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SatoshiIwasa
2023年3月31日 08:53
りんかくが、尽きたところから、肺が、うまれたのかもしれず、まだ分裂の途中で、穀物袋を、抱えようとするから、宿命のように、咽にへばりつく痰が物語、かもしれないと思う間に唾液で、ながしこまれると身体の、中で子音だけがひびく気胸の、痛みにかわっていく。冷たい、と初めて感じた、記憶のことを、話したくて自分にも白骨が、あると自覚したそんな夜の、月の、感じで胎児、という個人的な、地図がいづれ刃物に、かわり力尽
2023年4月1日 10:35
これは、前奏。そっと鍵盤にそえる指。牧師の手の甲は、いとも簡単な月のようだった。毛筆のような遠視の伯母が訪ねてくる。脳裏によるしなやかな手紙をたずさえて。家族のなかだけの言葉をつかい、リッタイテキな本棚を何個もつくるように言った。伯母がねむるとき、夏の頸動脈が深淵な川に到着する。その先で白紙に並べられた数式は、水脈のようにみえた。一斉に、蝶々結び、できるだろうか。図工が苦手な人たちとともに高山植物
2023年4月3日 15:55
鬼百合は、寓話になることに夢中だった一本の植物は宇宙に虹が出るかを考えている。恋人のアキレス腱と同じ受動態で、それを描くことを想いながら。落書の臓器をもたない蛙が、手足を一本一本投げ棄てながら産卵する。その蛙の粗い呼吸の分だけひろがる湖面に、春になったら猛禽類を排泄したいと。球根植物は、暴力のあと何が残るか知っていたその後、美しく涙を流しました。静電気に触れるとよく記憶喪失に陥り、忘れ
2023年3月30日 11:09
外の大雨をみながら、川魚を丁寧に食べる人のことを、恋人といった。それは記号であり、血より具体的だった。宗教のことは自分のほうが知っている、という恋人の話にうなずいて、お互い愛するようになった。肺呼吸が結晶化しはじめることがある。すると恋人の口癖は、酸素の色をした魚にかわり、このあたりの水域でみられなくなるのではないかと思った。 葦は、戦争の数だけはえていると知った。恋人の通う大
2023年3月29日 19:18
夕暮れの、三叉路の先に絵画教室が聳えていて、残光のような少年の姉が、感受性ってこの血管のことだと思うよ、と言いながら静脈の、蒼白さを反射させてみせた。少年は、理想の耽美派を間近にして、回想の中で川遊びの主語を省いていく。絵日記の宿題に、頓服薬の紙袋を描かなければならなかった記憶。少年の、喘息の喉と、まだ柔らかい耳の骨。絵筆は少年の鞄のなかで、孤独な森林であり続けた。そして瑞々しい木々は裸足で歩き、
2023年3月23日 16:46
蜃気楼が、忘れ去られた沼の底で孤独に堪えて、渡鳥の脚に続いている頃に、直線的に排尿したあとの言葉が、水面を吹き抜けていく吃音の風になる。その島の広葉樹のたしかなにおいを、羊のように豊かな感受性が探すことがあった。砂浜に残した足跡から記憶の音が聞こえてくる。離島を書かなければならない深夜は、二つ以上の身体が必要となった後、汗ばんだ指先の感覚だけで、島民による絶え間ない営為をあらわしてみたくなる。小さ
2023年3月10日 09:38
兄妹妹の、遺骨を目指していた。かつて戦争を望み追放された兄は朽ち果てたのち、純粋な精神にまで分解されながらも、羊歯植物をとおして、その茎を伸ばした。読書をする妹のための、指の骨を探しながら植物の、地下でもおこなわれる呼気。殺人を犯そうとするものの側でも食事をとり、無関心に喪失した主格で、死に続ける喜びを、生きたまま知ることができるかわからなかった。もはや、幻想の妹よ。妹が亡びていたとしても兄は
2023年2月23日 21:59
手紙に手紙を書きたくなる秋に癒着する水のこの温度ではわたしから脱皮した皮膚はとけない汽水にすむ二枚貝は明け方の亡骸を咥えて肥るというのに吐息がまだ散文とはほど遠い時間自分の身体もこの土の重力につづいているのだろうか葉のこすれる音がしなければ静けさがどこから来たのかすらおもうことはなかった林道をあるいた記憶を栞にして野鳥が力尽きている様子が物語の二連目から書き出される
2022年4月22日 12:33
ぱーと1も、読んでね❤ぱーと3は、来月あたりに公開予定です。5篇くらい?🐧