長編小説 みずみち 7
古民家の花村家が広くなった。住むのは圭二郎と福子、二人。福子は今まで通り、和裁と家事を担当していた。違うのは、病に倒れる前のフミのように、圭二郎の身の回りの世話までするようになったことだ。福子自身にとってそれは当たり前のことだ。圭二郎は、困惑するほど何一つ不便を感じなかった。
フミの月命日が来るたび、賢一の家族や圭二郎の兄嫁清子、フミの実家の者が出入りする。二人の様子にはまるで隔たりがなく、自然なようで不自然ともいえる関係。親子でも夫婦でもない二人を、彼らの中にはまっすぐ見