学校に行かないという選択。「段ボールでピザは焼けるのか?!」
いつだって、物事は突然動き出すもの。
一昨日の突然の〈思いつき王子〉のひとこと。その時刻、21時。
「段ボール窯でピザ焼きたい。」
え~っと????
どうやらこの発言の出処はこちら。
とにかく、アウトドアが好きな長男。先日も、急に、「テントで寝たい気分になったから、テント立ててくる。」とお隣の空き地にテントを立てて、そこで寝泊まりしていた。
夫が、「やりたいなら、自分で調べてごらんよ。今日は遅いから、明日ね。」
そこから、長男は、自分でネットで段ボール窯の作り方を調べたようで、
外玄関にある大きめの林檎の段ボールを確保し、翌朝は、段ボール窯をつくり始めていた。
工作好きの長男、手慣れたものである。
段ボールを切り開き、アルミホイルを丁寧に貼り付けていく。長男はスティック糊をつかっていた。
ボンドとかでやる人もいるの?と聞いたところ、
「いろんな人がいるみたいだけど、アルミホイルの輻射熱で焼くだけだから、接着剤の影響はないとは思うけど。」とのこと。
段ボール窯は、直火ではなく、炭と段ボールの内側に貼られたアルミホイルの輻射熱で焼けるので、段ボールが燃える心配はないとのこと。
アルミホイルを貼り付け終わると、元の段ボールの形に組み直す。
段ボール窯を3段構造にしたいから、と夫に相談しつつ、針金と金網で段ボールの中を3段にする。針金を通す位置や穴をどの程度開けても、中の熱が逃げることに影響はないだろうかと、話し合っている。
理系。
母は、美味しいものが食べられるなら、それで嬉しい。理論とかわからない。でも、美味しいものを作ったり、それを再現するには、本当はそういう理論も大事なのだろうなぁ、と思ってはいる。思ってはいるけれど、数字をみた時点で思考が止まる。
「段ボール窯作る前に、生地を作っておかないとダメだったみたい。生地を寝かせる時間がかかるから。」
なるほど。そうだよね。
長男は、ピザ生地レシピを調べ始める。とにかく、便利な時代である。
ピザ生地 レシピ
と検索すれば、いくらでも、レシピが出てくる。余計なお世話だが、レシピ本の売れ行きを心配する日々である。
長男は、砂糖を使わない、元ピザ屋・店員さんのレシピを選んだようだった。
粉を計量し、たくさん食べるから2倍?いや3倍?と計算してメモしている。しかし、それではあまりにも、多いから、生地を捏ねる時に大変なんじゃない?と声を掛けると、それはそうだね、と半分に分ける。
粉を捏ねる時は、二男も協力し、ドッタンバッタンと生地を叩きつけて捏ねていく。
「いつか、指でくるくる~ってピザ生地を伸ばしてみたい。」
長男が小さなピザ生地を人差し指の上に乗せ、くるくる~と回しては、
ビタッ
床に着地した音がする。
「気にしない♪気にしない♪」
アナタは一休さんか。
生地のベンチタイムは、1時間半くらいとのこと。
パンは好きだけど、焼かない私は、パン生地はもちろん、ピザ生地のこともまったくわからない。パンも食べるのが専門である。
冷蔵庫を開けると、微妙に材料が足りない。生地が出来上がる前に、と末娘と一番近いショッピングセンターに買い物に出ることに。
何買ってきて欲しい?
長男に聞くと、
「え~っと、アンチョビでしょ、あとオリーブとベーコン。バジルもあったら嬉しい。」
渋いな、13歳。
アンチョビとオリーブの実って。
私も好きだけど。
夫からは、「ピーマン!」とのリクエスト。
折角のピザ窯で焼くピザだから、と美味しいベーコンを奮発した。
アンチョビの瓶って、上げ底だなぁ、と思ったり、オリーブの実の酢漬けって、自分では作れないのかなぁ、とか、いろいろ考える。ピーマンとパプリカも忘れずに。美味しそうなマッシュルームもあったので、それも買い物カゴに入れる。
トマトソースは作り置きしているものがあるし、ミックスチーズもある。
これで大体いい感じになるだろう。
帰宅すると、既に男子たちは、BBQコンロで、炭作りをしていた。
あとは、生地を伸ばして具材を載せ焼くだけだ。
二男や末娘も自分で好きな具材を載せていく。
二男は彩りもバランスも良く。玉ねぎも、マッシュルームも、パプリカも。
末娘は、一切野菜を載せず、ウインナーやハムやベーコン、ツナ、トウモロコシ。そしてチーズをこんもり。流石、肉食系女子。
まぁ、それもいいよね。
最初は生地を12個に分けたらしいが、それでは、生地が大きすぎるということで、更に半分にして、24個に分ける。そして、後半、「もっと薄い方がいいかも」と、途中から更に分けたので、最終的には36枚の小さな可愛らしいサイズピザの生地が出来上がった。
段ボール窯は三段作り。一度に焼ける枚数は3枚。
あのぉ、全部で36枚ありますよぅ。
窯内の予熱温度の理想温度は200℃らしいが、そこまで上がらなくても、
問題ないのでは?そもそも、段ボール内で200℃まで上げるのは難しいよね、ってことで、そこそこに温度が上がったところで、焼き始める。
様子を見ながら焼くのだけれど、あまり頻繁に箱を開け閉めすると箱の中の温度が下がってしまうので、最小限に。約20分程で焼き上がり!
一番下は炭に近いので、焦げやすいようで、最初のピザは、裏が黒く焦げ気味だったが、それもご愛嬌。上の二段は火の通りが甘くなりやすいかもね、と入れ替えて焼くようにする。(夫が担当してくれていました。)
その間、長男は、ひたすら生地を伸ばして広げる。
私がトマトソースを塗って具材を載せる。
二男と末娘はウッドデッキに具材を乗せた生地を、慎重に運ぶ。
家内制手工業ベルトコンベア。
流石に、36枚を全部段ボール窯で焼くのは時間がかかりすぎるので、半分はオーブンで焼く。そして食べ比べ!
「やっぱり、炭火で焼いたのは美味しい!!!!!」
と、パクパクと頬張り、ピザは子どもたちのお腹に収まっていく。
この光景を見るのが好きだ。
子どもたちが、美味しそうに何かを頬張る姿は、私の中で、〈幸せの象徴〉かもしれない。
長男は、次の課題を見出している。
「縦に三段だと、焼けムラができちゃうから、横長の段ボール窯にするよ。
あと、たくさん焼けるように、何台か作るかな。あと生地の分量も・・・」
こうして、自分で工夫していくことが、学びそのものだ。
「段ボールピザ窯のワークショップとかやってみたら面白いかもねぇ。子どもたち、喜びそうじゃない?」と提案したら、「そういうので参加費高く取ったりするのは、好きじゃないから、材料費と労働力だけ払って欲しい。」とのこと。「知り合いとかじゃない人を対象にしたい。」とも。
無意識にも、新しい出逢いを求めているのかもしれないな、などと思いながら、お金を目的としない、そういう考え方、母は結構好きだよ、なんて心の中で思う。
「あとさ、ピザ職人の人みたく、指先でくるくる~って生地回してみたいなぁ。」
と、動画で世界一のピザ職人さんの動画を真剣に観ていた。
「観るだけじゃ、ぜんっぜん、わっかんねぇ!!!!」と叫ぶ長男。
あはは。
学びって、肌で感じることでもあるから。
いつか、ピザ職人さんから直に習える日もくるかもしれない。
それまでは、家内制手工業の段ボールピザ窯のプロを目指すのもいいんじゃないだろうか。
「こんなに簡単にできるんなら、もう外で食べなてくもいいかもなぁ。」
満足そうな子どもたち。
父も母も、久々にピザだけで、お腹いっぱい。
次のピザの出来が楽しみ。
また、新たな発見があるのだろうね。
結論・段ボール窯でピザは焼ける!
今回、長男が参考にさせていただいた記事はこちらです♪
ありがとうございます!