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都市木造への考察

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#森

都市木造への考察⑩ 木は使えばよい?

都市木造への考察⑩ 木は使えばよい?

「木を使う」=「環境に良い」は本当だろうか?

カーボンニュートラルやSDGs、木材利用促進という社会の大きな流れの中で、ますます都市や建築における木材利用がトレンドとなってきている。
組織の中で専門の活動を始めて数年が経ち、「木づかい」には適切なアクセルとブレーキが必要であることを学んだ。

その中で最近考えていることを整理してみる。

木は使うだけではダメ
一つ目が、戦後拡大造林の中、植えられ

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都市木造への考察⑨  公共循環木質外装|ウッド・ストックによる新しい都市景観

都市木造への考察⑨ 公共循環木質外装|ウッド・ストックによる新しい都市景観

公共空間と向き合い、循環し続ける木質外装の提案。人々の多様なアクティビティ、アメニティを創出し、それらを永続的に実現する社会システムを構築を目指す。

パブリックスペース/ファサード とは
 パブリックスペース及びそれらと向き合うファサードは、多様な人にアメニティを享受し、アクティビティを誘発すべきものであると考える。また、それらには持続可能性が求められ、官民が共同でそれらを構築、運営しいくことが

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都市木造への考察⑧ Wood Archipelago|海に住まう作法

都市木造への考察⑧ Wood Archipelago|海に住まう作法



「建設すればするほど、自然を拡張する」新たな都市開発手法
インドネシアは、⼈⼝増加と経済成⻑の渦中にある。それに伴う社会問題・環境問題は過去に同じ島国である日本の都市開発の系譜と類似しており、自然との距離を遠ざけ、「つくればつくるほど、環境を破壊する」という、従来型の開発手法による経済活動が前提となっていると言える。本提案(ケーススタディ)においては、このような社会課題を念頭に、熱帯気候に位置

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都市木造への考察⑥ 都心(森)林をつくる|土に住まう作法

都市木造への考察⑥ 都心(森)林をつくる|土に住まう作法



現代の日本の集合住宅の多くは高層化により大地と離れて暮らすことを余儀なくされており、行政指導等で建物の緑化が促されているものの、本質的に大地に根ざした生活を送ることはできない。ウィズ・コロナ社会の都市の在り方が議論されているが、コンパクトシティの流れの中で都心部に集中して住むライフスタイルにおいても、戸建の庭の気持ちよさや、家庭菜園による自給自足、そこから生まれる新しいコミュニティなど、大地か

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都市木造への考察③ 「地産地工(ちこう)」を目指して|ウッドマイルズの教え

都市木造への考察③ 「地産地工(ちこう)」を目指して|ウッドマイルズの教え

農業的な素材|「地産地消」と「地産外消」
 木材を活用した建築作品において、「地産地消」というワードはもはや馴染みのフレーズである。「地元で生産したものを地元で消費する」という概念であり、地元の生産者と消費者をつなぐ仕組みを構築することで、地域の活性化を図りつつ、輸送コストの低減や教育力の強化が目的とされている。このように産地が前提とされた素材であることは、コンクリートや鉄にはない木材ならではの「

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都市木造への考察② 木材利用と森林保護の両立|産地へのロマン

都市木造への考察② 木材利用と森林保護の両立|産地へのロマン

国土の4分の1が人工林の国
 日本の国土のおよそ2/3が森林と言われている。歴史を遡ると、そのうちのおよそ4割が戦後に植樹された人工林であり、つまり国土の1/4が人の手によって形成された「人工的な自然」ということになる。レジャーやキャップで我々が目にする針葉樹を基本とした森林のほとんどがそれらに該当する。この「人為的に作られた」森林は昨今の土砂災害や水不足、花粉等々の諸問題と深く関係していることも

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