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つどうものたち 短編映画感想 そういう展開か 

つどうものたちは30分ほどの短編映画 故郷に帰って来た瀬戸の家に集まって来る同級生達の会話劇 なにやらあいつはあいつが好きで、でもあいつは気がついてなくてというだらだらな空気があるあると思いながら見ていた ラストはびっくり展開になるが、違和感から気付く人は気付くだろう 30分なのでさくっと観れるのがいい この後の展開はどうなるのか、余白を残しているのもいい

    • サロメの断頭台 夕木春央 読書感想

      ロデウィック氏は日本に旅行へいったついでに、かつて実家にあった置時計を買い戻そうとしていた その時の買い手は死亡し孫の井口が置時計の行方を捜してくれた 井口は画家だったので作品を見たいというロデウィックの要望に応える しかしまだ発表していないその絵をどこかで観たと言い出した 誰かが盗作したのか なんの為に? 井口は友人の蓮井と共に犯人探しを始める 未発表の絵を誰かにパクられたかもしれない その犯人を捜していく内に連続殺人が起きる 時代が大正なので話し方など独特な空気がある

      • ザ・メニュー 映画感想 普通のものが食べたい

        孤島の高級レストラン マーゴは彼氏のタイラーに連れられてやって来た 船に乗っている人達もセレブばかり どこか冷めた様子のマーゴ 出て来た料理はストーリーがありシェフが説明する 興奮している様子のタイラーに冷ややかなマーゴ これが料理?と疑問に思う コースが進むにつれて普通ではない空気を嗅ぎ取る 意識高い系の料理を鼻で笑うストーリーかと思ったら違った 狂気なシェフと心酔する客と巻き込まれた客とのイベントを見せられた気持ち いや、シェフ病んでいるよ スタッフと一緒に病院行け

        • この場所であなたの名前を呼んだ 加藤千恵 読書感想

          NICUを舞台にした連作短編集 子供に対して不安な気持ちを持つ親 見舞いに来ない親に対して思う所がある看護師 ベテラン看護師は家で子どもへの接し方に迷う いつも綺麗に掃除をする 孫もNICUに入っていた 夫が浮気をしている臨床心理士 姉と子供を亡くした医師 色々な人達の人生がNICUで交差している 一つ一つの話は短いけれど、ずしっと響く NICUに入っている子供を見て不安にならない親はいないだろう そして事情があって頻繁に子供を見に来られない親もいる 酷い親だと思う?

          オクス駅おばけ 映画感想 あの作品が見え隠れ

          記者のナヨンはオクス駅で起きた人身事故でいないはずの子供がいたという記事を書くことにした ちょうど彼氏のウウォンが保安係として働いているので監視カメラの映像を手に入れてもらうように頼む 事故を起こした運転手にインタビューを申し込みまた記事を書くが、実はその運転手は会っていたときには死亡していた 日韓合作の作品 やたらリングっぽいなと思ったら脚本で協力しているからとわかって納得 井戸が出て来たとき、え?これリング?と思ったくらい ストーリーもリングに似ているなあと(呪いを

          オクス駅おばけ 映画感想 あの作品が見え隠れ

          その愛の程度 小野寺史宜 読書感想

          溺れている二人の子供。守彦が助けたのは血の繋がりがない娘ではない子だった。 そこからぎくしゃくし始めて、別居の流れとなる。 別居の間に助けた子供の母親に声を掛けられて、働いているカフェへ通うようになった。 溺れている子供達 血の繋がりはないとはいえ、娘を助けたはずだった しかし腕の中にいるのは別の子だった 娘は他の人が助けてくれた これだけだと重い話かと構えていたけれど、守彦が淡々と受け止めているせいか、深刻な状況に思えず進んでいく 助けた方の子とも仲良くなるし、その母

          その愛の程度 小野寺史宜 読書感想

          定食屋「雑」 原田ひ香 読書感想

          夫の健太郎がだんだんと体重を増やしている 外食して帰ってくるからだ 定食屋「雑」に通っていると知り、沙也加はその店に行ってみる 雑の女主人は浮気相手にも見えない 雑の定食の味はとにかく甘い 何が惹きつけるのだろうと沙也加は雑に店員募集の貼り紙を見て、申し込みをした 健太郎の言い分もわからなくもない 序盤の沙也加は食べ方を認めない、押し付けすぎている これでは息も詰まるし、別れも考えても仕方ないとも思う しかし離婚協議中に女作って、家賃半額ですか、そうですか 話が進んでい

          定食屋「雑」 原田ひ香 読書感想

          ルックバック 映画感想 漫画は読んでいたとしても

          ルックバックの配信が始まった 漫画として読んだときの気持ちが変わるだろうかと思いながら視聴 結果:感動は変わらない 結末を知っていたとしても泣いた 知っている分泣いた 漫画をアニメに起こすと当たり前なのだけれど色が付き、静止している絵に動きがつき、コマとコマの間にも流れが出来る 漫画は面白かったのにアニメになると、なにか違う作品も観たことがある 単にアニメとの相性がよくない、場合もある 原作の良さを引き出せない作品もあった しかしルックバックは原作の良さを引き出し、

          ルックバック 映画感想 漫画は読んでいたとしても

          おいしいごはんが食べられますように 高瀬隼子 読書感想

          芦川さんは仕事をし過ぎると頭が痛くなると言って帰る 皆がフォローしてその仕事をすると手作りお菓子を持ってくる 二谷は一応芦川さんと付き合っているがごはんは美味しく食べるべきことを強要されるのが苦手  その二谷を飲みに誘った押尾は芦川さんが苦手だと告げた 誰にも共感出来ない物語だった わかるところはあるのだけれど、全員どこか引いてしまう人達 まず芦川さんの仕事の出来なさは会社にいたらやる気をなくすレベル しかも支店長や庇う人がいるから、じゃあ仕事やっている人からしたらなんな

          おいしいごはんが食べられますように 高瀬隼子 読書感想

          夫の墓には入りません 垣谷美雨 読書感想

          結婚して15年 東京に出張したはずの夫が市内のホテルで急死した 報せを聞いた夏葉子は女の影を疑う さらに送金していたことにも気付き、夫の死は哀しみよりも怒りが先に立つ 葬儀後には夫の両親が勝手に合鍵を使って入ったり、老後は頼むようなことをほのめかす 自分に自由はないのか 夏葉子は今後の人生を考える 最初に読み始めた印象から、最後はがらっと変わる もう逃げて、逃げてとしか思わなかった序盤 夏葉子は実の両親よりも、夫の両親の方が好きだった 上品で、過干渉でもない良い人達 と

          夫の墓には入りません 垣谷美雨 読書感想

          図書館のお夜食 原田ひ香 読書感想

          樋口乙葉は夜の図書館へと転職をした 有料の図書館 作家が亡くなった後の蔵書を保存しているちょっと変わった図書館 訪れる人、寄贈する人、ひと癖ある人達と関わっていく お夜食は小説に関わっているものばかり 美味しそう 蔵書の整理をしながら、一緒に働いている人達の過去を挟み、お夜食を食べる そして謎のオーナー 何故この図書館が開設されているのか スケール大きい話に驚かされる 登場人物が多かったけれど、あまり掘り下げがないから続くよね?と期待したい 一冊で終わるにはもったいない

          図書館のお夜食 原田ひ香 読書感想

          リバー、流れないでよ 映画感想 二分だけループする設定

          貴船の老舗料理旅館が舞台 ふとした瞬間から二分が永遠にループする 原因を究明しながら平和に二分を送ろうと提案するけれど、もめ事は必ず怒る ループものはもう珍しくもなくなったけれど、たった二分が繰り返されるというアイデアは新しい なにしろ二分しかないからやることは限られている 最初は事実確認 そこから旅館にいる人達との認識を共有 でも二分しかないのにどうやって解決するのか え、ループの原因それ? どたばた え、ループの原因それ? 解決! 時間の有効な使い方、効率が勝負となっ

          リバー、流れないでよ 映画感想 二分だけループする設定

          ぜんしゅの跫 澤村伊智 読書感想

          比嘉姉妹シリーズ第5弾 短編がそれぞれ入っていて、意外な人が主人公にもなっていて驚く 怖さとしては少し物足りない部分も。 一番怖いと思ったのは病院の話 ラストでぞっとする 最初の話はこの人が主人公かと気付いた時点で絶望する あの後、子供はこうなったかと思うと気の毒 いじりキャラとして生きていたのだろうけれど、大人になってからは嫌なことは嫌と言わないと尊厳を破壊され続ける 披露宴の空気がひたすらキツイ 表題はラストがよかったねで終わるし怖いとも思わなかった シリーズを読ん

          ぜんしゅの跫 澤村伊智 読書感想

          法廷占拠 爆弾2 呉勝浩 読書感想

          前作からの続編 スズキタゴサクの裁判中、突然発砲音がした この104号法廷を占拠する 動画での配信で犯人は「死刑囚の死刑を執行しろ」と要求する 人質は法廷内全員 犯人の狙いはなんだ? 面白かった スズキタゴサクとは別の犯人がテロを起こす 法廷に持ち込まれた爆弾は本物か? 更に別の場所に仕掛けられた爆弾に緊張感が増す 犯人の真の目的 スズキタゴサクの行動 警察達の焦燥 同時進行で全部が面白い それにしても親ガチャなんて生易しいものじゃない こんな親でどうやって生きられる

          法廷占拠 爆弾2 呉勝浩 読書感想

          ジョーカー フォリ・ア・ドゥ 映画感想 タイトル、アーサー(ジョーカー2)だったら

          前作から二年後 アーサーの裁判が始まる 責任能力があるかなしかに焦点が当てられる ジョーカーを持ち上げる者、断罪する者、世間は揺れる 精神病棟の別棟で音楽セラピーを受けているリーと目が合う 看守はアーサーに音楽セラピーを受けさせる提案をし、リーとの接点が出来た 賛否両論だった作品 観る前から否定的な意見も目にしたので、ものすごく低いハードルで鑑賞したせいか 「そんなに悪くなくない?」な感想となった ただ期待して観たら、なにこれ?こんな展開が観たかったわけじゃないになっていた

          ジョーカー フォリ・ア・ドゥ 映画感想 タイトル、アーサー(ジョーカー2)だったら

          夜に星を放つ 窪美澄 読書感想

          全体的に別れが入っている短編集 苦しくて悲しくてそれだけでない もの悲しいけれど、ふっと温かくなる話もある そうでないのも混じっているが 真夜中のアボガド 双子の片割れを亡くした主人公 もし電車で彼氏と会わなかったらと思うと気になってしかたなかったなんだよあいつ 銀紙色のアンタレス 青春・初恋・田舎の空気が混じっていて好き おばあちゃん長生きして 真珠星スピカ 母親の幽霊が見えるいじめに合っている子の話 泣いた これは反則 湿りの海 もう二度と我が子と会えないのではな

          夜に星を放つ 窪美澄 読書感想