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#恋愛小説

【小説】2分55秒

「はじめまして。平岡麗奈です」 「平岡ユリ……さん?」  目の前にいる男性が、手元の紙に書…

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【小説】メロンソーダ

「妻が探偵を雇ってたらしくてさ」  日本橋にあるワインバーの個室で、険しい表情とは裏腹に…

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【小説】ピッピ

 彼女と初めて交わした言葉は覚えていないけれど、仲良くなったきっかけは覚えている。  そ…

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【小説】あなたと握手

 改札を出て、駅付近の施設の地図の書かれた案内板の横に立つ。  腕時計を見ると、待ち合わ…

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【小説】ミスリード

「ちょっと時間もらってもいい?」  それは、私が編集を担当しているミステリー作家の柳森総…

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【小説】マトリョーシカ

数週間前までは使い慣れていたはずの鍵を取り出すと、たくさんの景色を思い出した。 引越し業…

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【小説】実はカップ焼きそば嫌いなんです

夏目漱石が「I love you」を「月がキレイですね」と訳したそうだけど、僕が訳すのだとしたら「実はカップ焼きそば嫌いなんです」になるだろう。 「お前またカップ焼きそばか」 「そうなんすよ」 同僚に苦笑いしながらデスクワゴンの引き出しを開け、所狭しと並べられたカップ焼きそばのうち一つを取り出す。 鳴り響いていた12時の昼休憩を告げるチャイムが止み、オフィスでは、カバンから弁当を取り出すガサガサという音や、席を立ち上がる時に鳴るギィッという音が至る所で鳴っていた。 カップ

【小説】あの夢をもう一度

大泉蒼子ーー。 その名前を忘れた事は、一度だってなかった。 それは葵が14歳の頃、夢で出会…

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【小説】結婚

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