短歌 #8
足跡で辿れるように君の上はらりほろり降り続ける雪
大嫌い 君に言えるこの口が嫌い わたし嫌い、全部嫌い
バス停で並んで明日を待っている わたしと昨日と忘れ物
どこまでも私を嫌ってゆくのです 風はナイフで切り刻んで
饒舌な夏を君が黙らせて この話の続きはまた明日
閉じ込める 傷つきたくない逃げたくないその他大勢の泣き言
深夜に作るカップ麺の具になりたい そそそっと居なくなりたい
ぺたぺたと響く足音すこしずつ他人になってゆくんだね、きみ
僕たちは扱いきれない感情を愛することで手懐けてみる
抱き締めるだけじゃ伝わらないから引っ掻く これも祈りと呼んでいいですか
磁石のようにぴったりと相反するふたりS極 近づけなくて
コンパスはあなたの手で狂わせてもう二度と還らずに済むように
眠れない夜にはそっと音楽を 耳に花でも活けておやすみ
ここでない何処かであれば何処でも良い だからずっと何処にも行けない
立ち止まる 電柱すら愛してみたよ 意外と柔らかかったです
ファインダー覗いてみても傾いて 真っ直ぐなんて生きられないさ
雪だった蛇口からひらり滴って 冬と並んで生きて居たり
目覚めたら夢の世界が待ってるさ 枯れた空より綺麗なはずだ
指さして 大小問わず希望は希望 明日が見つからなくても
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さむ~い。大衆酒場の壁に並ぶ品名札の一枚になりたいです。