瞑想絵画、具象から抽象へ
20世紀の抽象絵画を手掛かりに、21世紀に瞑想体験と抽象絵画をブリッジしたメディテーションフィールドを開始、その可能性を追う画家の美術論考。
「抽象絵画再考」2
瞑想絵画、具象から抽象へ
前回「抽象絵画との出逢い」で私が抽象絵画を始めたきっかけをお話しました。
私は瞑想と抽象絵画の関係性に注目した結果、メディテーションフィールドというシリーズを開始します。
メディテーションフィールド初期は具象性の強いピラミッド、マウンテン、惑星、幻獣等のシリーズで瞑想体験の視覚化を探っていました。
Meditation field direct projection
Unicorn and key man
ユニコーンに跨って空間を高速で移動する瞑想体験を描いた作品。
65 × 91cm 2017 canvas, acrylic
Unicorn goes to friend's house
SOLD OUT @gallerytagboat
Black pyramid Reversal space
acrylic, oil, canvas 2015 TARTAROS JAPAN
2016 24×33㎝
16面体ブルークリスタルの空間に入り、4人に分離し座禅を組む瞑想を再現した作品
これ等の絵画はメディテーションフィールド−ダイレクトビジョンとでも言えば解り易いでしょう。
瞑想中に見たままの雰囲気や視覚を再現しています。
Black pyramid black sea
90×65cm アクリル、キャンバス 2016
TARTAROS JAPAN
Meditation field direct projection
Emerald Dragon
2017 91×66㎝
SOLD OUT @gallerytagboat
瞑想中に背後に気配を感じ、振り返るとエメラルドのドラゴンの様な存在が空間に漂っていた。その至福感に包まれた状態を描いた作品。
瞑想中の視覚体験は、観るというより、そこに居る感覚で、肉体は重力から開放され、魂の状態で漂って居る様な感覚です。
瞑想でビジョンを体験した事がある方は想像出来ると思いますが、夢よりはっきりとした体感感覚があります。
殆どの人は私の絵を見た時、創造や空想で描いたのだろうと解釈します。
しかし私にとっては空想では無い実体験であり、意識のはっきりした状態で視る景色や空気感まで感じる、もう一つの現実程のリアリティのある体験でした。
鑑賞者に瞑想感覚を伝えたくても、その手前で虚構として認識される事に違和感と疑問を持つ様になりました。
瞑想体験の無い人が殆どなので、仕方無い事だとも理解出来ます。
そこで、鑑賞者から空想や想像等、虚構性の意識フィルターを出来るだけ除き、瞑想感覚だけを純粋に再体験できる方法論を探る様になります。
そして見つけた一つの答えが、具象性を抑えた抽象絵画です。
具体的にモノや景色を描写をしない事で、先入観を持たせず、思考させず、体感感覚に集中してもらう事が、抽象化によりある程度出来るのです。
その最初の実践として描いた作品がメディテーションフィールド「IDEA」シリーズです。
IDEA Blue veil
観想 青いベール
1302×804 mm 油彩 アクリル キャンバス
2020年2月の個展「IDEA」に結実したこの試みは、瞑想の抽象絵画化をテーマにしたものです。
「IDEA」の展示コンセプト
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TARTAROS JAPAN個展
観想―IDEA
自然や日常の視覚と個人の精神的体験を密接に捉えようとした近代美術から、人間と社会の分析や関係性を様々に捉える現代美術へ美術は変化して来ました。
その歴史の狭間で抽象絵画はスピリチュアリティを拠り所にカンディンスキーや近年再評価が進むヒルマアフクリント等の先駆者によって20世紀初頭に開拓されました。
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TARTAROS JAPANは、スピリチュアリティに基盤を置く抽象絵画の先駆者と同様に、自己の瞑想体験を元に絵画表現に取り組んで来ました。
それ等は幻覚的イメージを抽象化した様な、現実と夢の狭間にある領域を探求しているようです。
個展では瞑想時に現れるビジョンを(観想=IDEA) として捉えた、新作抽象絵画シリーズで構成されます。
科学文明が置き去りにしたスピリチュアリティを、現代美術の最前線に再び提示する試みとなります。
期間 2020年2月1日(土) ~ 2月22日(土)
みんなのギャラリー (東京.上野)
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抽象絵画へのアプローチや定義は様々です。
主に美術史家や評論家は絵を描かず鑑賞体験と思考において美術を分析します。
描く実体験の背後にある画家のフィーリングを掴む事は彼等には困難です。
私の抽象絵画の分析はそういう比較において特殊だと思います。
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