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【小説編】蛸文(たこふみ)の読書記録

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僕の読書記録・小説編です。
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#SF

【虐殺器官】ディテールの緻密さに圧倒される上質なSF

【虐殺器官】ディテールの緻密さに圧倒される上質なSF

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜ゼロ年代最高のフィクション〜ネットでSF小説を検索していると「ゼロ年代最高のSF小説」という触れ込みでよく見かけていた本作。前々から気になっていた作品で今回読んでみたわけだが、その没入感に圧倒されてしまった。要は最高に面白かったのだ。

戦争、内戦が本作のメインテーマであり、その世界観や作中で使われる用語などはゲームの「メタルギア・ソリッド」によく似ている

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【チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク】ロボット悪ざんまい

【チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク】ロボット悪ざんまい

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜ロボット・ピカレスク〜本作を一言で言うならば、制御回路が作動しないロボットが次々と悪事に手を染める話である。

舞台は、ロボットが当たり前のようにいる近未来。家事から製造、医療まであらゆる分野でロボットが使役されている。人間の安全を守るために全てのロボットには「アシモフ回路」(詳しくは「われはロボット」の「ロボット三原則」を参照のこと)が組み込まれているが

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【異星の客】テーマたっぷりのSF超大作

【異星の客】テーマたっぷりのSF超大作

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜SF界の長老が書く大長編〜著者のロバート・A・ハインラインは、「SF界の長老」とも呼ばれている多くのSF作家が影響を受けた大作家である。アイザック・アシモフ、アーサー・C・クラークと並び世界のSF界ビッグスリーとも呼ばれていた。

そんな大作家ハインラインの代表作のひとつである本作は文庫本780ページに及ぶ大長編である。片手で読んでいるとほぼ間違いなく腱鞘

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【タイタンの妖女】世界の景色が変わる傑作SF

【タイタンの妖女】世界の景色が変わる傑作SF

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜世界観が変わる一作〜爆笑問題の太田光さんが「1番好きな小説」として挙げていたのが本作。なんでも、太田光さんが所属している事務所タイタンの名前はこの本が由来なのだとか。
太田光さんの話を聞くまで存在を知らなかった小説なのだが、読んでみると「こんなに面白い小説を僕は知らなかったのか」と驚いた(SF界では超有名な作品だそうなのだが(笑))

一言で言うなら、読み

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【われはロボット】ロボットは哲学だ

【われはロボット】ロボットは哲学だ

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜ロボットSFの名作〜本作は「ロボットSFの古典的名作」と呼ばれており、ロボットを語る上でよく見かける「ロボット三原則」(①人間に危害を与えてはならない②人間に与えられた命令に服従しなければならない③ ①②に反しない限り自己を守らなければならない)を示した作品である。

このロボット三原則は実際のロボット工学の現場でも用いられる概念であり、SF界だけでなく現

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【三体】SF小説の歴史に残る壮大な傑作

【三体】SF小説の歴史に残る壮大な傑作

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜ものすごく面白い!〜ものすごく面白い!

読み終えた後の感想はまずこれだった。

本作は中国SFの超話題作であり、オバマ元大統領がオススメした事でも有名になった作品である。
アジア初&翻訳もの初のヒューゴー賞長編部門を受賞し、『黒暗森林』『死神永生』と続く三部作総計では、中国だけで2100万部、全世界だと2900万部だという。SF小説の歴史に残る傑作と言え

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【アノマリー 異常】(ネタバレあり)こんな記事は読まないで、すぐに本作を注文して読んでほしい

【アノマリー 異常】(ネタバレあり)こんな記事は読まないで、すぐに本作を注文して読んでほしい

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜気になる人はすぐに本作を購入すべし〜さて、随分と乱暴なサブタイトルと見出しをつけさせていただいたが、本心からそう考えている。

本作は、前情報一切無しで、出来ればこういう記事であらすじさえも知らずに読むべきだ。

僕は別の記事でこういう文言を見て、前情報を一切入れずに読むことした。本当にそうして良かったと思う。

読み終えてから、あまりにも面白すぎてこの作

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【パーマー・エルドリッチの3つの聖痕】意外と読みやすかったドラッグハードSF

【パーマー・エルドリッチの3つの聖痕】意外と読みやすかったドラッグハードSF

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜ドラッグ×SF〜映画「ブレード・ランナー」の原作である「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」(未読)の作者として有名なフィリップ・K・ディックの代表作の一つ。

ディック作品は初めて読んだのだが、数あるディック作品の中から、なぜ最初にこの本を選んだかというと、LSD小説の元祖、なんて言われる通り「ドラッグ」を題材としたものだったからだ。

映画でもドラッグの

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【ボッコちゃん】老若男女問わず、時代を越えて楽しませてくれる星新一さん

【ボッコちゃん】老若男女問わず、時代を越えて楽しませてくれる星新一さん

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜星新一、という名作家〜星新一、というSF作家を今さら僕が紹介するまでもないだろう。
この記事は、僕の星新一さんに対する思いを書かせていただくことになる。

星新一さんは、「ショート・ショート」という小説ジャンルを確立し、その作品数は1000を超え、「ショート・ショートの神様」と呼ばれている名作家さんだ。

昔から大好きな作家さんで、小中学生の時には貪るよう

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【宇宙(そら)へ】読みたかったのはこういうのじゃなかった…

【宇宙(そら)へ】読みたかったのはこういうのじゃなかった…

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆

〜SF賞を総ナメした作品〜僕は映画で見るSFは好きなのだが、小説でSFを読む事はあまり無い。
過去に小説で読んだSFも「2001年宇宙の旅」ぐらいで、「2001年」は面白かったのだけど、それ以降SFの小説はあまり読んでこなかった。理由は別に無いのだけど。

さて、読書をしている中で久しぶりにSF小説を読みたいと思い検索していたところ「ヒューゴー賞」というSF小説

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