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不協和音 (1分ショートショート)
中高年のバンドが、ステージを終えたジャズバーで、打ち上げをしていた。
「声が、演奏とズレてたよ」
「高いキーが多いから、疲れてたのかな」
「音域が狭い曲に、変えてみようか」
メンバーたちが、女性ボーカルに提案した。
女性ボーカルは、いきなり、マライア・キャリー並みの高音を発した。
パリンッ!
持っていたシャンパングラスが、割れた。
「本当に、私の方の問題かしら?ずっと不協和音を奏でていたのは、どっちの方よ」
ムッときた男たちは、席に置いていたサックスやトランペットやジャズギターで、即興曲を演奏しはじめた。
卓上のワイングラスが揺れ、次々と割れた。
「オレたちは、完璧に共鳴しあってるよ」
皆の譜面台を片付けていた、バーのマスターが言った。
「皆さんのメガネが、先に割れたんでしょうね」