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夫の墓には入りません 垣谷美雨 読書感想

結婚して15年 東京に出張したはずの夫が市内のホテルで急死した
報せを聞いた夏葉子は女の影を疑う
さらに送金していたことにも気付き、夫の死は哀しみよりも怒りが先に立つ
葬儀後には夫の両親が勝手に合鍵を使って入ったり、老後は頼むようなことをほのめかす
自分に自由はないのか 夏葉子は今後の人生を考える

最初に読み始めた印象から、最後はがらっと変わる

もう逃げて、逃げてとしか思わなかった序盤

夏葉子は実の両親よりも、夫の両親の方が好きだった
上品で、過干渉でもない良い人達
ところが夫が亡くなったことにより距離感が狂って来る
そうなると話が違ってくる

夫がいなくなった女性は舐められる 怖過ぎるけどまたこれも真実
夏葉子の実の父が頼もしい人で良かった
ここが救われる

そして夏葉子が最後は全てを切ったのではなく、気持ち良く過ごしたいという選択したのはよかった

文庫本で書かれている解説と合わせて読んでほしい
夫が亡くなり、夫の両親を介護しても嫁の立場の人には遺産は入らない
夫に兄弟姉妹がいたら、ただ働きさせられた挙句に追い出される可能性がある
人の好意を当てにするだけでは人生は渡っていけない
時にシビアに生きるのも大切だと教えられる

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