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6月9日(日) あなたが泣くのが恐くない

三女のミーコが泣いた

あ、泣くな、と思ってすぐにふんわりと涙が滴り落ちてきた。

じわ、ぽたり、じわ、ぽたり。

よく見たら鼻水も出ている
よだれもきらきら光っている

子どもたちはよく泣く。よく笑うし声は大きいしよく動く。いちいちおおげさだと思うくらい素直である。

次女のニコ三歳も同じくちょっとしたことで泣くが、彼女の涙の落ちるのにかかるエネルギーを、60くらいだとすると、ミーコはあまりにもあっさりと涙が落ちてくる。10をきっているくらい。

朝から、その涙を落とす姿をまじまじと見つめる。縁側に座って陽の光を浴びて、まるでみずみずしい果物のようだ、と思う。

あれ、私はいつからそんな風に泣いている姿を美しいととらえるようになったのか。

長女のイチコ六歳は、今はもう少しのことでは泣かなくなった。この子がもっと小さい頃は泣くことは私にとって恐怖だった。

子どもは泣くものだ、と保健師さんも言っていたし、ネットで調べてもそう書いてあった

だけど、泣き止ませられないと自分が悪いことをしているような気持ちになったから、泣かせまいといつも必死だった。電気もつけない部屋の中で泣き続けるイチコをただ呆然と眺めることもあった。

だけど、泣くことは自然なことで、たとえばお腹が空いたから何か欲しい。たとえば、欲しかったものが手に入らないから悲しい抱っこしてほしい。子どもたちは自分が満たされないことに敏感で、生きるために懸命にリクエストをしてくる。
ただそれだけだってことに気がついて泣くことが笑うのと同じくらい愛おしく感じるようになった

涙が頬についている。甘夏、桃…本当に、みずみずしくてきゅうと握ると水が溢れてくる果物のよう。
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