マガジンのカバー画像

英語

97
本とか映画とかHR/HMとかレトロゲームとか。
運営しているクリエイター

#読書

垂涎【自動詞】Water

垂涎【自動詞】Water

宮崎駿監督最新作『君たちはどう生きるか』に影響を与えたと言われる児童小説より。

異世界に迷い込んで冒険中のハラペコ少年が、白雪姫の家でウサギの丸焼きの匂いを嗅いだ場面です。

この water は「〔食べ物によって口に〕よだれがたまる」(英辞郎)という意味の自動詞で、「〔目が〕涙を流す」という用法も紹介されています。

昔から違和感があります。

唾液や涙に「水」と同じ単語を使うとは。アングロ・

もっとみる
二十の顔を持つ【名詞 】mosquito

二十の顔を持つ【名詞 】mosquito

この本によると、19世紀初頭に北米大陸を横断した探検家のルイスは、その日誌で mosquito を25回も間違えて musquetoe と綴り、相棒のクラークはさらに独創的で、mesquetors, misqutr, musquetors など、少なくとも20種類の誤った綴り方で記していたそうです。(p.114)

これほど身近な生き物について、なぜこんなにも間違えたのでしょうか?日本人が間違えて

もっとみる
ガチョウが墓の上を歩く goose walked on my grave

ガチョウが墓の上を歩く goose walked on my grave

ドラマにもなったダーク・ファンタジー超大作の第7巻より。

命の危険を犯して裏切り者を探すシーエインが、友人に秘密を打ち明けた後で、その親友が裏切り者だったかもしれない可能性に気づき、慄然とする場面です。

おもしろいたとえだと思って調べてみたら、作者オリジナルではなく、18世紀ごろからある表現のようです。

goose は goosebumps (鳥肌)からの連想で、もともとは「誰かが自分の墓の

もっとみる
【ことわざ】ギャシン・ショーターン!

【ことわざ】ギャシン・ショーターン!

突然必殺技みたいなフレーズが聞こえてきたのでびっくりしました。

太平洋戦争開戦前夜、木戸孝允が近衛文麿に語ったとされる「臥薪嘗胆」を、トークバックで読み上げさせたら、標題のような感じに聞こえてきたわけです。

ゴーリキ・ショーライ!みたいで、かっこいいです。

他にも 「ゲコクジョー」とか、「キヨミズ・テンプルのベランダから目をつむってジャンピング」とか、真面目な話なだけに妙なおかしみがあります

もっとみる
【名詞】animal≠動物

【名詞】animal≠動物

この animal とはもちろん馬のことだが、時々見かけるこの用法は、日本語の「動物」にはないものだ。

日本語なら例えば、「馬はかしこい動物だ」とは言うし、「オグリキャップはかしこい馬だ」とも言うが、「オグリキャップはかしこい動物だ」とはふつう言わない。

日本語では、特定の動物を「動物」とは言うが、特定の個体を「動物」とは言わないらしい。

しかし英語では言う。日本語では「動物」とは「馬」の上

もっとみる
行方不明【他動詞】spirit

行方不明【他動詞】spirit

太平洋戦争開戦前夜、アメリカとの最後の交渉に望みを託し、急遽優秀な外交官来栖三郎をワシントンに派遣することになった場面である。

spirit を動詞として使うのは珍しいなと思って調べてみると、他動詞として「〔~を〕急いでひそかに運ぶ[運搬する]、誘拐する」(英辞郎)の意味があるという。

なるほど。国粋主義者の暗殺を懸念して、密かに日本を脱出させなくてはならなかったのだ。

ここたピンときた。『

もっとみる
ふつうの人【表現】put one's pants on one leg at a time

ふつうの人【表現】put one's pants on one leg at a time

put one's pants on one leg at a time とは、「ふつうの人である」という意味で、1930年代にテキサスから全国に広まった決まり文句だという説がある。

確かにどんな人でも、王様でもアスリートでも小学生でもテロリストでも、ズボンを履く時は片足ずつ履く。おもしろい表現だ。

しかし本当だろうか?もしかして無重力空間では両足同時に履く宇宙飛行士もいるのではないか。床に置

もっとみる