腹式呼吸で職員のストレス管理
📖 文献情報 と 抄録和訳
職員のストレス管理を支える労働力の回復力:長期介護労働者のための首尾一貫した呼吸介入
[背景・目的] 背景長期療養(long-term care, LTC)施設のスタッフは、人員不足や業務量の多さなど、長年のストレス要因を抱えている。このようなストレス因子はCOVID-19の大流行時に増加した;職員のストレスおよび幸福の管理を支援するためのよりよい資源が必要である。本研究の目的は、単純なストレス管理戦略(首尾一貫した呼吸)の効果を評価することである。
[方法] 2022年2月から9月にかけて、自己管理による首尾一貫した呼吸介入を評価するための事前事後介入研究を実施した。介入には基本群(呼吸のみ)と包括群(呼吸+バイオフィードバック装置)があった。
カナダ・アルバータ州の31のLTC施設から、最初に686人の参加者を募集した(包括群は359人、基本群は327人)。254名の参加者が介入前後のアンケートに回答した(包括群142名[55.9%]、基本群112名[44.1%])。参加者は、ストレス、心理的苦痛、不安、抑うつ、レジリエンス、不眠、慈愛の満足度、慈愛の疲労、燃え尽きを評価するために、介入前と介入後に自記式のオンライン質問票に記入した。混合効果回帰モデルを用いて、時間(介入前と介入後)とグループの主効果を検証し、時間とグループの交互作用を検証し、共変量をコントロールした。
[結果] ストレス(b = -2.5, p < 0.001, 95% CI = -3.1, -1.9)、不安(b = -0.5, p < 0.001, 95% CI = -0. 7, -0.3)、抑うつ(b = -0.4, p < 0.001, 95% CI = -0.6, -0.2)、不眠(b = -1.5, p < 0.001, 95% CI = -2.1, -0.9)、回復力(b = 0.2, p < 0.001, 95% CI = 0.1, 0.2)であった。
いずれの結果においても、2つの介入群間に統計的に有意な差は認められなかった。結論今回の所見から、首尾一貫した呼吸はストレス関連の転帰とレジリエンスを改善する有望な戦略であることが示唆される。この介入は、さらに
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
これまで、職員のストレスや燃え尽き症候群についてはいくつかの文献抄読をしてきた(関連note参照)。
その中で、やはり職員のストレス管理にどう対処していくか、というのは個人の問題ではなくて、集団としての課題であるように思えてならない。
なぜなら、そのストレスの原因自体が、実は集団の環境特性が与えている可能性が高いからだ。
もしそうだとすれば、個人のレジリエンス(ストレスへの抵抗力、回復力)を高めることで対処するだけではなく、その原因自体に対して対処する必要が出てくる。
さらに、帰結としても、個人に発生した燃え尽き症候群は、集団に大きな影響を与える。
これは、一人の職員が休んだ時に、職場に発生する影響を想像すれば容易にイメージできるだろう。
こう考えると、原因としても帰結としても、集団が職員のストレス管理、燃え尽き症候群の予防に着手するべきであることは明らかであろう。
そうはいっても、何から、どうやればいいのか?
そんな疑問に対して、今回の抄読研究は1つの答えを与えてくれた。
それは、『腹式呼吸介入』である。
1日5-7回の腹式呼吸、時間にすれば2-8分間、それでストレス、不安、抑うつ、不眠、レジリエンス、燃え尽き症候群に好影響を与えることができるのだ。
例えば、朝礼の中にこの腹式呼吸介入を組み込む、昼休みにセッションを行うなど、簡便に取り入れることができるだろう。
腹式呼吸介入、ぜひ集団の行動習慣に組み込みたい。
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