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小さな家の小さな庭の話

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住宅街の小さな庭にも、四季がやってくる。
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2024年5月の記事一覧

エッセイ 立夏の贈り物

エッセイ 立夏の贈り物

 5月、サクラが咲き終わるころ、我が家の庭のリンゴの木には紅梅色の小さな蕾がつく。
 蕾は日に日に膨らみ桃色になり、中旬には白と薄ピンクの花びらがほころび始める。
 お天気が良いと、ダイニングの窓から、大小さまざまな蜂が蜜を吸いに来ているのが見える。
 一番目立つのは、マルハナバチだ。毛むくじゃらの黒い体に黄色い線が入った大きな蜂だ。小ぶりで黄色いのは西洋ミツバチだろう。

 リンゴは品種の違う木

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エッセイ 水無月の贈り物

エッセイ 水無月の贈り物

 郭公の鳴き声が聞こえると霜の心配がなくなるので、豆や苗を植えてよいと言う。
 我が家でも庭の菜園に苗ものやエダマメなどを植えつけていく。

 エダマメは土の中で水を含んで柔らかく膨らみ、根を下ろす。芽を出す前後は山鳩の食べごろなので油断できない。
 白い不織布の芽出しシートを敷く、防鳥糸を張るなど様々な防御策がある。
 私はかなり前から、ポリスチレンでできたコーヒーの使い捨てカップの底を切り取り

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エッセイ 真夏の贈り物

エッセイ 真夏の贈り物

 夏になると、我が家の御菜は、「和食」より「地中海食」が多くなる。
 庭の菜園の夏野菜とベリー類が収穫時期を迎えるからだ。

 「地中海食」とは、オリーブ油、野菜、穀類、鶏肉や魚、ナッツ、フルーツ中心の地中海沿岸諸国の伝統食を指す。
 地中海食がユネスコの世界無形文化遺産に登録されたのは「和食」の3年前だ。
 認知症や心疾患の予防効果が高いと、世界の注目を浴びている。

 私が料理で使う食用油は、

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