CHROが持つべき指標:昼のKPIと夜のKPI~信頼できる柱が欲しい経営者のための『プロパーCHRO』の育て方 Vol.2~
こんにちは。株式会社シンシア・ハート代表の堀内猛志(takenoko1220)です。
このシリーズでは、「信頼できる柱が欲しい経営者のための『プロパーCHRO』の育て方」について、50名から4000名まで成長した企業で、各ステージの人事組織戦略の遂行に人事役員として奔走した自身の経験をもとに、人事トップになるために実行したことや、意識していたマインド、経営や現場とのコミュニケーションのtipsなどをお伝えしていきます。
私の経歴詳細は以下からご確認ください。
それでは、今回のアジェンダです。
CHROが持つべき指標:昼のKPIと夜のKPI
そもそも昼のKPI、夜のKPIって言い方は怪しいですが何のことでしょうか?答えはランチやディナーなどの会食です。
通常のミッションについては、前回のnoteで触れましたので、今回は業務とは別のKPIについてのお話です。
業務とは別という言い方をしているのは、会社として定めている目標シートに記入したり、成果評価として認めないだけで、重要度はそれらに記載する目標の同等か、それ以上に重要な指標になります。企業によっては昼のKPIと夜のKPIも目標シートに書いてもいいかもしれません。それくらい重要で業績にヒットする内容である理由をお伝えしたいと思います。
なぜ昼のKPIと夜のKPIを追う必要があるのか?
人事部門は、その部門が持つべき機能特性上、経営と現場の両方の視座、視点、視野を持つ必要があります。これが非常に難しく、ほとんどの人事はどちらかの目線に偏りがちで、疎かにした側にいる人から批判的コメントをもらうことがしばしばあるでしょう。僕もそうでした。
この概念に当てはめると以下のようになります。
上記を比較すると、それぞれが全然違うのがわかると思います。見るものが違うということは、評価も解釈も判断も意見も行動も違ってくるということです。このお互いの違いから来るズレを是正してあげないと大きな問題になることは想像にたやすいと思います。
そして、このズレを是正することを経営や現場に求めてはいけないということも人事を担う人は理解してもらいたいです。経営が現場の視座、視野、視点に合わせたら経営のスピードは落ちてしまいます。また、現場が経営視点を持つことは不可能でしょう。経験や能力が違いすぎますよね。
よく「経営視点を持って」と言いますが、これは「所属する企業の経営者の視点」を持つことではなく、「自分を自分株式会社の経営者として主体的に会社を運営している意識を持って」という風に言い換えている言葉だと思っています。前者は無理ゲーです。しかし、後者はどの人にも可能だし、それができている組織は強いことは理解いただけると思います。言葉って大事ですね。
話を戻すと、この両者の違いを是正するのが人事の役目だということです。ある場面では経営者、ある場面では現場になって、TPOに合わせた言動が求められるのが人事です。このように経営と現場の間に立ち、結節点となってお互いの噛み合わせをよくすることができる人事がいれば組織は強いのです。
そして、その能力を養う意味で、昼のKPIと夜のKPIは重要になります。
昼のKPIと夜のKPIは何を行うのか?
KPIの前に定義が不明ですよね?
こんな感じですね。単に飯食って終わりだともったいないので、絶対に目的とゴールを設定します。そして、実施したことで意味があるのか、ということを定量的に把握するためにKPIを設ける必要があるわけです。
昼も夜もKPIは同じです。
ただ単に会う人の数を増やしても意味はありません。目的に沿った情報を収集できた以上、アウトプットして初めて意味を成します。学習方法は人・本・旅と言われますが、まさに人から学ぶということを実践するということを繰り返すイメージですね。
どうやって昼のKPIと夜のKPIを実践するのか?
僕にとってはそんなに難しくない内容を書いているつもりですが、よく質問を受けるのは、どうやって繋がりを見つけるのか、どうやって誘うのか、どうやって1度会った人と関係を続けるのか、という内容です。
僕のやっていることをそれっぽいフレームにしてまとめて見ましたw
声をかける理由がないと声をかけるのは難しいと思う人はいると思いますし、対象人材からも僕と時間をともにするメリットを感じてもらわないと面倒だと思われます。
よって、対象人材に声をかけやすいようなタイミングを逃さないようにタイミングを追いかけ続けることが重要です。社内だと対象人材が表彰されたときや評価されたとき、または異動などの環境が変わった時は拾いやすいと思いますし、そのタイミングで声をかけるのは難しくないですよね。
「おめでとう!」「聞いたよ!●●らしいね!」「こうなんだってね」「大丈夫?」「すごいね!」などなど、まずは声をかけてみると相手からの反応があるはずです。関係が薄い人でも褒められたり、気にかけられて嫌な気になる人はいません。「声かけよっかな~。。」って悩んだときは反射的にメッセージを送ることをおすすめします。
社外でも同じです。SNSで繋がっておけば何かしらその人のアクションが見えてきます。社内と違って自分自身で進んでアウトプットしているわけですから誉めて欲しいに決まっています。即声をかけましょう。
一方で、連絡後すぐに「じゃあ飯にいきましょう!」というのも唐突すぎますね。そこには「直接会って飯でも食いながらカジュアルに話した方が楽しそう!」という相手にとってのメリットが必要です。だからこそ、自身の近況や感情や行動を定期的にオンライン上に共有することが重要になります。
あなたが追いかけている人は自分に何かした共通するものがあるはずです。とうことは、相手もあなたのシェアしている情報に少なからず興味をもってもらえる可能性は高いです。相手が自分のことをフォローしていなくても大丈夫です。声をかけて忘れられている存在だとしても、あなたのSNSのプロフィールを見たり、最近の投稿をチェックしたうえで返信をくれるはずです。
せっかく向こうがあなたのページを見に来たのに何もシェアしていないとあなたは秘密結社の人になります。人はよくわからないものに対して不安や不信を覚えます。あなた自身のことを開示していない人に対して、自分自身のことを開示するのはリスクを伴うと相手の脳は無意識に思うでしょう。共感が求められる現代では、どんどん開示とシェアすることが重要なのです。
そんなに開示することがない、誇れる行動をしているわけではない、という人も大丈夫。人は他人の自慢よりも他人の不幸に興味を持つ生き物です。芸能人の結婚よりも不倫や離婚の方が視聴率が高く、また、しくじり先生などの失敗談に興味を持つ人が多いのがその根拠です。「今はこんなことが大変だ」「こういうことに悩んでいる」「やっちまった」などもどんどんシェアすればいいと思います。助けてくれる人から声がかかりますよ。
僕がSNSの中でも特にfacebookを重宝しているのは、毎朝、今日の誕生日の人を教えてくれるからです。SNSに投稿しない人にも誕生日は年に一回は必ずやってきます。誕生日ほど声をかけやすい日はありませんし、相手もさすがに返事をくれるでしょう(FBを見ていたらですが)。
人は1年もあればかなり状況が変わります。年に1回の誕生日にお祝いメッセージを送るとともに、近況をキャッチアップし合い、お互いでフォローアップできるところがないかを探しましょう。
まとめ
今回のnoteでは「CHROが持つべき昼のKPIと夜のKPI」というテーマで展開してきましたが、重要なのは、様々な立場の人と関りを持ち、様々な価値観に触れることで、自身の視座、視野、視点を養うことです。
CHROは人事のトップですが、経営の一角です。つまり、経営者に対して経営×人事の視点でモノ申したり、壁打ちあったりするパートナーである必要があります。
ゆえに、経営者の成長に負けるわけにはいかないですし、人事分野、または現場で起きている状況については経営者以上に把握している必要があります。だからこそ、社外で起きていること、社内で起きていることを定期的にキャッチアップする必要があるのです。
人・本・旅というキーワードを前述しましたが、本で理論を学ぶこと、自分のミッションを遂行することも重要ですが、自分とできるだけ遠い人との関りもちゃんと持つことで、CHROとしての学びが深まると思います。
自社の人事責任者が内にこもるタイプで、なかなか発信もしないし、社外との関係性をも作らない、ということにお悩みの経営者の方は是非実践してもらえればと思います。
それでは今回はこの辺りで。
自社で人事責任者を採用したい、育てたいがうまくいかない、という経営者の方はご連絡をください。CHRO採用とCHRO開発を承っています。
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