踊り場の友の「ほな」の手鳥雲に
三十分ほど遅く妻子が保育園から帰宅した。
友だちと帰りが一緒になり、遠回りしてきたらしい。
彼とは小学校が別。
彼らなりに別れを惜しんでいるのかな。
「寂しく感じる?」と息子に聞くと「よく分からない」。
実感はまだない様子。
振り返るに、私も思い出に残ってるのは卒業式や最終日より、個人との別れの場面だったりする。
大阪にいた小学校時代。
内気な私にお笑いを教えてくれ、一緒に学芸会コントをやった友。
あの時初めて台本を書いたことが今に繋がってると思うと、彼は自分にとって大きな存在。
転校で私が神奈川へ行くとなった時――
多くの級友が駅まで見送りに来る中、彼は泣き顔を見せたくないと、団地の階段の踊り場の柵から手だけを出して私を送った。
「バイバイ」じゃない、「ほな」って軽い感じの手つきで。
最後までひょうきん者だった彼。
あの光景が忘れられない。
夜、息子は黙々と先生へ手紙を書いていた。
全て自分の言葉で。
とても心のこもった文章で、私はそれを見て泣いてしまった。
(おどりばのとものほなのてとりくもに)
※いつも私の拙い「十七音」も楽しんでくれている皆さま
俳句ポスト365という俳句の公募サイトがあって。
私、初級者コーナーに毎月コツコツと投句してたんです。
約一年半、17回目にしてようやく優秀句を頂きまして、晴れて中級者へのお墨付きを頂きました。いや長かった。
それが今日の十七音の元句。
佳き区切りの日に「はなむけ」を頂いた気分。
今後は中級者だと周りに公言して、日々の俳句を趣味として楽しんでいけたらと思っています。