
あえてメルカリでボサボサの盆栽を買って『体験と学び』を得た話。
先日、月に2回の盆栽教室があったので、気持ちがフレッシュなうちに『学んだ事と、授業を受けて感じた事』を書き残したいと思います。
メルカリで購入した盆栽素材を持ち込んだ。
私が通っている盆栽教室は、わりと自由な所があり、本来予定している授業内容とは別に、自分で仕入れた盆栽を持って行って、先生に指導を仰ぐ事も可能な内容になっています。
そこで今回は、メルカリで買ったボッサボサの『黒松の盆栽』を盆栽教室に持っていき先生に指導を仰ぎました。
そもそもの話になりますが、メルカリでボッサボサの『黒松の盆栽』を買った理由は、自分で手入れしたら、価値を上げる事が出来るのか興味が湧いたからです。
更にどんな期待を持って購入したかお話すると・・・
・実際にどんな盆栽素材が届くのか?
・その盆栽を見て先生は何て言うのか?
・届いた盆栽をどう整えるのか?
・手をかければ良い盆栽になるのか?
以上4つの事が知りたい欲で満たされた私は、メルカリでボッサボサの『黒松の盆栽』を購入しました。
ちなみにこちらがメルカリで購入した時の写真です。

盆栽素材が、届いた時の本音。
メルカリの出品写真で見ると良さそうに見えたので購入したのですが、届いてみると大胆なダンボール梱包に、想像以上にボッサボサの『黒松の盆栽素材』が届きました。
正直、最初見た時は、ちょっと戸惑いましたが、『まぁこんなもんか。』と割り切り、先生の判断を仰ぐことにしました。
こちらが盆栽が届いた時の写真です。
(何が何んだかわからないような大胆な梱包でした。苦笑)

盆栽素材を見た先生の『反応』と『対応』。
盆栽教室にメルカリで買ったボッサボサの『黒松の盆栽素材』を持ち込みました。
本当は2鉢持って行きたかったのですが、短い方の1鉢で我慢しました。
短い方で、高さが30cmほどある中品盆栽と言われる大きさで、大人が1鉢を両手で持つのがやっとの重さなので、盆栽教室についた時は汗だくでした。
早速先生にボッサボサの『黒松の盆栽素材』を見ていただくと、『ん〜なるほど。』と、『特別良いとも思わないが、悪い訳では無い。』と、うんともすんともといった感じの反応が返って来ました。
先生が、『とりあえず今日は、この黒松の盆栽素材を盆栽にする準備をしましょう。』と言う事で、下記の手順で作業をする事になりました。
・①:盆栽の正面と頭(てっぺん)を決める。
・②:いらない枝を切り整える。
・③:土と鉢を入れ替える。
①:盆栽の正面と頭(てっぺん)を決める。
私は先生と一緒に、ボッサボサの『黒松の盆栽素材』をグルグル回したり、下から見たり、上から見たり、斜めにしたりして、正面を決めました。
私がここが正面が良いかも?と思った場所は、先生的に微妙な感じだったので知識が浅い私は、その反応に背くこと無く、先生のオススメの位置で、正面と頭(てっぺん)を決める事にしました。

②:いらない枝を切り整える。
正面が決まった後は、いらない枝を切る事になったのですが、先生の提案で上部の枝をバッサリと切ることになりました。
というのもこの黒松の素材は、既に上部が切断された後があり、そこを残すとみすぼらしいので、いらない枝を切って、上部の幹を『ジン』にして演出しましょうという事になりました。
ちなみに盆栽における『ジン』というのは、枯れた枝や幹の一部を意図的に残して、木の古さや厳しい自然環境での生存を表現する技法のことです。
この『ジン』という技法は、樹木が強風や雷、乾燥などの自然災害によって一部が死んでしまった姿を再現するために使われ、ジンを施すことで、盆栽に自然の過酷な歴史を感じさせる趣が加わり、木が長い年月を経て生き残ったという印象を与えることができるそうです。
こちらが実際のジンづくりの写真です。


削った部分が時間が経つと、白く漂白されたように見えることがあり、これにより生きた部分とのコントラストが強調されるそうです。
写真を後で見返すと、何だかピースをしている風になってしまいましたが、先生は龍の角を意識したと言っていて、確かに龍の横顔に見えてきました。

③:土と鉢を入れ替える。
メルカリで購入した『黒松の盆栽素材』ですが、一体いつから土を変えていないか不明だったので、先生の助言で土も入れ替える事になりました。
土を入れ替えるという事で、もともとあった土を出すのですが、これが想像以上に大変で手を焼きました。
というのも、あまり盆栽に使用しないようなドロドロの土が使用されていた事と、根が想像以上に張り込んでいた点です。
こちらが実際の根の写真です。

こんなに長い根が出てきました。2m以上もありました。

先生に手伝って頂きながら、根を綺麗にして盆栽に適した新しい土を入れました。
私と先生のエプロンは最終的にドロドロになってしまいました。
何と無く『盆栽』っぽくなってきた。
理想を言うと土も綺麗にしたので、黒松自体の形をもっと整えて、綺麗にしたかったのですが、一気に全部やるのではなく、木が土に馴染んで元気になった時に綺麗にした方が良いとアドバイスを受け、今日の盆栽の授業はここまでとなりました。
なので盆栽用の鉢も、仕立て鉢に入れる事になり、また1〜2ヶ月後に鉢を変えて、針金をかけて形を整えるというお話になりました。
こちらが今日の授業で整えた後の『黒松』の写真です。
先生が『せっかくだから』と、教室の床の間を貸してくれ撮影しました。

葉もボサボサで、鉢も綺麗では無いので、まだまだ整える余地が沢山ありますが、『空間優美』を感じ、何となく盆栽っぽくなったような気もします。

この先、盆栽を続けていくときっと『何でこんな形にしたんだ?』『凄い素人っぽい』と思う日が来るかと思います。
ただ、そう思える日が来ると言う事は、成長しているという事だと思うので、これからも先生に盆栽の指導を仰ぎながら、いつか『自分にしか創れない盆栽』が創れる日が訪れ、他者を喜ばす事が出来れば良いなぁと思いました。
その振り返りを大事にするためにも、こうして『今』を残しながらも、意識は『未来』に向けて、日々新しい挑戦をし続ける事が大事であると今日の盆栽の授業を通して改めて再認識をさせられました。
つづく。
この連載について
この連載は、筆者が実際に盆栽教室で『学んだ事』と、毎回の授業で『感じた事』を公開メモとしてnoteに記録しています。
盆栽には、園芸としての魅力以外にも人と人を繋げる魅力があり、盆栽教室で出会った様々な人との出会いも書き残しています。
下記バナーから『盆栽の話』をマガジンとしてまとめて読む事が出来ます。
ぜひお時間ある時に過去の『盆栽の話』もお読み頂けると嬉しく思います。