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土竜のひとりごと

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エッセイです。日々考えること、共有したい笑い話、生徒へのメッセージなどを書き綴っています。
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2021年11月の記事一覧

第193話:高校生に語る情報論

第193話:高校生に語る情報論

※タイトルどおり、国語の授業で情報化に関する評論を読んだとき、併せて生徒に話す内容をちょっとエッセイ風にまとめました。そのつもりでお読みください。

デジタルタトゥー

SNSでトラブルになった経験はないですか?
ネット上にある情報やメッセージの弱点は大きく言って二つ。責任の所在が明確でない匿名性と、紙などに固定されない書き換え可能な情報であることにあります。責任が問われなければ何でも書けますよね

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第206話:堀北真希

第206話:堀北真希

源氏物語の授業では、生徒にドラマ化した際のキャスティングを尋ねることにしている。

「光源氏は誰?」と問うと、あーだ、こーだと名を挙げるが、最近テレビなど見ない僕には所詮わからない。
生徒の意見を無視して「僕だったら福山雅治かなあ」と言うと、案外生徒は「ああ、なるほど」という顔をしている。カッコよくて、ちょっと軟派な男の色気がある。一昔前だったら沢田研二だったかもしれない。

「じゃあ紫の上は?」

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第180話:格助詞の僕とブタの物語

第180話:格助詞の僕とブタの物語

*これは高校生の古典文法の教材とご了解ください。

これは「格助詞って何だかわからない」という生徒の負担感を減らすために、古典の格助詞は現代の用法とほとんど同じで、記憶しなければならないのは現代の用法にない四つだけだということを説明するために、格助詞を用法ごとに僕とブタの物語として現代語に置き換え創作したものです。

お暇であれば、以下、ストーリーのみ流し読みしてください。それなりに感動的な話に仕

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第146話:45歳の新米図書館司書

第146話:45歳の新米図書館司書

40代の後半、4年間、図書館に勤務していたことがあった。

会う人ごとに教師クビになったの?何かしたの?下着でも盗んだ?と怪訝な顔をされたが、悪さをして教員をクビになたわけではなく、初任からいわゆる普通高校で16年過ごした頃、学校や教師というものがよくわからなくなり、違った世界を見てみたくなったのであった。
希望するままに、特別支援学校に3年、定時制高校に3年、行かせてもらい。その後4年間を図書館

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第19話:猫との暮らし:三保編

第19話:猫との暮らし:三保編

猫との縁は深く、子供の頃も、そして今も猫を飼っている。就職したばかりの頃も猫と暮らしていた。と言うより、暮らさなければならない羽目に陥った。

当時勤めていた学校は三保半島の付け根、海まで歩いて一分の所に建っていて、窓から海も見えたし、潮の香りがフワフワと漂っていたりもした。すぐそばの浜は三保半島を一周する大きな石まじりの砂浜で、少し行くと有名な羽衣の松もあった。

なかなか重宝な場所で、授業で短

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第188話:浜崎あゆみ

第188話:浜崎あゆみ

定時制に勤めていた時、教科書ばかりではつまらないので、新聞のコラムや絵本、昔話、日本語のクイズとか、いろんなものを持ってきて授業をした。

大学を目指すわけでも成績が何かの利益になるわけでもなかったので、そのあたりは割と気ままだった。気ままだったというと言葉は悪いが、受験に役に立つ知識みたいなことばっかりやっているより、こちらの方が僕にとっても国語っぽくて楽しかった。

ある時、詩の授業をやろうと

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第11話:すさまじきもの

第11話:すさまじきもの

「すさまじ」は古語で、興ざめ・おもしろくない・白けているなどの意味を表す語だが、清少納言が枕草子の「すさまじきもの」という章段で「これって白けちゃうよね」というミスマッチなものを数多く集めて書いているいる。

例えば、その冒頭はこんな具合である。

以下、冗談半分にそのパロディを作ってみた(中盤は「除目に司得ぬ人の家」に基づいている)。

すさまじきもの。

二日酔いの授業。
100円でない回転寿

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第149話:通勤電車

第149話:通勤電車

電車通勤したことが半年だけある。

朝5:30に起き、6:00に家を出る。20分歩いて1時間20分電車に揺られ、また更に20分歩いて職場に到達する。大変と言えば大変だが、慣れてくるとそれが当然のことであるように体に刻まれてしまうから人間というやつは不思議な生き物である。

朝の電車は大概爆睡しているが、電車が駅に着く直前に必ず目がさめる。時々は発車の笛と同時に飛び降りたりもするが、爆睡していながら

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第161話:心のバランス

第161話:心のバランス

こころのバランス・・などというタイトルを付けながら、テニスの話から書き始めるので自分には関係ないと思われるかもしれないが、少し遠回りをしながら書き始めてみたい。

小心な僕は高校時代、試合でよく上がり、これに苦慮した。どうすれば平常心でプレーできるか、それは技術を磨く以上に重要な課題であり、さまざまに考え、またさまざまに悩んだ。

技術を高め自信を持つとか、常に試合を意識して練習するとか、声を出す

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第204話:身体は人間の特権か、障害か?

第204話:身体は人間の特権か、障害か?

日曜日にふとテレビをつけると報道番組(日テレのバンキシャ)で「分身ロボットカフェDAWN」が採り上げられていて、その内容に衝撃を受けた。

これは、「分身ロボットカフェ」のページにある説明の引用だが、重い障がいを持つ人が自宅にいながら、分身ロボットを遠隔操作することで社会との接点を見出すという取り組みである。2018年に実験的にスタートし、2021年6月に東京・日本橋エリアに常設実験店がオープンさ

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