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「自分の影」と向き合い、力に変える方法
最新トレンド「シャドウ・ワーク」
最近、海外で注目を集めている「シャドウ・ワーク」をご存じですか?これは、心理学者カール・ユングの理論をもとにした自己成長のための実践方法で、自己啓発、スピリチュアル系、コーチングなど幅広く活用されています。最近ではジャーナリングに応用した本が出版され、TikTokで若い世代を中心に爆発的に話題となりました。
「自分の影の部分」と向き合うこの方法は、シンプルながらも非常にパワフルで
「子どもの頃のトラウマが癒された」
「自己成長につながった!」
「本来の自分を取り戻すことができた!」
「潜在能力を発揮し、自由や成功を手に入れることができた!」
など大きな効果を実感する人が多いことからとても有効だと注目されています。
日本では「陰陽」の考え方や、それを統合することの大切さが語られることがありますよね。確かに、「シャドウ・ワーク」はこの陰陽の統合に通じる部分があります。ただ、「シャドウ・ワーク」では、特に自分の内面にある「抑圧された部分」や「無意識の力」に光を当てることに重きを置いています。
「シャドウ・セルフ」ってなに?
「シャドウ・セルフ」とは、「周りに見せているあなた」と対をなす「影」の部分。表には隠している自分です。
具体的には……
抑圧された感情や性質
シャドウセルフには、怒り、嫉妬、恐れ、劣等感、恥、罪悪感など、ネガティブとされる感情や性質が含まれます。それだけではなく、自分が認めようとしない「ポジティブな特性」も隠されることがあります。たとえば、自己表現や創造力などが「良くない」「役に立たない」といったように蓋をしたり、無視してしまうことです。外部投影
シャドウセルフは、自分では認めていない部分のため、他人に投影されることがあります。例えば、「あの人は怒りっぽい」と感じるのは、自分の中の怒りを認めていないからかもしれません。また、嫉妬してしまうのも、自分の中にある本当の望みや、しまい込んでいる能力があるからかもしれません。
なぜ「シャドウ」に向き合うの?
多くの人は、自分の影を無意識に避けています。
また、ネガティブな感情や自分の本当の望みを見ないように、感じないようにしていると、潜在意識へと押しやられ、一時的にはモヤモヤを感じずに過ごせるのですが、押さえ込みすぎるとどんどんと膨れ上がり、次のような問題となって現れることがあります
人間関係で疲れる(「いい人づかれ」や「仮面疲れ」)
何をやっても自信が持てない、充実感がない
同じ悩みや問題が何度も繰り返される
シャドウに向き合うことで、自分でも気づかなかった隠れた力や可能性を発見できます。また、影を受け入れると、抑圧するために使っていたエネルギーが解放され、心が軽くなり、自分らしく生きることができるようになります。
「陰陽の統合」とどう違う?
日本の「陰陽」の考え方は、光と影のように、対立するものが調和することでバランスが取れるという思想です。「シャドウ・ワーク」もこの点で似ていますが、特に「無意識」や「抑圧された部分」に注目しているのが特徴です。
たとえば、「嫉妬」という感情を例にとりましょう。陰陽の考え方では、「嫉妬も自分の一部だから受け入れよう」という視点が強いのに対し、「シャドウ・ワーク」ではさらに一歩踏み込み、「嫉妬が教えてくれる、本当に欲しいものは何だろう?」と探ることを重視します。
シャドウ・ワークの簡単な流れ
シャドウ・ワークはざっくりと言うと、「影の自分」を知って、それまで見えなかった部分、見ないようにしていた部分に光を当てて解放し、潜在意識から「意識」に持ってくる。そして新しい自分像、自己イメージを作っていく作業です。(ユングはこれを「アイデンディティー・シフト」と呼びました。)
シャドウ・ワークは以下のようなステップで進めることができます。
ステップ1:リストを作る
自分が恥ずかしく思っている部分や隠している部分を具体的に書き出し、シャドウセルフを視覚化します。「特徴」「態度」「行動」に分けるとより分かりやすくなります
例)「自分の嫌な部分を探してみる」
・特徴: 人の成功を妬む自分がいる。
・態度: 周りと自分を比較して、劣等感を感じる。
・行動: 嫉妬しているのに、それを無理に隠し、逆に相手を褒める。
ステップ2:恐れや恥を直視する
特に恥は抑え込んでいるときに力を持ちますが、それに認識を向けると力が弱まり、何がそうさせているのかが理解できれば、手放しやすくなります。
例)「人を妬むなんて恥ずかしい」と思っているのであれば、「妬む自分」をまずは受け入れます。「私は妬むと言うことは、本当は自分が望んでいることなのかも」と探っていきます。
ステップ3:名前をつける
シャドウセルフに名前をつけ、その視点から行動を考えます。「この状況でシャドウセルフならどうするだろう?」と問いかけることで、シャドウセルフを活用できます。
例) 「妬み屋さん」と名前をつけ、「妬み屋さん」の気持ちを共感します。そして「本当はどうしたい?」と問いかけることで、自分の「本当の気持ちや望み」に気づいていくことができます。
さいごに:「シャドウ・ワーク」はどう役立つの?
シャドウに向き合うのは、簡単そうに見えて、実際には難しいこともあります。でも、少しずつ取り組むことで、大きく、深い変化につながります。
もしあなたが、「いい人」を演じるのに疲れていると感じているなら、あなたのシャドウが「本当はもっと自分らしく生きたい」とサインを送っているのかもしれません。このサインに気づき、受け入れることが、シャドウ・ワークの第一歩です。
「シャドウ・ワーク」は、自分をもっと好きになるための素敵な方法です。あなたの中に隠れている力を探してみませんか?