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小説感想

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記事一覧

「文学に選ばれる」とは何なのか&自分を選んだ文学たち、自分を選ばなかった文学たちについて。

「文学に選ばれる」とは何なのか&自分を選んだ文学たち、自分を選ばなかった文学たちについて。

 書評家の人の「あなたがたは文学から選ばれてませんから」というポストが話題を呼んでいるのを見かけたのでその話。
(背景や経緯はおいておいて)この言い方で人に言うのはどうかなと思う一方で、言わんとしていること自体はわかる(たぶん)

 初読で「よくわからない、つまらない」と思った作品を再度読んで「こういう作品だったのか」「凄い」と思った経験がある人は、「作品に対して読み手(自分)が足りていなかった」

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仙人になろうとして死んだ「項羽と劉邦」の張良をきっかけに、道教に興味を持った。

仙人になろうとして死んだ「項羽と劉邦」の張良をきっかけに、道教に興味を持った。

 この前、ブログで道教の概略をまとめた本を読んだ感想を書いた。

 道教に興味を持ったのは、司馬遼太郎の「項羽と劉邦」の中に出てくる張良が仙人になろうとして死んだというエピソードを読んだことがきっかけだ(以下史実ではなく小説「項羽と劉邦」の話)

 それまで道教は老荘思想を研究したり信奉したりするものと思っていて、神仙術や健康法なども含まれたかなり幅が広い分野だということを知らなかったのだ。

 

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ン十年ぶりに「雲のように風のように」(原作「後宮小説」)を観て、クオリティの高さにビビる。

ン十年ぶりに「雲のように風のように」(原作「後宮小説」)を観て、クオリティの高さにビビる。

 年末年始YouTubeで無料配信されていた「雲のように風のように」をン十年ぶりに観た。
 見始めてまずアニメとしてのクオリティの高さにビビった。これが35年前の作品とは……信じられん。

 原作の「後宮小説」が架空史の色合いが強いのに対して、アニメは原作を土台にしながら銀河の成長譚に焦点を絞った造りになっている。
 テーマを変えているので、設定も筋もほぼ同じながらストーリーとしては別物と言ってい

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【推しの子】と同じ「個人の内部に生成された因果律(運命の輪)に、周りが巻き込まれる話」について語りたい。

【推しの子】と同じ「個人の内部に生成された因果律(運命の輪)に、周りが巻き込まれる話」について語りたい。

※前提として、自分は【推しの子】を「吾郎の罪悪感によって形成されている因果律(運命)によって生成された話」と考えている。
 詳しくは下記参照↓

「個人の内部の因果律(運命の輪)に周りが巻き込まれる話」とは何か。
 ある特定の人物(主人公が多い)の内部にある問題が解決するまでは、「その問題が生み出す因果律」によって同じことが運命として何度も繰り返される話である。
 別の言い方をすると、「逃げ出して

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「公正世界仮説」に反する物語が好き。

「公正世界仮説」に反する物語が好き。

 先日、高橋ツトム「ブルーヘヴン」が好きだという記事を書いた。
 上の記事には入れられなかった好きな理由のひとつが「『公正世界仮説』に反する原理が働いているから」だ。

 盛龍たちが乗る漂流船を見つけた時、ブルーヘヴンの社長と船長は「救助すべきか否か」で揉める。

 社運を賭けた豪華クルーズ船の航行中に、漂流船の救助などしていられない、身元不明の人間を乗せるわけにもいかない、人道など知ったことでは

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コーマック・マッカーシーの「平原の町」がブロマンスであることに、今さら気付いた。

コーマック・マッカーシーの「平原の町」がブロマンスであることに、今さら気付いた。

↑の記事でホームズとワトソンは「凄く仲良く育った兄弟が、そのまま大人になった」「阿吽の呼吸があり、それに甘えることが出来る関係」に見えると書いたが、「よく考えたら、それはブロマンスではないか」と気付いた(遅い)

「ブロマンス」は日本のBLの一ジャンルとして生まれた造語かと思っていたが、

調べたら、英語圏でBLとは関わりなく生まれた語らしい。

 言われてみれば「スタンド・バイ・ミー」のクリスと

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「シャーロック・ホームズ」を原文(英語)で読んで、ホームズの可愛さに今さら気付く。

「シャーロック・ホームズ」を原文(英語)で読んで、ホームズの可愛さに今さら気付く。

 英語の勉強がてら、「シャーロック・ホームズの冒険」を原文で読んでいる。
「英語でもスラスラ読めるぞ」というわけではなく、知らない単語を調べれば意味が取れる程度だ。
 載っている話が「赤毛連盟」「まだらのひも」「唇のねじれた男」「ブナの木屋敷」と超有名どころばかりで、だいたい何の話をしているのかわかっていることも大きい。

 ネイティヴの知り合いがいないので細かいニュアンスはわからないけど、英語で

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「俺が本気を出せば」という脳内妄想によって、坂道を転げ落ちるように悪人になってしまう。そんなしょうもない自分も時々許したくなる。

「俺が本気を出せば」という脳内妄想によって、坂道を転げ落ちるように悪人になってしまう。そんなしょうもない自分も時々許したくなる。

 久しぶりに「郵便配達は二度ベルを鳴らす」を読んだ。
 十代後半の時にハマって何度も読んだ。当時のミステリーのベストはこれか「八百万の死にざま」である。

「郵便配達は二度ベルを鳴らす」は文体がハードボイルド、内容はノワールである。

 主人公のフランクは若くて様子が良くてちょっと悪ぶっているから女にモテる。要領がいいから大抵の場所で一目置かれたり、重宝がられてうまくやっていける。
 だが一か所に

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創作は、自分の思考の枠組みに作品を押し込めるのではなく、作品に自分の思考の枠組みを合わせたほうが楽しく読める。

創作は、自分の思考の枠組みに作品を押し込めるのではなく、作品に自分の思考の枠組みを合わせたほうが楽しく読める。

 創作は自由に読んでいいと思う。
 だが前提が足りていないと「読めない」のではと思っている。

 以前「『金田一少年の事件簿』を読んで、『高校生がこんなに殺人事件に遭遇するわけないだろ』というツッコミは感想なのか」という話をした。
 先日、それに近い「何周目の話題だろう」と思う話を見かけた。

 新本格の草分けのひとつである「十角館の殺人」の冒頭で、登場人物の一人がその話をしている。

 トリック

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「大造じいさんとガン」のストーリー解釈と「タニシを集める養女の夢設定」への感想を語りたい。

「大造じいさんとガン」のストーリー解釈と「タニシを集める養女の夢設定」への感想を語りたい。

 めっちゃなつかしい。
 自分もこの話が凄く好きで「今まで勉強した国語の教科書の物語の中からひとつを選んで、絵を描きなさい」という課題で、残雪とハヤブサの戦いのシーンを描いた。
「残雪」という名前に、当時から「カッコよ」と痺れていた。リアル中二になる前から厨二だったのだ。
という思い入れがある話なので、思い出しついでに自分の解釈を話したい。

※解釈違いが許せる人だけ読んで下さい。

 自分の記憶

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「社会に依拠せず、自分が世界とどう対峙するか」を語っているコーマック・マッカーシーの作品が大好きだ。

 黒原敏行がマッカーシーの作家性だけではなく、作品一冊ごとに話をしている。こ、これは贅沢すぎる。

 記事の終盤で黒原敏行がこう語っているように、マッカーシーの作品の特徴は、社会がほぼ機能していない、ゆえに自己がむき出しのまま世界と直で対峙する(せざるえない)ところにある。
 今の時代だと「自己を抑圧するもの」として捉えられることが多いけれど、社会は「脆弱な自己を守る鎧」でもある。
 共同体の内部

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「風よあらしよ」の感想。「悪者になってはならない」は女性にとっては、もはや呪いに近いのではないか。

「風よあらしよ」の感想。「悪者になってはならない」は女性にとっては、もはや呪いに近いのではないか。

 野枝が大杉栄と出会うまでは凄く良かった。
 子供時代、十代の野枝はとても魅力的だ。
 何としても学校に行き勉強がしたい、このまま田舎の片隅で平穏に暮らす一生で終わりたくない、世の中が見たい、自分の力を試したい。
「風やあらしは強ければ強いほど、それに立ち向かえる」
 野心と克己心、上昇志向、自分の可能性を追求したいという情熱と渇望、その反動としての焦燥と鬱屈がこれでもかと伝わってくる。

 自分

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【「マヴァール年代記」キャラ語り】冷酷なマキャベリスト・ヴェンツェルの魅力に、今さら気付く。

 ン十年ぶりに読み直して、「マヴァール年代記」は心理小説だったことに気付いて衝撃を受けた。
 その続き。

 今回読み直して、ストーリーと同じように、ヴェンツェルというキャラも子供のころとはまったく違う風に感じられて驚いた。
 びっくりするくらいヴェンツェルを好きになった。
 子供の時は「アルスラーン戦記」のナルサスに近いタイプに感じられて、どちらかと言うと苦手だった。
 今読むと、少なくともナル

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「マヴァール年代記」が田中芳樹の最高傑作である理由を、今から1万1500文字かけて語ります。

「マヴァール年代記」が田中芳樹の最高傑作である理由を、今から1万1500文字かけて語ります。

◆ン十年ぶりに読んだ「マヴァール年代記」が余りに面白すぎて興奮が治まらない。

 田中芳樹の作品の中でも一、二を争うくらい好きな「マヴァール年代記」をン十年ぶりに読んだ。
 もの凄く面白かった。読んでいるあいだ、興奮して立ったり座ったり部屋の中をうろうろしたりしていた(面白い作品に出会うと挙動不審になる)
 十代の時にこの作品に出会って何十回と読んでいるが、今までこの話の面白さを何もわかっていなか

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