【小説】実はカップ焼きそば嫌いなんです
夏目漱石が「I love you」を「月がキレイですね」と訳したそうだけど、僕が訳すのだとしたら「実はカップ焼きそば嫌いなんです」になるだろう。
「お前またカップ焼きそばか」
「そうなんすよ」
同僚に苦笑いしながらデスクワゴンの引き出しを開け、所狭しと並べられたカップ焼きそばのうち一つを取り出す。
鳴り響いていた12時の昼休憩を告げるチャイムが止み、オフィスでは、カバンから弁当を取り出すガサガサという音や、席を立ち上がる時に鳴るギィッという音が至る所で鳴っていた。
カップ