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日記

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人生は思い出づくり。
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よりみちが好きなら

よりみちが好きなら

よりみちしたっていいんだと思う

「あれもこれも手を出すのは、わたしの主義じゃないんで」
そうお世話になった電気屋さんがぽろっと放った言葉が三日間くらい妙に胸に刺さっていた。

わたしは、どっちかっていうとはまりやすい割に、早々に飽きて気持ちが別のところへ行ってしまうことが多い。

飽きて行ってしまうというよりも、何かをやっている途中に出会った他のテーマに気持ちが向いてしまって、どれ、

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ゲルと裁縫箱と野菜

「裁縫箱貸してくれん?」

農家の友人が、鶏をさばいてモンゴル人とBBQをしようと企画してくれたその日、ゲルの持ち主でもある彼にそんなお願いされた。

お願いと言っても、私の家はBBQをする場所から走って30秒ほどだったので、二つ返事で取りに行く。

歯で糸を切り、モンゴルから日本へやってきたハンさんはスイスイと2つの布を合わせて縫っていく。ゲルを建てたり、ヤギを肉にしたり、何度も彼らの大きな手が

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いなくていい人

わたしが『たま』のこのへんてこりんな名前がついた曲に心つかまれたのは去年の8月頃のことだった。

”ねえ 誰かぼくの嘘を
まじめにきいてくれないか
ぼくのおしごとはいなくていいひと

ねえ誰でもいいからぼくの嘘を
きいてくれないか

ぼくのおしごとはいなくていいひと
ぼくのおしごとはいなくていいひと”



”いなくていいひと” なんてきっとひとから言われたらものすごく傷つく言葉じゃないかと

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夏至のためいき

「はあー」わたしと彼は同時に長いため息をついた。長く伸びたので、途中で一緒にためいきをついているお互いを確認し、次第に笑いへと変わっていった。

「わかるよ。」と彼は言った。これから車で家に連れて帰ってごはんを用意して、食べさせてそれから、僕はお風呂を薪でわかす仕事もあるや、と。
「シュフのためいきだねえ」といった。
17時。まだまだ夜は長い。

わたしのも彼が言うようにシュフのためいきだったかし

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6月14日(金)  ソウルフード

6月14日(金) ソウルフード

ひとりきりのお昼ご飯を適当に済ませたせいで
夕ごはんを作り始める頃には
おなかが空いてごはんを作り切るエネルギーがあるかあやしくなっていた。カミナリを含んだをあやしい空模様のせいかもしれない。

何かつまみながら作ろうかと思ったけど、冷えたご飯しかない。

こどもたちが回りをうろうろして
手伝おうとしてくる。
頼むから早く作らせてくれ、と思いながらも少しずつ戦力となってきている子どもたちに任せられ

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6月13日(木) 橋/チリマヨ定食

「楽しいなあ〜」
彼女はちょっと弾んだ足取りで道路の脇を歩きながら二回も言った。二回目は少しこちらを向いて。
私たちは、なんだか可笑しくなって「あっはっは」と笑った。

おひるごはんを食べながらお話しましょう、ということになり最近できたばかりの食堂で待ち合わせようとしたら駐車場が空いていなかったので、橋を渡った先の公園の駐車場に車を停めて歩くことにした。

田舎に越してきてからは、移動が車ばかり

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6月11日(火) たくさんの決めること

6月11日(火) たくさんの決めること

365日の日記を書いている(ちょっと、インチキして今日は木曜日だけど火曜日のことを振り返る)

リフォームしている物件があって、
今日はそこの壁紙を選ぶ日だった。

「クロスの見本を、置いておいたので決まったらおしえてください」一週間ほど前に内装屋さんから連絡があり、いよいよ、素敵な場所ができる期待で胸膨らませ、取りに行くと、
入り口付近にあった緑があしらってある爽やかな見本帳は今まで見たどんな紙

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6月12日(水) なぞをかけ合う夜

6月12日(水) なぞをかけ合う夜

「おかあさん、全部終わった、動画見ていい?」

小一の娘は、宿題や翌日の準備を終えると、いそいそと申告してくる。
好きなんだなあと思う反面、子どもがAmazonプライムやNetflixで動画を見始めると、ひとつ見て、またひとつ。そうやって止まらなくてうんざりすることがある。

やりたいことを無理に抑える必要はないと思っているんだけど
寝る時間ギリギリまで見続ける習慣は嫌だぞ、と思って、「一個見たら

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6月10日(月) 友人がくれた花が

6月10日(月) 友人がくれた花が

ふだん、花を飾る習慣はないのだけど、「これ、ちょっと時間経っちゃったものだけど…」と花農家さんで働く友人が花をくれた。一昨日のこと。

軽く包まれたそれは、新種のユリで、突然変異でできた品種らしい。冠婚葬祭使えて便利なんだそう(お葬式には色がついた花は使えないらしい)。

家の近くの直販所には、朝どれの新鮮な野菜とともに、端の方にいつも花が置いてある。時にはお供え物用の、時にはアジサイなど。そうい

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6月9日(日)  あなたが泣くのが恐くない

6月9日(日) あなたが泣くのが恐くない

三女のミーコが泣いた

あ、泣くな、と思ってすぐにふんわりと涙が滴り落ちてきた。

じわ、ぽたり、じわ、ぽたり。

よく見たら鼻水も出ている
よだれもきらきら光っている

子どもたちはよく泣く。よく笑うし声は大きいしよく動く。いちいちおおげさだと思うくらい素直である。

次女のニコ三歳も同じくちょっとしたことで泣くが、彼女の涙の落ちるのにかかるエネルギーを、60くらいだとすると、ミーコはあまりにも

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6月8日(土) 友人たちと集まって鶏を割く

今日は友人が「鶏飯(ケイハン)を作らないかい?」と声をかけてくれたので

朝からいそいそと出かける準備をする

さっぱりとした鶏ダシのだし茶漬けのようなもので、鶏飯は奄美大島の郷土料理である。

炊きたてのごはんを軽くよそい、その上に、割いた鶏、錦糸卵、椎茸の甘辛煮、ネギ、海苔、漬物をのせて、鶏ガラでじっくり時間をかけてとった出汁をじゃーっとたっぷりかけていただく。

この時の漬物はパパイヤの漬物

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6月7日(金)  今日は一日雨が降っているだろう

6月7日(金) 今日は一日雨が降っているだろう

「君はどうして散歩をするの?」

運転をしながら夫がきいた

昨日の晩、真夜中に外を散歩した、気持ちが良かったよ

と話したのを
聞き流したようで聞いてくれていたようだ

口蓋に突き刺さるような酸っぱいキャラメルラテ
歯医者に行く前のホッと一息

君は虫歯だけどね、とどこからともなくツッコミが入る

荒い泡がくちびるにくっつく

***

普段、山に住んでいる

どんな山かは省略するけど
私は自分

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