反応しない練習 草薙龍瞬
人間関係で、嫌な思いをした。
それを相手に伝えることもできず、かと言って自分の中で消化もしきれず、ついには左の顔面がピクピク痙攣するようになり、これはまずいと思った。
仕事のストレスが限界に来ていた時と同じ症状である。「少し」嫌なことでも繰り返し思い出していると、いつの間にか「大きな」負担となってしまうようだ。
人間関係でのストレスというのは、大なり小なり誰もが抱えているありふれた問題かもしれない。そういう人っているよね、という一言で済ませてしまいがちなことでもある。
どうにかできたらどうにかするけれど、糸口が見つからない。
そんな時、ふと目に止まった本。
反応しない練習
あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」
草薙龍瞬
超・合理的な「考え方」
この言葉にものすごく心惹かれたのである。
ブッダは超合理的な考え方の持ち主
この本で紹介されているのは宗教としての仏教ではなく、ブッダの説いた思考法についてである。
これまでも何冊かブッダの教えについて書かれた本を読んできているのだが、この本は読みやすく、うっかり忘れてしまっていた「道」について思い出させてくれた。
ブッダの教えとは、宗教そのものではなく人生を歩む上での道標、考え方の一つであるとも言える。
あらゆる苦しみ、悩みにどう対処していくかの、超合理的な考え方なのである。
心の掃除の仕方、と言ってもいいかもしれない。
この本を読んでいると「では、仏教って一体何…?」という別次元の疑問が浮かんくるのだがそれはまたさておき、この「考え方」は知っておいて損はない。
苦悩から自由になる、心の掃除方法
誰でも悩みや苦しみから解放されたい。
そう思った時に、あなたはどんな行動を取るだろうか。
遊んだり趣味で気を紛らわす?誰かに愚痴る?
体を動かして忘れようとする?お酒を飲んで記憶そのものを飛ばそうとする?
どの行動も苦悩の根源から一時的に離れているだけで、解決方法とは言えない。
ブッダ式の解決方法は、苦しみを根本から見つめ直す、というもの。こうして書くと更なる苦しみを伴いそうにも思うが、その逆だ。
手のひらに痛いを感じたら、なぜ痛いのだろうと確認する。
原因が棘であると分かったら、その棘を抜こうとするのが普通だ。
肉体的な苦痛も、精神的な苦痛も、同じである。
心に引っかかっている苦しみの本質を見極め、それを取り除く。
その取り除き方を教えてくれるのが、ブッタの超・合理的な思考法なのである。
これまでの自分を見つめ直す、という本ではない。
今ある苦しみに対しどう対処するか、という思考法ももちろん書かれているが、そもそもなぜ苦しんでしまうのか?という根本的な部分を知ることによって、苦しみを抱え込まない思考回路を作っていくための本だと私は思った。
ブッダ式思考法の究極、それが「反応しない」ことなのである。
人生は修行
人生欲深く生きることも楽しいかもしれない。けれど、それによって苦しんだり何かを失うようであっては「幸せ」からは遠ざかってしまうのではないだろうか。
今の自分が十分「心満たされている」「足りている」と思える状態こそが幸せなのではないだろうか。そんな人生にしていくためには、心の掃除方法、片付け方法を知っておいた方が良い。無駄なものは心に入れず、入ってきてしまった不要な感情は外に出す。苦しみとの付き合い方を知っているのと知らないのとでは、その後の人生が大きく変わるのではないだろうか。
人生は修行だ。その修行は、苦しみを取り除くためのものである。
必要以上に物事を考えたり、心を反応させてしまうことで、自分自身を傷つけてはいないだろうか。不必要な反応をして、過剰に感情を揺さぶってはいないだろうか。
ふと立ち止まって、自分の心の反応をじっと見つめてみる。
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