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ヨーガのお話

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ヨーガで教え継がれているたくさんの知恵を紹介します。 心がちょっと楽になる話。
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記事一覧

過去を受け入れる

過去を受け入れること それは過去の結果を受け入れることを意味します。 今、私の中に湧き起こる怒りや悲しみ それは過去の結果なのです。 それは過去の出来事に根付いているのです。 怒りや悲しみ、憂鬱、そういったものは過去に起因しています。 過去の出来事の記憶、過去の出来事に対する認識 それなしに現れることはありません。 今、私の五感が捉えている情報だけで怒りが勝手に現れることはありません。 私は考えの癖を変えることではなく、 考えの癖を受け入れることに興味があります。 癖を受

心の癖を受け入れる

「自分や他人を非難するのは良くない」 それは頭では分かっています。 ですが私は非難してしまうのです。 どうしたらよいのでしょう? こんな方法があります。 非難してしまう考えを受け入れるのです。 私の考えの癖をまずは受け入れるのです。 怒りんぼの私。 泣き虫の私。 自己非難してばかりの私。 お調子者の私。 世界に対して偏見を持っている私。 私がこれまで何十年もかけて育ててきた考えの癖です。 まさに私の大事な個性です。 その個性を客観視する自分の中の「隙間」を持って、 私の

非難からの解放

他人非難と自己非難、2つの非難を見てみましょう。 怒り、憂鬱、悲しみ、不満のほとんどの問題は過去、 特に私の子供時代に起因します。 両親、兄弟、友達、先生、たくさんの人々からなる社会、状況、出来事に 責任があると思っています。 自分の中にある正当性を盾にして他人を非難します。 「私は正しい、あなたは間違っている」と。 しかし、私はそれを本人に向かって断言できるほどの知識と勇気がないので 言えませんでした。 でも心の中で思っています。 【あなたは間違っている】と。 他人へ

三つのシャーンティ

ヨーガで使われる言葉、サンスクリット語にシャーンティという言葉があります。 調和、平和、落ち着き、などと訳されています。 伝統的なヨーガのクラスではクラスの最初と最後にシャーンティを3回唱えます。 3回にはそれぞれ意味があります。 調和、平和、落ち着きがあって欲しい場所が3ヶ所あるのです。 その3ヶ所に向けてシャーンティがあることを願っているのです。 1ヶ所目は自分の中。 私の中がシャーンティでありますように。 くつろげる体。落ち着いた考え。 ざわざわすることなく集中で

ラクシュミー(富)とは何か?

サンスクリット語にはラクシュミーという言葉があります。 もしかすると富の女神様の名前としてどこかで聞いたことがあるかも知れません。 ラクシュミーの和訳として最もふさわしい言葉として富と訳されています。 ですが、ラクシュミーという言葉が指し示す対象は日本語の富とは異なります。 富のイメージとしては、お金、財産、所有物といったところでしょうか? ラクシュミー、富にはどんなものがあるかみてみましょう。 お金はダナ・ラクシュミー 家族の幸福はグルハ・ラクシュミー 子宝はサンター

感覚器官~五感が捉えるもの~

人間の持つ感覚器官、いわゆる五感。 日常あたりまえのように使っている道具。 生まれた時からずっと一番身近で私が使っている道具。 感覚器官とは何でしょう? 耳。 外の世界の「音」をキャッチして私に知らせてくれるもの。 今、自分のいる空間の広がりを教えてくれるもの。 目を閉じていても、この空間が狭いか、広いか、分かります。 手を叩いてその反射を聞くと分かりやすい。 耳を研ぎ澄ませると、微細な音でも空間が把握できます。 今いる空間はどうですか? 圧迫感のある狭い空間ですか? そ

色って何?~白はほんとに白ですか?~

哲学的に聞こえるかもしれませんが 別に哲学ではありません。 ただのリアリティーの分析です。 色が『色』と認識されるまでのプロセスを分析してみます。 登場するものは ①光源(太陽とか) ②光を反射、もしくは吸収する表面 ③物理的な目 ④かすかな目 ⑤記憶 ⑥考え ⑦デーヴァター えええ?? こんなにある??って思うでしょ? はい、色の認識にはこれだけ必要なのです。 ①が無い状態を想像してみましょう。 つまり光源が届かない場所、夜。 どうですか? 白ってありますか?

ヨーガの意味~聖典における定義~

バガヴァッドギーター2章48節 योगस्थः कुरु कर्माणि सङ्गं त्यक्त्वा धनञ्जय । सिद्ध्यसिद्ध्योः समो भूत्वा समत्वं योग उच्छते ॥४८॥ yogasthaḥ kuru karmāṇi - saṅgaṃ tyaktvā dhanañjaya siddhyasiddhyoḥ samo bhūtvā - samatvaṃ yoga ucchate (2-48) 「ダナンジャヤ(アルジュナ)よ。成

プラーナーヤーマ~呼吸を扱ってみる~

ヨーガの時間においては 呼吸をとても大事に扱います。 動きに合わせて息を吐く。そして、息を吸う。 体を伸ばすとき、後屈するときは、息を吸うと心地よい。 体を縮めるとき、前屈するときは、息を吐くと心地よく体が曲がる。 体の動きと連動するように呼吸も扱う。 シャヴァーサナ(屍のポーズ)の時も 自然呼吸が起こっていることを観察してみる。 ただ座っている時でも 呼吸の観察ができます。 やってみましょう。 息を吸うとき、 鼻から新鮮な空気が入ってきて、 鼻腔、喉、肺へと送

ヨーガの意味~初心者向け~

ヨーガの意味、知っていますか? ヨーガの語源は「yuj」 サンスクリット語の語源というのは そこから派生した単語たちに共通する、 基本的なニュアンスを持つ「音」です。 で、yujはどんなニュアンスを持っているかというと、 「つなぐ」という意味を含み持つ音。 では、何とつなぐのか? 「本当の私」。 本当の私、という言い方からすると 本当じゃない私がいるということ。 普段私達は、私の中にある色々なものを「私」と呼んでしまうので、 私という言葉が示す対象がたくさん出てきて

瞑想している人の思考状態~バガヴァッドギーター解説~

バガヴァッドギーター6章19節 यथा दीपो निवातस्थो नेङ्गते सोपमा स्मृता । योगिनो यतचित्तस्य युञ्जतो योगमात्मनः ॥१९॥ yathā dīpo nivātasthaḥ - neṅgate sopamā smṛtā yogino yatacittasya - yuñjato yogamātmanaḥ (6-19) 「風から守られたランプの火が揺らがない。自身に熟考するヨーギーの落ち着いた考えはちょうど

自分の役割~バガヴァッドギーター解説~

バガヴァッドギーター3章35節 श्रेयान्स्वधर्मो विगुणः परधर्मात्स्वनुष्ठितात् । स्वधर्मे निधनं श्रेयः परधर्मो भयावहः ॥३५॥ śreyānsvadharmo viguṇaḥ - paradharmātsvanuṣṭhitāt svadharme nidhanaṃ śreyaḥ - paradharmo bhayāvahaḥ (3-35) 「パラダルマ(他の人のすべきこと)を上手に行うより、

バガヴァッドギーター全和訳完了!

いやー、やっぱり大変でした。 着手前の記事はこちら。 マハーバーラタの途中に出てくる重要な場面なので 飛ばすわけにもいかない。 でも私自身もまだギーターの勉強途中の身。 自分の和訳(サンスクリット語→日本語訳)は適切なのか? 誤解を招かないか? で、出した結論は、 『ルー語』的和訳。(あれ? もう古いかしら?) 「さあ、みんなトゥギャザーしようぜ!」みたいなやつ。 例えば「together」の適切な和訳がいつでも「一緒に」ではないとしたら、 前後関係によってはスムーズで

いよいよバガヴァッドギーター!

マハーバーラタをnoteで書き始めてもう五ヶ月以上経ちました。 全10章のうち、5章まで完成。つまりやっと半分。 当初は1日1話のペースで進めていましたが、 最近はちょっとスローダウン。 6章に入り、バガヴァッドギーターに着手しました。 この部分はマハーバーラタの中で最も重要とされる話です。 クリシュナがアルジュナにヨーガとモークシャの知識を語ります。 ここは特に聖典として扱われ、世界中で学ばれている大切な教えです。 バガヴァッドギーター、和訳すると「バガヴァーンの詩」 バ