パニック障害の改善法
パニック障害とは?
何ら前触れもなく突然、動悸やめまい、発汗、息苦しさ、吐き気、手足の震えといったパニック発作が度々おきるために、日常生活に支障をきたすのが「パニック障害」です。
なぜ、パニック発作がおきるのでしょうか?
その根本的な原因は、『低血糖とストレス』にあると考えられます。根本原因から様々な症状がおきるプロセスを段階的に解説していきましょう。
ステップ1.抗ストレスホルモンの分泌
まずは、低血糖とストレスによって、副腎からコルチゾールやアドレナリンが分泌されます。
コルチゾール(副腎皮質ホルモン)は胃のぜん動を弱くして胃酸の分泌を促すため、胃の痛みやむかつき、胃酸の逆流などといった症状が出ます。
アドレナリン(副腎髄質ホルモン)は血管を収縮させ、心臓のポンプ力を強めて血圧を上げて、心身を興奮させます。そのため心臓がバクバクしたり、頭や顔が火照ったり、頭痛やめまいがしたりなどといった症状が出ます。また、アドレナリンが分泌されると脳が興奮して、眠れなくなります。
ステップ2.高ナトリウム低カリウム血症
コルチゾールとアドレナリンによって代謝が高まると、何がおきるでしょうか?
そもそも代謝が高まるとは、一体どういう意味でしょうか?
それは、細胞の「ナトカリポンプ」が活発に働くことを意味します。つまり、細胞の中からナトリウムを排出し、逆に細胞内にカリウムを引き込むといった作用が高まるのです。
すると、血液にはナトリウムが多くなり、カリウムは減少します。
体内のナトリウムは水と一体なので、ナトリウムが増えると、血液の水分も増えます。そして、循環血液量が増えることによって血圧が上がります。
一方、血液中のカリウムが減少すると、筋力が弱くなります。そのため非常に疲れやすくなり、身体中のあちこちが痛くなります。(筋痛症)
弱くなるのは手足の筋肉だけでなく、胃腸を動かす筋肉も弱くなります。胃腸のぜん動が弱くなれば、内容物の移送が遅くなるため、異常発酵してガスが発生します。それによって、腹痛や膨満感を感じたり、便秘になったりします。
さらに低カリウムが進むと、手足がマヒして動かなくなったり、腸閉塞になったりすることもあります。
ステップ3.脱水
「高ナトリウム低カリウム」といった状態がしばらく続くと、腎臓の尿細管の再吸収の力が低下してきます。
腎臓は、血液を糸球体でろ過した後、尿細管でその大半(99%)を再吸収して血液に戻しています。その際、糸球体でろ過した原尿からナトリウムと水分を血液に戻す代わりに、血液からカリウム(と水素イオン)が排出されます。つまり、ナトリウムとカリウムが交換されるわけです。
しかし低カリウムが進むと、ナトリウムとカリウムの交換ができなくなってしまいます。
するとナトリウムを再吸収できなくなり、ナトリウムと水分が尿からどんどん排出されてしまいます。そのため頻尿になり、1日に何度もトイレに行くようになります。その結果、血液の水分が減って「脱水」になります。血液は「低ナトリウム低カリウム」という状態になり、低血圧になります。
脱水になると、血液がドロドロになって心臓や脳の細い血管が詰まりやすくなるだけでなく、乾燥肌やドライアイ、ドライマウスなどといった「乾燥症状」や、ふくらはぎが頻繁に攣るなどといった「筋肉の痙攣」がおきやすくなります。
ステップ4.アルカローシス
腎臓の尿細管でカリウムを排出する際に、水素イオンも一緒に排出されます。すると、血液のpHはアルカリ性に傾きます。この状態を「アルカローシス」といいます。
pHとは「水素イオン濃度」のことで、水素イオン(H+)が多いほど酸性に、水酸基イオン(OH-)が多いほどアルカリ性になります。水素イオンが排出されると、血液の水素イオン濃度は下がるので、アルカリ性に傾くのです。
すると、頭痛や吐き気、胃のむかつきといった症状が現れます。吐き気やむかつきなどがあっても、胃自体が悪いわけではなく、アルカローシスによって脳の嘔吐中枢が興奮して、胃の不快症状をおこしているのです。
ステップ5.過呼吸
アルカローシスになると徐々に呼吸が速くなって過呼吸になり、息が吸えないような状態になります。すると、血液中の二酸化炭素が減少していきます。二酸化炭素が減少すると、血液のpHはさらにアルカリ性に傾きます。
その結果、手足の指先がしびれたり、身体中がチクチク・ムズムズした感じになり、やがて手足がマヒしたり痙攣がおきたりします。これらは「二酸化炭素不足の症状」です。
パニック発作を防ぐには
以上が、パニック発作がおきるメカニズムです。
それぞれの段階で「体内で何がおきているのか?」を知ることで、「何をすれば改善するのか?」逆に「何をしてはいけないのか?」また「発作を防ぐにはどうすればよいのか?」が分かると思います。
不足するのは『ブドウ糖と水とナトリウムとカリウム』ですから、これらを補給することが必要です。これらがまとめて摂れるのが「松原式補水液」です。以下のものを混ぜて、1日3回くらいに分けて飲むとよいでしょう。炭酸水で作れば二酸化炭素も補えるので、より効果的です。
パニック発作を防ぐには、根本原因である「低血糖」にならないようにすることが、もっとも大事です。
低血糖とは、血液中のブドウ糖が不足した状態です。低血糖になると、脳が必要とするブドウ糖を、筋肉を分解して作り出します。筋肉を分解したタンパク質からブドウ糖を作ることを、「糖新生」といいます。
糖新生のために筋肉を分解するにはアドレナリンが必要なので、低血糖になるとアドレナリンが分泌されるのです。そのため、とくにストレスがなくても、アドレナリンが分泌されることによって心身が興奮して、心臓がバクバクしたり眠れなくなったりするのです。
こうして糖新生をくり返していると、筋肉がどんどん痩せ細っていきます。まず足腰の筋肉から減っていきますから、足腰が弱くなり、腰痛や膝痛に悩まされるようになります。
次に、肩や胸の筋肉が減っていきます。それによって肩コリが強くなり、頭痛、首の痛み、五十肩などといった症状に悩まされるようになります。
こうして糖新生によって筋肉がどんどん減っていくことで、コリや痛みが増していき、いずれ背骨や膝が変形していくのです。
筋肉の減少を防ぐには、ブドウ糖を十分に摂取することが必要なのです。
それには、ご飯をしっかり食べればよいのです。パンや麺でもブドウ糖を摂取できますが、グルテンによってリーキーガットになりますから、ご飯のほうがよいのです。それも玄米や雑穀米ではなく、白米や無洗米がよいのです。白米や無洗米には、リーキーガットの原因となるレクチンやサポニンなどが含まれていないからです。
茶碗1杯のご飯は、たとえ安静にしていてもわずか2時間半で消費されてしまいます。歩いたり荷物を運んだりすれば、1時間程度で消費されてしまいます。ランニングすれば、たった20分で消費されてしまいます。ですから食事のご飯が少ないと、思っているよりずっと早く低血糖になってしまうのです。
もし、食事と食事の間が長くて低血糖になってしまう場合は、間に何かでブドウ糖を補給することです。例えば、甘酒を飲むとか、ラムネ菓子(ブドウ糖+クエン酸)を食べるとか、コーヒーにブドウ糖を入れて飲むなどといった方法でブドウ糖を補うことで、低血糖になるのを防げます。
しかし、砂糖や果糖ブドウ糖液糖が入っているものは避けたほうがよいでしょう。砂糖は、「ブドウ糖と果糖が一分子ずつ結合した糖」ですから、半分は果糖です。果糖は、肝臓で中性脂肪に変換され、高脂血症や脂肪肝、肥満やインスリン抵抗性などの原因になります。
果汁をはじめ、缶コーヒー、エナジードリンク、滋養強壮ドリンク、乳酸菌飲料、スポーツドリンクや経口補水液、甘い炭酸飲料などには、かなりの量の果糖が含まれています。こういった果糖が多く含まれたドリンクは、できるだけ飲まないようにしましょう。
果糖ではなく、ブドウ糖を摂ることが大事です。脳が必要としているのは、ブドウ糖だからです。ブドウ糖が十分にあれば、アドレナリンの分泌を抑えることができるのです。
ブドウ糖を摂っても糖尿病にはならない
「ブドウ糖を摂ると糖尿病になる」と信じている人がたくさんいますが、実は違います。
およそ1世紀もの間、「糖尿病の原因は、インスリン不足かインスリン抵抗性」とされてきました。そして「糖尿病を防ぐには、糖質を控えることが大事」と言われてきました。
ところが2011年に、その常識が覆されました。糖尿病の真の原因は、『グルカゴンが過剰に分泌されること』と証明されたのです。(これについては、『糖尿病の新常識』に解説しています)
グルカゴンは、低血糖になると分泌される「血糖値を上げるホルモン」です。つまり、『低血糖→グルカゴン分泌→血糖上昇』となるのです。グルカゴンの分泌を抑えるためにも、低血糖にならないようにすることが大事なのです。
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