短歌 #15


「本当は苦しめたくなど無いけれど」、紙パックのストローを噛む



「吐きそう」で吐けたら楽で 君はまた綺麗なままで「汚れたい」なんて



マフラーが要らない季節がきてこの息苦しさも居場所をなくす



生きたくないって眠る君を抱いて足の指までしっかり食べる



こうこうと漏れるカレーの香りあり壁の向こうで生きてるだれか



散り終えて靴に貼り付く花びらが目についてあぁ爪先が痛い



ままならぬ心に隙間風が吹くさよならがちゃんと言えないばかりに



炭酸の抜けたコーラを飲みきって安定はもう停滞になる



虹型のまぶたをなぞる夢だけはどうか綺麗にありますように



アフリカのゾウが少しのさみしさを噛み締めるとき欠ける満月



引っ越しのチラシをポストに突っ込んで他人の暮らしを少々揺らす



エア磯野!野球しようぜ!晴天の足元今日も概念と僕



ジェンガ もう空っぽになったからふざけた素振りであなたに会いたい


ジェンガ ゆっくりと諦めること 人生は走馬灯がいちばんきれい



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今回は個人的なお気に入りが多いです。比例するように現実と心がめちゃくちゃになっていきます。人生の全部を創作の糧としてしまいがちだけれど、それは自分も他人も、もしかしたらものすごく傷つけてるのかもしれないなぁと思います。

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