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コラム・小噺

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夢とうつつと幻のはざま
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#小噺

★コラム・小噺もくじ

納骨堂の犬

神様の木

昔の日記より

盂蘭盆 彼岸と此岸が重なる日

「この世は生きるに値するんだ」

「四畳半の夢」

我が麗しの貴婦人

「ベルゼブブ」「発露しないものはないのと一緒か?」「思い出にできたとき」

「でこぼこキューピーちゃん」「ずいずいずっころばし」

妖力堂

トネガワを読んでいたら凶気の桜になっていた

あなたはそんなにパラソルを振る

キャラクターよもやま話

カンち

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「トラルド」について

「トラルド」について

 小噺です。

「トラルド」は、物描き・島田つきの築き上げた虚構の世界です。

「クロックロの書斎」以外のストーリー群を総称して「トラルド」と呼びます。
 また、シュールブラックギャグ漫画『トラルド』のことでもあります。漫画『トラルド』という名称は、殺伐系猫コンビ「トラ」「ルドルフ」が主人公であることに由来しています。

 ブラックユーモアやダークネスの中で、逆説的にヒューマニズムの追求をしていま

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憂さ晴らし

憂さ晴らし

 小噺です。

 高校生の頃。
 その日は大雨だった。普段は自転車通学だが、母親に車で学校まで送ってもらった。
 帰りには晴れていてホッとした。仕事で迎えに来てもらうことができないので、バスで帰ることにした。
 ワタシはバスが苦手だ。いや、新しいことすべてが苦手だ。
 それまで自転車か汽車しか利用したことがなかったから、ほとんど利用したことがなかった。

 バスに乗る。運転手は人の好さそうな年配の

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ミィくんの分身・・・!?

こんばんは、クロックロだよ。

このあいだ、ボクは遠くに出かけないといけない用事があってね。

月おばさんに我が家とカンちゃんの番を頼んで出かけたんだ。

それから帰ってきたら、月おばさんがおかしなことを言うんだ。

月おばさん「クロックロ、お昼にミィくんが遊びに来たから家にあげたんだけどね」

うん。

月おばさん「ミィくんがずうっと庭のほうばかり見ているの。暑かったからサッシは開け放していて、

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餃子の皮を生で

 小噺です。

 食べてはいけません。

 今日は餃子を作りました。
 揚げ餃子です。
 このときに、餃子の中身を包まずに、皮だけで揚げて煎餅にして食べるとおいしいのです。
 餃子を包みながら、気が付けば私は揚げる前の皮を食べていました。生のままで。
 ……まずかったです。
 あれじゃないですか。ホットケーキとかさ、焼いた後より焼く前のほうがおいしいじゃないですか。
 だから、餃子の皮も、揚げる前

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桜の守人

桜の守人

 小噺です。

 先日の晩、桜を見に行きました。花見も下火になり、人は二組ほどしかいませんでした。

 赤とオレンジのボンボリが灯り、桜を染めて、とても綺麗でした。誰もいない道に、桜とボンボリだけが並んでおり、幻想的でした。少しホラーチックでもありました。このまま進むと、豪華絢爛なお屋敷について、朝になったらあばら家に変貌してた、なんて事態が起こりそうな感じでした。
 何もありませんでしたけれど。

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じつはボク・・・

こんばんは。クロックロだよ。

実はボクは、みんなに隠していたことがあるんだ・・・・

ボク、じつは・・・・

じつは・・・・・・・・

猫じゃなかったんだ!!

カンちゃん「な、なんだって?」

・・・なーんて。

今日はエイプリルフールだよ(^^♪

こういうイベントはちょっとわくわくしていいよね。

今日から新年度。

みんな新しい生活を、満喫してね!

カンちゃんは こねこから ねこに しんかした!

 カンちゃんを森で拾ったのが十月中旬だから、それからもう四ヶ月もすぎたんだ。

 ボクが森でどんぐりを拾っていたら、突然雨が降りだしたんだ。急いで帰ろうと歩いていたら・・・・

「みゃあああああん! みゃああああああん!!」

 どこからかけたたましい子猫の鳴き声が響いてきてね。

 ふっと前を見たら、カンちゃんが座り込んで泣きじゃくっていたんだ。

 今まで誰もいなかったのに、湧いて出たようにい

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カンちゃんのケンカ

 小噺です。

 こんにちは、クロックロだよ。

 今朝はいつものようにカンちゃんは外に遊びに行って、ボクは書斎で書きものをしていたんだ。

 そうしたら、外から、大きな猫の声が……

「みゃああああおおおおう!」

「みゃあああああああああああああおおおおおおおおおおおう!!」

 これは、ケンカだ!

 ミィくんはケンカするような猫じゃないし、知らないオス猫同士がはち合わせてしまったのかな……

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盂蘭盆 彼岸と此岸の重なる日

盂蘭盆 彼岸と此岸の重なる日

 小噺です(ホラー風味)。

 みんなは肝試ししたことある??

 ボクはしたことあるよ。

 お盆、親類の人たちと田舎に帰ったんだけどね。

 そこは漁師町で、泊まった家の前は林と海がずうっと広がっていたよ。昔は時代劇のロケにもよく使われていたというだけあって、本当に風情のある光景だった。

 家の裏のほうに行くと、駅があって、線路を渡ったら、そこからやっと民家が並ぶ町になる。

 法事が終わっ

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昔の日記より

 歯医者で隣の子どもが泣き喚いていました。どうやら虫歯になった乳歯を何本か抜くらしい。

「抜くんでしょ!?」
「抜かないよ」
「抜くって言ってたもん! 抜くんでしょ!? やだやだーっ」
「痛くないから。全然痛くないから」
「抜かないって約束して」
「抜かないと帰れないよ」
「一本だけにして」
「そしたら来週も来ないといけないよ」
「ぐらぐらさせるだけにして」

 …………

「うわあああああああ

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神様の木

神様の木

 小噺です。

 歯医者の帰り。
 いつもは車だけど、久しぶりに歩いて家に帰ってみたよ。
 子どもの頃に歩いた懐かしい道を通ってみたり。

 ボクが子どもの頃に、ボクのお母さんと一緒によくとおった道があったんだ。
 近所のお店に行くために通っていたんだけど、今でも印象に残ってる。

 あたりはうっそうとした森、空気はひやっと冷たくて。
 小さな沼の真ん中に、大きな木が生えているんだ。枝葉を広げた木

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納骨堂の犬

 小噺です。

 ボクの大切な人のお骨が、とあるお寺に納骨されているんだけどね、そこに一匹の大きなコリー犬がいたんだ。

 ボクは小さな小さな子供だったんだけどね、そのコリーにたくさんちょっかいをかけていたんだ。
 触ってもなでても優しく尻尾を振る、本当におとなしいコリーだったんだよ。

 そのお寺には何度も行っていたんだけど、あるとき、お母さんに聞いたんだ。

「あのコリーの背中に乗ってもいい?

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