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幻想の金魚たち

しばらく前から、見に行きたいなーと思っている展覧会がある。

つけっぱなしのテレビから流れてきた映像を見て、この方の作品に釘付けになった。
樹脂に描かれている平面のはずの金魚が立体で浮かびあがり、生きているように見える! のだ。
あまりに生き生きしているので、一体どうやったらそんな作品が創り出せるのか気になりすぎて、インタビューの動画を観た。
結論として、
・金魚1尾1尾に人格があるような扱い方をしている。
・実際には描かれない前後の動きや、一連の流れを想定する。描くときは、その中の一部を切り取るように描いている。
・水の渦や流れも、「どうなりたいか」対象物に訊ねるようにして描いている。
ざっくり過ぎる要約で申し訳ないけれど、こんな感じだった。
どうりで! 生きているように描けるはずだ。
この方の作品を、目の前で見られたら楽しいだろうと思う。
同時に、自分も生きているように鮮やかな作品を作りたいと願う。
仕事も日常生活も、それなりに?? なんとかなってはいるけれど。
生きている感じが一番ハッキリするのは、モノを作っているときだから。
作品の中に、生きていたい。
これを書くために生きてきたのだと、腑に落ち驚きながら目を開く瞬間に、何度でも出会いたい。
スキをたくさんもらおうとは、思わない。
受けようとは思わない。
売れようとは思わない。
そんなに何でもかんでも、育った環境さえ違う人に、都合よく理解してもらえるはずがない。
だから、自分自身がわかっていればいい。
細胞が賦活する瞬間の記憶を、腹の底に持っていればいい。
毎日少しずつ、死んでゆく。
そんなにも長く残されてはいない年月に、忙殺される。
樹脂の中に、魂を埋めたい。
あちら側の世界に、浸りたい。
魚に、なりたい。
水に、なりたい。
人間以外の、なにかになりたい。
酸欠の金魚のように、口を開けてはパクパクパク。
日々に幻想をもとめている。
忙しさに振り回されて流されるだけでは、自分のやりたいことなんて実現できるはずがない。
いつまで経っても、いくつになっても。
金魚の夢から、目を覚ませ!
酸素はもう、残り少ない。汚れた水を、直視したまえ。
………………。

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