逆に、読むのに1日以上かかる物語 ロングローング！？ ショートショートへの抵抗🤜🤛ですね…

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) こねこねとパンの白い生地を捏ねる。美味しくなあれ、たんと膨らめ。一次発酵を終えると柔らかい生地がしっとりと手に馴染んだ。ああ、うまく焼くからね、安心して二次発酵をしておいで。 #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) ぼくには大切な物がたくさんある。いつもは箱に詰めて奥に仕舞い込んでる、ぼくの宝物。たまに出して手に取って、眺めるんだ。不思議なんだけど、見る度に毎回、見え方が違うんだよ。 #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) 光を掴めないだなんて誰が言った？　雲には乗れないだなんて信じるのか？　あの頃はこのちっぽけで無限大の自分を信じ切っていたが、今じゃあそれが恥ずかしい。目の前の光も雲も見えているのにな。 #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) 聞いてくれ、部屋の白い壁に植物の芽が、双葉が開いた。すぐさま摘み取ろうと手を伸ばし、指を仕舞う。引っこ抜くのは簡単だが、手前はそれでいいのか。こいつはそのうち花を見せるかも知れないぞ。 #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) 例えあなたが１世紀もの長い時を独りで生きてきたとしても、寂しくないわけがない。俺に何ができるのか考えない夜はない。あなたと共にありたいと言えればいいのに。今はただ黙って傍に居させて。 #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) 真空を羽根が落ちてゆく。同じ速さでボールも落ちて、無音で地を跳ねる。おかしい、どうして私は宙を飛んでいるのかしら。まるで地面が、降りてくるなと私を拒んでいるようだわ。 #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) 友達以上、恋人未満だなんて言うけれど、あなたは私の何かしら？　誘えば着いてきて荷物持ちをしてくれる。だけど恋人じゃあないわよね。わたし決めてるのよ、あなたを誰にも貸してあげないわ。 #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) なぜだろう、ここに在るはずの何かが足りない。だがそれが何なのかがわからず頭を抱えた。いつになっても自分は未完成だと笑う。ぽっかりと空いたこの穴に何を足せばいいのか考え、想いを巡らせた。 #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) 真っ暗な一本道が続いている。トンネルの中かとも思ったが狭くて何かが違う。ここは何処だろうかと来た道を引き返そうとして、向こうから水が流れてきた。しまった、ここはおそらく管の途中だ。 #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) 眠い、とても眠い、もうすぐ冬が来るんだ、眠らなきゃ…。心配はいらない、たくさん食べて肥えたから大丈夫だよ。起きたらきっと空が暖かくなっている。ほら、安心して眠ろう。 #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) コルセットを目一杯に締める。力の限りに細く見せるのには理由があるのよ。殿方に美しく見られたいのだけじゃない、ただひとり、あの人を惚れさせるため。ドレスは二の次、かわいいのは私よ。 #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) 下を向いて歩く。後ろめたい事が自分の背中と後頭部を打った。なぜ言い出せないんだ、悪いのは自分だ、わかっているのに声が出ない。ああ、なんてちっぽけで弱いのだろう。 #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) ふと空を見上げると白い羽根が一枚、私の手のひらに舞い降りてきた。見れば見るほどに純白だ。もう一度、空を仰ぐ。綿あめのように軽く真っ白い雲、その向こうにこの羽根の持ち主がいるのかな。 #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) 泡のような引き潮の波が、砂に立つ俺の足裏をすくう。微かにくすぐったい感覚が俺の忘れたい記憶を思い出させた。真夏とは違う冷たい海水は彼女とは真逆だ。だが足元には絶えず小さな波が襲う。 _〆 (゜゜〃) #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) 太陽の昇らない夜は無い、というのは迷信だ。どれ程の間、ここに夜が続いているだろうか。もはや恋しいとさえ思う宵闇が消えては、もう自分じゃない。だけど明るい世を夢見ずにはいられないのだ。 #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) 俺には人にはない特殊な力がある。それを商売に使って、今じゃあここは街一番の繁盛店だ。なに、金を集めるのは楽しいがそれだけじゃあない。客を喜ばせたいってえだけじゃあ、動機としては不純か？ #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) 龍笛をつくっている。楽器作りの職人だと言えば聞こえはいいが、僕はまだまだ。この手の内の音色から、我が身に疼く平安の世を思い描く。きっと光源氏もこの音を聴きながら思いを馳せたことだろう。 #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) 尻尾を振ってご主人にアピールする。前足を上げれば僕の手を取って笑って頭を撫でてくれる。ああ、僕のだいすきなご主人。ふたり暮らしのこの部屋は、僕とご主人だけの愛の巣だ。 #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) 太陽が欠けていく。俺の一歩、いや三歩先で絶対的に輝くお前がもう見えない。知らなかった、輝きのその先には必ず濃い影があるという事を。ああ、お前のその影を俺が光で照らすことを許してくれ。 #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) 頬を抓る。よかった、夢じゃない、だけど痛みがない。心が病んでいるからかしら。さっき、こうして私の頬を抓ったあなたへの恋の病よ。 #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) 部屋の水槽でテトラを飼っている。そっと水面へ指を添えれば、餌だと勘違いしてテトラが寄って来た。こんな狭いところに閉じ込めてごめんね。だけど僕には君が必要なんだ。 #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) 今夜も残業だ。向かいの席のあいつの頭が見える、まだ居るようだ。気づかれぬようそっと様子を窺うと視線が合った。他に誰もいない薄暗いオフィスだ、少し無駄話をしようか。 #小説 #ショートショートショート #創作BL

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) 心に痣がある。あいつが施したそれが今になって疼くんだ。起きて独りのベッド、コーヒーを淹れる香り、家を出る時の閉まるドア、日常に潜むあいつ。もう戻らないからこそ、痣が恋しい。 #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート) _〆 (゜゜〃) 稲を刈り、薪を割り、畑を耕し、あの人の手伝いをする。居候しているのだから当たり前だ。俺が忙しくしていればあの人も退屈しないんじゃないのか。ねえ、俺を見て。 #小説 #ショートショートショート #BL

「僕の生涯を語ります。もし憐れに思ったら僕のことを星座にしてください」と神様に祈ったが、笑話としてしか語られなかった少年。