を覗かせた。
「あずちゃん、もしかして眠れないの?」
スマホをダイニングテーブルに置いて、石塚は
あずきと向き合う。これは思った以上に精神的に
参っているのかもしれない。早めに何か対策を
考えないといけない、石塚はそう思い始めた。

「あの・・・出来たら傍に居てくれませんか。」
「えっ?」
石塚も寝室にまで立ち入るのには抵抗があった。
いくら自分がすみちゃんの”友

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カウンターレディはプ女子⑤:創作小説と私

カウンターレディはプ女子⑤:創作小説と私

「石やんありがとね、あずちゃんのこと。」
閉店後の店内で、石塚と同い歳の陽子ママが言う。
すみちゃんから一通りの事情は聞いているのだろう。
「あんな話聞いて頼りにもされちゃ、何もしない
訳にはいかんでしょ。」
そう言って石塚は一瞬すみちゃんに視線を移す。
何か言いたげな顔だ。
だが今はママと話をするのが先だろう。

石塚は車での通勤や親御さんへの連絡など、自身の
考えを陽子ママへと伝えた。
「車は

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カウンターレディはプ女子⑥:創作小説と私

カウンターレディはプ女子⑥:創作小説と私

石塚は先週末にあずきを送っていった時とは逆の
方向へと車を向けた。
あずきが焦って声を掛ける。
「石やん?」
「ちょっと遠回りするね、見られたくないし。」
「あ・・・。」
あずきが安堵する。
石塚なら大丈夫、そう思っていたはずの心が思わず
揺らいでしまったのが恥ずかしくなった。

「それでさ、あずちゃん。」
「はい?」
「オレの勝手な考えかもしれないけど、しばらく
お母さんの所に居た方がいいんじゃ

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カウンターレディはプ女子⑦:創作小説と私

カウンターレディはプ女子⑦:創作小説と私

あずきは石塚から視線を外したまま、ゆっくりと
語り始めた。

「アタシがまだ小学校に入る前に、父は病気で
亡くなったんです。それからはずっと母が一人で
アタシを育ててくれました。」
「高校を出てすぐに働き始めて、母には少しでも
親孝行出来たらと思って頑張ってました。そんな時
”アイツ”と出逢ったんです。」
石塚は頷きながら、あずきの話に耳を傾けていた。

「最初はすごく優しくて、アタシが我侭言って

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カウンターレディはプ女子⑧:創作小説と私

カウンターレディはプ女子⑧:創作小説と私

”覚悟”。
すみちゃんの言葉は石塚の想像以上に重かった。
あずきから事情を聞かされたということは、自分も
向き合わなければならないということだ。
あずきの心に刻まれた深いキズ。
日頃見せる明るい表情の下に隠された暗い闇。
石塚は目を細め、じっくりと考える。

即答出来ずにいる石塚にすみちゃんが続ける。
「私は自分で旦那を選んで、子供も産んだ。私が
今こうしてる原因の半分は私。でもあずは選ぶ事も

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カウンターレディはプ女子⑨:創作小説と私

カウンターレディはプ女子⑨:創作小説と私

月曜日の夜。
閉店作業を終えて帰ろうとしたあずきは、数人の
警察官に囲まれた石塚の車を見て慌てて駆け寄った。
「あずちゃん。一緒に事情を説明してくれるかな?」
石塚は職務質問を受けているところだった。
この辺りでストーカーらしき人物がいると警ら中の
警官に、あずきを迎えに来て車で待っていた石塚が
引っ掛かったのである。
「この人は違うんです。」
あずきは自分が通報した案件で、石塚はそのために
協力

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カウンターレディはプ女子⑩:創作小説と私

カウンターレディはプ女子⑩:創作小説と私

男が抵抗をやめ、石塚が馬乗りの状態のままで
半ば放心していると、入口から警官が入ってきた。
数人の警官の後ろにすみちゃんが居る。どうやら
従業員用の裏口から抜け出して通報したらしい。

石塚は立ち上がるとそのまま壁に寄りかかった。
「裕哉!大丈夫?!」
心配そうに声を掛けるすみちゃんに対して、石塚は
人差し指でそのおでこを軽くつついた。
「あのさぁ、”ここ”で裕哉って呼ぶなよ・・・。」
そう言って

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カウンターレディはプ女子⑪:創作小説と私

カウンターレディはプ女子⑪:創作小説と私

セルフネグレクト。
外見や健康・衛生、生活環境から金銭の管理に至る
まで、自身に対するセルフケアがまともに出来ない
状況を表す言葉である。
石塚は自身がそうだと独白した。
それにしては普段、清潔感もちゃんとあるし服装も
簡素とはいえまともだ。一見しただけではとても
そんな印象は受けない。

「石やんってそんな風には見えないですけど。」
「社会人だから家から1歩外に出ればイヤでも誰かと
関わることに

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カウンターレディはプ女子⑫:創作小説と私

カウンターレディはプ女子⑫:創作小説と私

翌朝、石塚はスマホのアラームに起こされた。
それは自分のものではない。
スマホの所持者はまだ寝ている。
あんなことがあったのだ。
精神的な疲労が出ていてもおかしくはない。
「あずちゃん、起きて。」
石塚が軽く身体をゆするとあずきが目を開けた。
あずきは石塚のほうへ顔を向けると
「おはようございます。よく眠れましたか?」
とにこやかに挨拶した。
「うん・・・うん?あずちゃん?!」
そこでようやく石塚

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カウンターレディはプ女子⑬:創作小説と私

カウンターレディはプ女子⑬:創作小説と私

あずきに案内され辿り着いたのは、築数十年に
なろうかという昔ながらの木造長屋の一角だった。

「母さん、石塚さん連れてきたよ。」
あずきが玄関から声を掛けると、奥からあずきの
母が恭しくお辞儀をしながら現れた。
「こんばんは、石塚です。」
「いしづかさん!」
甲斐人くんが石塚に合わせてあずきの母に言う。
「石塚さん、この度はあずきを助けていただいて、
本当にありがとうございます。」
「いえ、たまた

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カウンターレディはプ女子⑭:創作小説と私

カウンターレディはプ女子⑭:創作小説と私

金曜日。

あずきとしていた約束とは無関係に、石塚は大山から
呼び出されラウンジに顔を出すハメになっていた。
大山はすっかりすみちゃんに入れあげている。
今日などは前回来た時にすみちゃんから飲みたいと
言われていたワインまで持参してきている。
これは近々また大山の家に行くことになるか・・・。
石塚は出来ればご遠慮願いたい事態を想像せずには
いられなかった。

「わぁ、ありがとう大山さん!」
彼女た

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