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映画『ルックバック』感想―汝ら呪われし者、祝福されし者

映画『ルックバック』感想―汝ら呪われし者、祝福されし者

殺意の影

『ルックバック』を観に行った。
頭がくわんくわんして考えがまとまらず、雑すぎる感想を書き殴って澄ましていたが、もう一度観て確認したかったのである。

自分が何をそこまで、衝撃に感じたのか。
原作を知らず予備知識なしに観た初回と比して、今回は原作漫画を読了後にして2度目の視聴である。
幾らかでも本作の分析が叶うのかどうか。
要は頭が混乱したままなのが嫌なので、自分の中でどうにかオチをつけ

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ルックバック、もう一回観たい〜!

今話題のアニメ映画『ルックバック』、友人に誘われて観てきました。
背景がすんばらしく美しくて、完成度の高さに圧倒されました。
音楽を含めて、演出の素晴らしさに打たれまくりです。
目を見開いて固まったまま、没頭してしまった!
以下は簡単に気づいたことを。

藤野のある種イタイ言動と、京本の純粋すぎる言動のコントラストが際立つ
二人の出会いはかなり気まずいものだった。
その後、京本が藤野の部屋で漫画を

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愛を知る男、甘利田幸男。

愛を知る男、甘利田幸男。

ウェーイ夏休みだ!
というわけでもないのですが、連休をもらったので数年ぶりに映画を観てきました。
給食にすべてを賭けている教師・甘利田幸男(市原隼人)のコメディです。
なんでこの映画を知ったかというと、咳の発作がひどくて休んでいるときに、テレビをつけっぱなしにしていたらCMが目に入ってきたのです。
発作が激しくて周りに迷惑かけちゃうから、どこにも行けなかった時期です。咳き込むので、ご飯もうまく食べ

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宇和ゴールドが、旨すぎる。

宇和ゴールドが、旨すぎる。

毎晩食後に宇和ゴールドを食べている。
最近まで知らなかった柑橘だ。
せとかや甘平や美味しい柑橘はいろいろあるんだけど、今の病みつきは宇和ゴールドだ。
河内晩柑やジューシィオレンジなど、呼び名はいくつもあるようだ。
和製グレープフルーツと評判を聞いて、多分好きなやつと思ったけれど、ほんとうにオイシイ!
苦味やえぐみは少なくて、めちゃくちゃにジューシィだ。
果肉はプルプルしていて、生命あるゼリーみたい

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いのちを描く。創り出す。

いのちを描く。創り出す。

待ち焦がれていた、深堀隆介展の前日。
私は伊之助くん状態になっていました。
仕事をかき分けてもりもりと突き進んだ先に、不意にぽっかりと休日が降ってきたのです。
…んあ? 明日っから深堀隆介展じゃねーか!
そんなことぁ、ずいぶん前からわかってたことだぜ!
単に、考える時間がなかっただけだぜ!
フンスフンス! 行くぜ行くぜ!
こんだけ楽しみにさせてもらったんだ。先生に手土産の一つや二つ持ってったって、

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幻想の金魚たち

幻想の金魚たち

しばらく前から、見に行きたいなーと思っている展覧会がある。

つけっぱなしのテレビから流れてきた映像を見て、この方の作品に釘付けになった。
樹脂に描かれている平面のはずの金魚が立体で浮かびあがり、生きているように見える! のだ。
あまりに生き生きしているので、一体どうやったらそんな作品が創り出せるのか気になりすぎて、インタビューの動画を観た。
結論として、
・金魚1尾1尾に人格があるような扱い方を

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殺戮の女神から聖母へ―きのうマリンチェだった、わたしへ

殺戮の女神から聖母へ―きのうマリンチェだった、わたしへ

瞳には星のかがやき、くちびるには歌。
甘く軽やかな「少女」という語感と、相反する存在としてその者は生まれた。
瞳には暗い憎しみ。くちびるには呪詛。

…はやく殺して、はやく。
一日でもはやく、わたしを。世界を。

世界の終焉を、焼けつくようにねがっていた。

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悪魔のように長く伸びる自分の影を、狂い踊りながら踏みつけた。
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川原泉さんの漫画が、大好きです。

川原泉さんの漫画が、大好きです。

私は『中国の壺』が特に好きです。
コメディタッチですがほろりと哀しく、悠久を思わせる詩的な余韻がなんともいえません。
自己の存在を肯定できない人物の、心理的なパラドクスを描いたサスペンス、『Intolerance――あるいは暮林助教授の逆説』。
働く動物と人間たちの関係を通して、ジェンダー問題と弱者の尊厳の核心を見事に捉えた『ブレーメンII』。
ああ、でも『架空の森』も大好きですし、挙げてもきりが

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詩うようにプレイする。疲れた時はコレ! Monument Valley モニュメントバレー

詩うようにプレイする。疲れた時はコレ! Monument Valley モニュメントバレー

『Monument Valley モニュメントバレー』というパズル系ゲームが好きで、時々やっています。
こちらの紹介記事が詳しいかも。
友人から教えられて知ったのですが、シンプルなポリゴンで構成された世界観が素晴らしく美しいのです。
こんなゲームがあるんだ! と衝撃でした。
夢の世界をそのまま取り出したような、神秘的でやわらかな色合いです。
物言わぬ姫「アイダ」の小さなキャラクターを操って、騙し絵

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