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ヨーガのお話

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ヨーガで教え継がれているたくさんの知恵を紹介します。 心がちょっと楽になる話。
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記事一覧

感覚器官~五感が捉えるもの~

人間の持つ感覚器官、いわゆる五感。 日常あたりまえのように使っている道具。 生まれた時からずっと一番身近で私が使っている道具。 感覚器官とは何でしょう? 耳。 外の世界の「音」をキャッチして私に知らせてくれるもの。 今、自分のいる空間の広がりを教えてくれるもの。 目を閉じていても、この空間が狭いか、広いか、分かります。 手を叩いてその反射を聞くと分かりやすい。 耳を研ぎ澄ませると、微細な音でも空間が把握できます。 今いる空間はどうですか? 圧迫感のある狭い空間ですか? そ

色って何?~白はほんとに白ですか?~

哲学的に聞こえるかもしれませんが 別に哲学ではありません。 ただのリアリティーの分析です。 色が『色』と認識されるまでのプロセスを分析してみます。 登場するものは ①光源(太陽とか) ②光を反射、もしくは吸収する表面 ③物理的な目 ④かすかな目 ⑤記憶 ⑥考え ⑦デーヴァター えええ?? こんなにある??って思うでしょ? はい、色の認識にはこれだけ必要なのです。 ①が無い状態を想像してみましょう。 つまり光源が届かない場所、夜。 どうですか? 白ってありますか?

ヨーガの意味~聖典における定義~

バガヴァッドギーター2章48節 योगस्थः कुरु कर्माणि सङ्गं त्यक्त्वा धनञ्जय । सिद्ध्यसिद्ध्योः समो भूत्वा समत्वं योग उच्छते ॥४८॥ yogasthaḥ kuru karmāṇi - saṅgaṃ tyaktvā dhanañjaya siddhyasiddhyoḥ samo bhūtvā - samatvaṃ yoga ucchate (2-48) 「ダナンジャヤ(アルジュナ)よ。成

プラーナーヤーマ~呼吸を扱ってみる~

ヨーガの時間においては 呼吸をとても大事に扱います。 動きに合わせて息を吐く。そして、息を吸う。 体を伸ばすとき、後屈するときは、息を吸うと心地よい。 体を縮めるとき、前屈するときは、息を吐くと心地よく体が曲がる。 体の動きと連動するように呼吸も扱う。 シャヴァーサナ(屍のポーズ)の時も 自然呼吸が起こっていることを観察してみる。 ただ座っている時でも 呼吸の観察ができます。 やってみましょう。 息を吸うとき、 鼻から新鮮な空気が入ってきて、 鼻腔、喉、肺へと送

ヨーガの意味~初心者向け~

ヨーガの意味、知っていますか? ヨーガの語源は「yuj」 サンスクリット語の語源というのは そこから派生した単語たちに共通する、 基本的なニュアンスを持つ「音」です。 で、yujはどんなニュアンスを持っているかというと、 「つなぐ」という意味を含み持つ音。 では、何とつなぐのか? 「本当の私」。 本当の私、という言い方からすると 本当じゃない私がいるということ。 普段私達は、私の中にある色々なものを「私」と呼んでしまうので、 私という言葉が示す対象がたくさん出てきて

瞑想している人の思考状態~バガヴァッドギーター解説~

バガヴァッドギーター6章19節 यथा दीपो निवातस्थो नेङ्गते सोपमा स्मृता । योगिनो यतचित्तस्य युञ्जतो योगमात्मनः ॥१९॥ yathā dīpo nivātasthaḥ - neṅgate sopamā smṛtā yogino yatacittasya - yuñjato yogamātmanaḥ (6-19) 「風から守られたランプの火が揺らがない。自身に熟考するヨーギーの落ち着いた考えはちょうど

自分の役割~バガヴァッドギーター解説~

バガヴァッドギーター3章35節 श्रेयान्स्वधर्मो विगुणः परधर्मात्स्वनुष्ठितात् । स्वधर्मे निधनं श्रेयः परधर्मो भयावहः ॥३५॥ śreyānsvadharmo viguṇaḥ - paradharmātsvanuṣṭhitāt svadharme nidhanaṃ śreyaḥ - paradharmo bhayāvahaḥ (3-35) 「パラダルマ(他の人のすべきこと)を上手に行うより、

バガヴァッドギーター全和訳完了!

いやー、やっぱり大変でした。 着手前の記事はこちら。 マハーバーラタの途中に出てくる重要な場面なので 飛ばすわけにもいかない。 でも私自身もまだギーターの勉強途中の身。 自分の和訳(サンスクリット語→日本語訳)は適切なのか? 誤解を招かないか? で、出した結論は、 『ルー語』的和訳。(あれ? もう古いかしら?) 「さあ、みんなトゥギャザーしようぜ!」みたいなやつ。 例えば「together」の適切な和訳がいつでも「一緒に」ではないとしたら、 前後関係によってはスムーズで

いよいよバガヴァッドギーター!

マハーバーラタをnoteで書き始めてもう五ヶ月以上経ちました。 全10章のうち、5章まで完成。つまりやっと半分。 当初は1日1話のペースで進めていましたが、 最近はちょっとスローダウン。 6章に入り、バガヴァッドギーターに着手しました。 この部分はマハーバーラタの中で最も重要とされる話です。 クリシュナがアルジュナにヨーガとモークシャの知識を語ります。 ここは特に聖典として扱われ、世界中で学ばれている大切な教えです。 バガヴァッドギーター、和訳すると「バガヴァーンの詩」 バ

マハーバーラタ100話突破!

ぽちぽち書き綴っておりますマハーバーラタ。 当初の勢いほどではないですが続けています。 そして100話まで到達。 ですが、まだ半分にも達していないという事実。 全10章を予定していますが、まだ4章。 さすがマハーバーラタ。長い。。。 バガヴァッドギーター、大戦争、ヴィシュヌサハスラナーマ、 そして驚きの最後の結末。 全て後半のお楽しみです。 私も楽しみ。読んで頂いている皆様もお楽しみに。 ぼちぼち、まだ続けます。

バガヴァッドギーターの心理学

バガヴァッドギーター2章62-63節 ध्यायतो विषयान्पुंसः सङ्गस्तेषूपजायते । सङ्गात् सञ्जायते कामः कामात् क्रोधोऽभिजायते ॥६२॥ dhyāyato viṣayānpuṃsaḥ - saṅgasteṣūpajāyate saṅgāt sañjāyate kāmaḥ - kāmāt krodho’bhijāyate (2-62) क्रोधाद्भवति सम्मोहः सम्मोहात् स्

世界が回るのか、自分が回るのか(哲学的な話と体調不良的な話)

数日前までの話。 体調不良で咳をしすぎてしまって三半規管がおかしくなったのか、 頭を動かすとめまいがした。 最高39.4℃まで熱が出た。 2日間は昼間もずっと何もせずにひたすら寝込んだ。 もうだいぶ良くなってきたので めまいを何度も繰り返していたときに考えていたことを 書き残してみる。 めまいを起こすと、 世界が回る。 いや、世界は回っていない。 回っているのは私。 いやいや、私は回っていない。 回っているのは、、、なんだろう。実際には何も回っていない。 では何が回っ