【三体】SF小説の歴史に残る壮大な傑作
オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆
〜ものすごく面白い!〜
ものすごく面白い!
読み終えた後の感想はまずこれだった。
本作は中国SFの超話題作であり、オバマ元大統領がオススメした事でも有名になった作品である。
アジア初&翻訳もの初のヒューゴー賞長編部門を受賞し、『黒暗森林』『死神永生』と続く三部作総計では、中国だけで2100万部、全世界だと2900万部だという。SF小説の歴史に残る傑作と言える。
そして、それだけの話題作であるとわかっていても、掛け値なしに面白い。
本業はエンジニアである著者の裏付けされた科学知識とエンターテイメント性がマッチした、壮大なSF小説だ。
〜文革から始まる異星文明とのコンタクト〜
本書のテーマは「異星文明とのファーストコンタクト」である。
しかし、映画などでよくあるような異星人が武力での地球支配を敢行するというものではない。現実の科学技術を駆使しながらリアリティのある展開が繰り広げられる。
SFであるにも関わらず、物語の序盤は文化大革命の場面から始まるのに少々面食らうかもしれないが、文化大革命により人類に絶望した女性科学者・葉文潔の思考がこの物語の世界観を理解する上での大きなキーとなる。
僕はこの本を読む前に「文化大革命 人民の歴史」という本で文化大革命について多少学んだことが非常に活きている。
少しでも文化大革命について調べてから本作を読めば、物語への没入感が全く変わってくる、ということはお伝えしたい。
〜知的好奇心もくすぐられる〜
なお本作はどちらかというと、ジャンル的には、科学的根拠に裏付けされたハードSFである。
全編にわたって、かなりの物理学の知識が必要になってくる。
もちろん、僕も全部を理解出来たわけではないが、物理学をもっとキチンと勉強したいとも思わせてくれた。
終盤の展開はほとんど物理的な部分はわからなかったが、わからないからと言って置いてけぼりにされるような物語ではない。
エンタメと科学的知見が見事に融合した完璧なSF大作である。
さて、三部作を全部読まなければ…(笑)