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海外のお話

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もっとゆっくりでいいんじゃないか?

もっとゆっくりでいいんじゃないか?

便利だ。ほんとに便利。

今はLINE、メッセンジャー、メールなんかですぐ連絡が取れる時代。

連絡が取れない。待ち合わせで会えない。
なんてことはほぼない世の中。

情報も人間関係も、あらゆることがスピードアップ。

そのスピード感は楽しいし、刺激的ではあるのだが、

「そんなに急いで僕らはどこへ向かうんだ?」

って感じる時もある。

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言語のお話

言語のお話

あっという間に金木犀の香りが過ぎ去り、今度は銀杏の香りがしてきました。
秋が深まってきましたね。大好きな季節です。

言語のお話をしたいと思います。

20代の頃、パティシエとして働くためヨーロッパのベルギーへ渡りました。
オランダ、フランス、ドイツに隣接したこの国の言語は、オランダ語、フランス語、ドイツ語が主に話されています。
島国の日本ではちょっと想像しにくいですが…。

パティシエとして働き

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ブロカントのお話

ブロカントのお話

「ブロカント」って?

響きからしてオシャレ感がある。

そう、欧州で長年愛され大切に使われ続ける古道具のこと。
フランス語かな?たぶん。

どうしてフランス語ってこんなに素敵な響きのある言語なんだろう?トレビアン。

その中でもやはり菓子作りに使われてきたものに惹かれる。
若い頃から雑誌で見たり、パティスリーに飾られている古い型に憧れていた。
向こうに行けたら絶対に買おうと。

26歳の時、よう

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クリスマスイブ前夜の事件

クリスマスイブ前夜の事件

十数年前の12月23日、クリスマスイブ前夜。
ベルギーのパティスリーで働いていた時の話。

菓子屋にとってもっとも忙しいのは、日本でもヨーロッパでも同じで、やはりクリスマスだ。

ベルギーへ渡り3ヶ月ほど経ち、仕事や言葉にも慣れて、ヨーロッパで迎える初めてのクリスマス。

クリスマスイブ前夜の23日は、夜11時から仕事が始まる。24日朝の開店に向けて、夜通しクリスマスケーキの仕上げを行うのだ。

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「人生を変えた一冊」恩師との出会い①

「人生を変えた一冊」恩師との出会い①

今年の「ジャムの旅」も無事終了したので、ちょっと懐かしい人に思いを馳せてみよう。

たくさんの人達との出会いの中で、僕はパティシエとして20年以上も働くことができているのだけれど、その中でも大きな影響を受け、人生を変えてくれた恩師がいる。

ベルギー、ゲントという街にある老舗パティスリー「ダム」のシェフ、ピット・ファベールさんだ。

パティシエとして働き始めて5年ほど経った頃から、ヨーロッパに渡っ

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「奥さんの強さは万国共通だ」恩師との出会い②

「奥さんの強さは万国共通だ」恩師との出会い②

ピットさんに手紙を渡してから2〜3週間が過ぎた頃、返事が来た。

答えは「ノー」だ。そっか…。

なんでもここ最近は移民や不法労働の取り締まりが厳しくなり、ビザの取得が困難になっていること、また規則を破った雇い主にも多額の罰金があること、が理由だそうだ。

まだ何も決まっていないのに勝手に盛り上がっていたから多少は落ち込んだが、その反面「そんなにうまくいくはずないよな〜。」という気持ちもあった。

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「時には厚かましさも大事だね」恩師との出会い③

「時には厚かましさも大事だね」恩師との出会い③

「うわ〜すごいな、こんな景色初めて…。」

日本を出発して12時間、パリのシャルル・ド・ゴール空港へ近づいた機内から見たフランスの景色。

当たり前だけど日本とは全く違う屋根の色、広がる草原に感動していた。

なんだかすごく遠いところに来たんだ、とようやく実感が湧いてきた。

とは言ってもこの後のことで頭がいっぱいだ。

スーツケースちゃんと出てくるかな?
ホテルってどうやって行くんだ?
フランス

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「スマイルが一番!」恩師との出会い④

「スマイルが一番!」恩師との出会い④

「喉乾いたでしょ?何がいい?水、オレンジジュース?」

店にいた笑顔が素敵な女性に聞かれた。

そう、その女性がピットさんの奥さん、アンさんだ。

「オレンジジュースください。」

いや、ください(シルヴプレ)って言ってないな。
単語でオレンジジュースって言ってるはずだ。
失礼だな…。今まで勉強してたでしょ…。

レジの横の椅子に座ってオレンジジュースをちびちび飲んでるアジア人。怪しい。

でも最

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「自分は何者でもない」

「自分は何者でもない」

4年ぶりに海外へひとり旅へ出た。
オーストラリアのキャンベラという街だ。
現地で暮らしているオーストラリア人の友人に会いに来た。

オーストラリアというとまずはシドニー、そしてメルボルンといった大都市へいく人が多いみたいだが。

キャンベラはオーストラリアの首都でありながら、自然に囲まれた静かな街。
人口は約37万人だから、日本の地方都市という規模感かな。

日本の首都東京では考えられないが、キャ

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100%キャッシュレスな旅

100%キャッシュレスな旅

「いつ現金使えばいいんだ?」

オーストラリアへの旅、1週間滞在したが結局最後まで現金を使う機会がなかった。

カフェでバーガーをかぶりついた時も。
ブリュワリーでクラフトビールを堪能した時も。
ファーマーズマーケットで新鮮な野菜、果物を仕入れた時も。
リムジンバスでシドニーとキャンベラを往復した時も。
博物館でアボリジニの歴史を感じた時も。

どんな場面でもスマホのApple Payで簡単に支払

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