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ピープルアナリティクスの教科書④:パーソル・日立製作所などでの人事データ活用事例

読書ノート(119日目)
今回もこちらの本を紹介
していきたいと思います。

こちらの本も前回紹介した
データ分析に関する本ですが
より人事データ分析に特化を
しているのと、最後に9社の
ピープルアナリティクスの事例集が
ある点で、読み応えがある本です。

本書を以下の5つに分けて
順に紹介をしていく予定です。
①人事データの活用について
②プロジェクトの実践手順と必要スキル
③先進企業の事例(1)(2)(3)
④先進企業の事例(4)(5)(6)
⑤先進企業の事例(7)(8)(9)

ということで今日は
④先進企業の事例(4)(5)(6)
についてです。

■事例4
データ活用と人事のスタンダードにするために(パーソルHD)

・2つの予測モデルの構築で
 HRテクノロジー大賞アナリティクス部門優秀賞を受賞
 ①社員の離職リスク検知するモデル
 ②社員の異動後の活躍可能性を予測するモデル

・社員の異動後の活躍可能性のモデルについては、
 AさんがB部署に異動する場合、Aさんが異動することでの
 パフォーマンスが上がる可能性を分析し、
 その一方でB部署で活躍している人のコンピテンシーと
 Aさんの特徴との類似度を測り、これらの組み合わせから、
 AさんがB部署に異動した時に活躍できるかを見極める予測モデルを構築

・これらは社外からの注目度は高かった一方で、
 社内の現場人事からは離職リスクの数値ではなく要因を特定し
 問題解決に繋げたいというニーズの方が高かった
・また現場人事からはデータの可視化へのニーズも高く、
 BIツールで進捗状況をリアルタイムで確認できる環境を提供
・業務効率化とデータ可視化を現場人事に提供し好評を得た

・他にも現場人事からは「管理職の育成」の相談が特に多かった
・管理職の経験をデータで深堀りした結果、
 「等級の高い管理職ほど、それまでと異なる事業領域や環境への
 異動の経験数も多く、挑戦を繰り返している」
という推察を得た
・このファクトは役員会議でテーマとして取り上げられ
 経営幹部層の育成や異動配置プログラムの企画検討に活用された

・現在は現場人事が思い立った時にストレスなく
 データが使える環境整備に着手中
・ナレッジシェアを目的としたポータルサイトの構築し、
 社内コンサルタントの過去事例やデータ活用の
 経験や情報を相互に交換できる場を用意
・データ活用に取り組む際のルールノウハウをナレッジに凝縮し、
 リテラシー向上講座として提供することで
 グループ内でのデータ活用を促進を目指している
・人事内で「息を吸うように」「正しく」データが活用されるように

■事例5
 生産性向上のためのピープルアナリティクス(日立製作所)
・グローバルで約30万人の従業員を抱える同社
・従来の着実なタイプに加えて、より創造的な仕事ができる人材や
 行動力の高い人材も必要と考えている
・エンゲージメントサーベイは世に多く存在するが、
 生産性という視点でピープルアナリティクスを活用し
 施策につなげようという発想のサービスは少ない。
 そこで自分たちでつくってみようと考えた

・サーベイ開発の際、プロトタイプとして
 社外のホワイトカラー2000人(国内)を対象に予備的調査を実施
※最初に社内の従業員を対象にすると日立の企業文化から
 特定の傾向が強く表れてしまう懸念があったため
・業種、性別、年齢をバランスよくサンプリングしデータの標準化を試みた
・その後、社内の従業員にも調査対象を広げていった

・成果として、「生産性向上の意識」「配置配属のフィット感」
 という2つのモデルを確立
・2018年10月に「日立人財データ分析ソリューション」としてリリースし、
 社内外2万人実施の実績に

・「生産性向上の意識」のモデル
・健康を意識している「心身調整度」が高い人は生産性も高い傾向
・そして心身の調整がベースとなり、次は
 「効率性次元」「創造性次元」へステージが上がっていく段階的モデル
・また、生産性を高めるためには組織側も
 「意思決定過程浸透性」「自律尊重性」「成長支援性」
 「目標明確性」「働き方許容性」
の因子があることがわかった
・近年注目されている健康経営の通り、
 心身調整度が高く健康を保とうとしていることと生産性は直結している
・一方で生産性を上げるために「デザインシンキング」を高めよう
 といった話も見聞きするが、心身の調整ができていて、
 仕事が効率的にできてこそ、創造性は高まりやすいことを
 この段階的モデルでは示唆している
・また、残業が多い人は心身調整度が低い傾向にある
・無理して残業すれば短期的には成果が上がるかもしれないが、
 長くは続かないといえる
・残業時間の大小だけでは人事評価に差がつかない組織が増えており、
 真に生産性の高い働き方は必ずしも労働時間の長さに相関しない

・「配置配属のフィット感」のモデル
・配置配属のフィット感を高める個人因子は3つ
 ①対人関係安心感:私を受け入れてくれる居場所があると感じるか
 ②評価処遇納得度:給料や上司からの評価
 ③特性希望適合度:自分の性格や希望と仕事が合っているかどうか
・これらの得点が高い人は配置配属のフィット感も高い
・①対人関係安心感は、緊張感がない組織ではなく、
 上司・同僚からいい刺激を得られていることが大切
 ②評価処遇納得度は、自身の役割の意味を理解しているかどうかも大切
 ③特性希望適合度は、組織貢献への意識が持てているかも大切

・「配置配属のフィット感」が上がると
 先程の「生産性向上の意識」も上がることがわかった
・そして「生産性向上の意識」が上がれば「業績」も上がることを
 社内の営業組織で検証できている
・一方で仕事でパフォーマンスが出ていることと
 配置配属のフィット感は必ずしも一致しない

・今回のサーベイの特徴的なところは、
 個人のデータを本人とマネジャーに報告する点
目的はあくまでもキャリアアップや
 個人の生産性向上のために使用すること
であり、
 本人の同意をとった上でサーベイに回答してもらう設計にした

■事例6
 タレントマネジメントシステムの導入・活用(ヒロテック)
・埋もれた人材を”見える化”するため、
 タレントマネジメントシステムを導入し人材情報をデータベース化
「タレントパレット」のシステムを導入
・例として、社員の職位と年齢をマトリクス表示すると、
 傾向としては、年齢が上がるほど職位も上がっていく
・すると「昇進の階段」が見える化され、
 階段より上に位置している社員は順調に昇進している一方で
 同社は階段よりも下に位置している社員に注目した
・ある社員は語学留学や米国拠点の経験を持つグローバル人材候補
 にも関わらず、仕事の属人化により現場から離れることができず
 昇進が遅れていたこと、結果として経営層にも認知されていない
 "埋もれた人材"であったことがわかった
適正配置や抜擢、教育研修などを検討する際の参考に活用している

前回に続いて今回も
ピープルアナリティクスの活用事例を
3社紹介してみました。

従業員エンゲージメントや
生産性に関する分析は弊社でも
今年は一層進化させていく予定ですが、
対外的に分析結果を発信をする際は、
過去に学者の方々や他企業にて発表された
分析結果との整合性をチェックしつつ、
それでも弊社なりの+αの付加価値を
どうやって見つけて発信できるか…
そういった視点も大切だよなぁ・・・

そんなことを考えながら
本書を読み進めていました。

…ということで、学べば学ぶほど、
まだまだやるべき事&やりたい事は
多くなってきています。

将来的には、過去の論文や分析結果を
集めた上で、弊社の分析を追加して
メタ分析にまでエビデンスレベルを昇格
させることができたら本当に理想です!

そうなれば、
きっと世の中の様々な場面で引用される
確立された分析結果にできるのでは!?
なーんて妄想をしています…🙄

「ピープルアナリティクスの教科書」より抜粋

どうやったらメタ分析を実現できるのか
残りのGW期間中に調べて考えてみようと
思っている今日この頃です。

それではまたー!😉

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