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短歌まとめ

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つくった短歌をまとめていきます。
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記事一覧

短歌 #19

花束のように笑ったあの人を思えばコスモスのゆれるゆれる 曇った額をつつくよう 指先が届く…

咲森一紀
2年前
5

短歌 #18

透明で綺麗なものから消えていく君の二酸化炭素になりたい 今はもう会わねば会わねこの間があ…

咲森一紀
3年前
5

短歌 #17

あたたかい夢と見紛う悪夢でも起きているよりマシな気がした 「おかえり」と言えたら やっと/…

咲森一紀
3年前
8

短歌 #16

たおやかな日々に祈りと微笑みを鼻白んでも明日は来るし 誰も僕を知らない場所へ帰るよ、それ…

咲森一紀
3年前
6

短歌 #15

「本当は苦しめたくなど無いけれど」、紙パックのストローを噛む 「吐きそう」で吐けたら楽で…

咲森一紀
3年前
5

短歌 #14

お祭りの屋台で見かけた時にだけ特別そうに買うじゃがバター シャボン玉産み出すみたいに息を…

咲森一紀
3年前
8

短歌 #13

暮れ泥む今はさらわれないままで君の浅瀬で泳いでいたい 永遠の代わりに吹いた口笛に合わせて歌うきみにさよなら 靴底の磨り減りはヒットポイント 新品にして ▼いのちだいじに 吊るされて枯れてゆくのを美だなんて醜いすがたで愛さないで 永遠の代わりに結んだ小指から薬指へと祈りは変わる くらやみで揺れた形を抱きしめてひとつになれるなんて嘘だね ハチ公と仲良くなれても僕はまだ自動改札を泳げない お揃いの色の歯ブラシお互いに違う形で磨いた暮らし 地下街の真上を歩いて人が人の

短歌 #12

炎天で僕と影とが分かたれるこっち見んなよついてくんなよ 二枚組片割れじゃ心許ないよ君の足…

咲森一紀
3年前
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短歌 #11

ちょうどいい形の箱を探しては猫になれずに泣き出している 少しだけ夢になりたい明日の君と夜…

咲森一紀
3年前
7

短歌 #10

踊ろうか朝をはじめるその前にカーテンをひく音でせーので 倒錯の向こう側で手をとって夢を見…

咲森一紀
3年前
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天気予報が連れていく思い出

『あなたを傷つけることで生きていると実感してしまう』風より 『分類すれば嫌われる側で走り…

咲森一紀
3年前
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短歌 #9

雪よりも灰被りが似合うから燃やすんだ全部なくなるまで セールワゴン大安売りの見切り品 愛…

咲森一紀
4年前
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短歌 #8

足跡で辿れるように君の上はらりほろり降り続ける雪 大嫌い 君に言えるこの口が嫌い わたし嫌…

咲森一紀
4年前
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短歌 #7

階段をのぼりきったら地獄行き 春風よりも軽やかに逝く 指先で溶けたミントを舐めてからまだ夏はここにあるって笑って 温かく締めた首元 やんわりと 冬がそこだけ死んでいきます 足元に雨に揺られて水鏡 踏みつけて割る 振り向いて泣く 死にたいと思いながら食う飯に詰まった醜さ 今日も生きてる 温かくして生きててね、心とか 湯冷めする日が来ませんように 降ってくる 空、降ってくる 僕に向け もうここにはいられないらしい おそらくは鏡の中が正直でかくいう僕は嘘にまみれて