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『盆栽』を学び、選び、育て始めて生まれた感情。

今回は盆栽教室に、実際に通い始めて『何を学び』『何を感じたか』を書き残したいと思います。

濃厚な盆栽の授業が始まった。

初めての盆栽教室は、2時間では消化しきれないハイカロリーな内容でした。

理由は、前半1時間が盆栽の基礎知識について。
後半1時間がこれから育てたい盆栽を自分で選んで育てる準備をするというプログラムでした。

何がハイカロリーだったかと言うと、まず盆栽の基礎知識の授業がガッツリ学校の講義並みの内容であった事。

そして、実際に育てる盆栽を選定した後に、その日の内に盆栽にハサミを入れた事が自分的には衝撃的でした。

盆栽の基礎知識を知る事で『へー!』と思う事が沢山あり、知的好奇心がくすぐられました。

そして実際に盆栽に触れ、手を加える事で、盆栽には『度胸』が肝心である事も察しました。

盆栽教室で学んだ盆栽基礎知識。

先生に、最初の1時間で先生に教えて頂いた盆栽の簡単な基礎知識を公開メモとしてここに残したいと思います。

①そもそも盆栽とは?

・「盆栽」は「容器に植えられている木」を意味する。
・「盆」は、皿や薄い入れ物を表す。
・「栽」は、植物を表す。
・「盆栽」は、器の上で自然を小さく再現する『園芸芸術』である。


②盆栽の本来の用途。

・盆栽は本来『床間に飾るもの』。
・床間とは、来客をおもてなしする場所で装飾を施す空間。
・なので、盆栽には『正面』がある。
・盆栽で、お客様に対して両手を広げてお辞儀をしている様子を演出する。


③盆栽には表(正面)と裏がある。

・盆栽は表から鑑賞する事を前提としている。
・表は太い幹がしっかりと見える事が重要。
・前はスッキリ、後ろはマントのようにフサフサしているのが理想。
・横から見るとお辞儀をしているように見える。


④盆栽には右流れと左流れがある。

・そもそも樹木には左右どちらかの『流れ』がある。
・盆栽はあえてその流れを”強調”している。
・流れの方向を『効き枝』、その反対を『受け枝』と言う。
・この『効き枝』と『受け枝』で全体のバランスを取る。


⑤鉢との組み合わせが大切

・盆栽は植物と鉢を組み合わせて、風景を表現する。
・植物の形によって鉢も決めなくてはいけない。
・鉢選びも『盆栽』に問われるセンスである。

形小相大(けいしょうそうだい)
・小さな盆栽が自然の雄大な風景を想像させる。


⑥空間を意識する

・樹木を鉢に植えるときは、全体のバランスを意識する。
・樹木の傾きや、枝の強さによって空間を意識する。
・空間を作る事でバランスが良くなり、盆栽を美しく演出できる。

空間有美(くうかんゆうび)
・枝や葉、花などが無い『空間』が全体の風景を形づくる。

他にも、盆栽の管理方法、葉の選定方法、など教えて頂きましたが、上記内容は後日改めて記載させて頂きます。

初めて育てる盆栽選び。

一通りの盆栽の簡単な基礎知識を教えて頂いた後は、盆栽の種類の説明をして頂きました。
そして盆栽教室の敷地内にある、1,000鉢ほどある盆栽の中から、自分がこれから育てていきたい盆栽を、先生と一緒に選定する事になりました。
(この盆栽の種類の説明も、かなりハイカロリーな内容だったので、今回のnoteでは省略してまたの機会に書き残します。)

私がこれから育てていこうと選んだ盆栽は2つでした。

1つは黒松という盆栽の中でも王道の樹木で、失敗しても良いようにと先生の助言もあり、1,500円の苗木のものを選びました。
苗木なのでこれから色々と手を加えて行くので勉強にもなるとの事でした。

初めての『黒松』


そしてもう1つ私が選んだのが、偶然先生の作業デスクの上に置いてあった『杜松(としょう)』という樹木の盆栽でした。

この盆栽は、葉が伸びていて先生が葉の剪定と土の入れ替えをしようと自身のデスクに置いていた盆栽だったのですが、僕はその盆栽の雰囲気が気に入って自分で育ててみる事にしました。

デスク上の『杜松』

この盆栽は『杜松(としょう)』の文人木(ぶんじんぎ)と言われるもので、王道の盆栽とは違い、少し個性的な盆栽との事でした。

先生が文人木(ぶんじんぎ)について説明してくれ、元々は文人好みの樹形というところから文人木と呼ばれるようになったそうです。

文人木(ぶんじんぎ)は、細い幹にわずかに味わいのある曲がつき、枝葉が少なく、無駄なものが削ぎ落とされた自然の姿が人気ではあるが、好き嫌いが分かれる盆栽でもあると教えてくれました。

私は、不思議とこの『杜松(としょう)』の文人木(ぶんじんぎ)が気にいいり、値段は11,000円で1つ目の黒松の約8倍もし、まだ盆栽の事を何も理解していない自分には早いようにも感じましたが、この盆栽を育てる事に決めました。

先生も『直感を大事にした方が良い。』と後押し?営業(笑)?してくれ、こうしてこれから長い年月をかけて人生を供にする盆栽を迎え入れる事となりました。

とにかく手を動かすから始まった。

先生は理論派というより実践派でした。

購入した2つの盆栽を、授業の後半1時間で整えていくのですが、簡単な葉っぱの剪定方法の説明の後は、『はい、ハサミどうぞ。』と先生にハサミを渡され実際に余分な葉を剪定していく事になりました。

正直、『心構えが・・・』とも思いましたが、『失敗なくして成長無し!』と心の中で割り切り、教えてもらった事を見よう見まねで樹木にハサミを入れました。

あっているのか間違っているのか、イマイチ分からず進めていくと、急に手がベトベトしてきました。

『何だこれ?気持ちわる!』と思いその感情を小さく声に出すと、先生が『あ〜それは松ヤニだよ。』と教えてくれました。

『松ヤニ?』野球かハンドボールで聞いた事あるなぁ・・・と思いながらも、植物と対峙するってこういう思いがけない事が色々あるんだろうなと、少しワクワクした気持ちも芽生えました。

その後は、『杜松(としょう)』も先生が葉の剪定を手伝ってくれ『今日の所はこの辺で』と記念すべき1回目の授業が終わりました。

葉を剪定した後の『杜松』

盆栽を持ち帰った家族の反応

盆栽教室が終わり、2つの盆栽を大切に抱えながら、家に帰ると意外なことに妻が喜んでくれました。

私の中では、自分が興味があって勝手に始めた盆栽ですが、その盆栽を見て家族が喜んでくれた事が驚きだったのと、自分自身も嬉しくなりました。

妻に何で喜んでいるのかと聞くと、持ち帰った盆栽が妻が思ってた以上に素敵であった事。
また、リビングに飾るだけでも雰囲気が良く室内にいて自然を感じられる事が良いと話してくれました。

こうして1回目の盆栽教室での授業は、好奇心を満たす2時間となり、家に持ち帰った盆栽も家族が喜んでくれ、盆栽が思わぬセレンディピティ、偶発的な出会いをもたらしてくれました。

つづく

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