さいとう

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    タヌキとウサギのよしなしごと

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    私の日常です。

最近の記事

砂粒

予定をすっぽかした 通勤時間の人の波がおちついて お昼ごろにまた寄せてくる その間の時間帯 ゆるりとホームに滑り込んできた電車は 食べかけのお弁当箱を覗いた時ほどの乗車率 その箱の ちょうど鮭が存在していたであろうスペースに座った 玉子焼きでもいい 海に行きたいと思った 裸足になり波打ち際に立つ 寄せてきた波に満たされた瞬間 足の指の隙間から壊れながら すぐに海水から手放されてゆくのを感じたかった 足元から体が冷え始める頃 このまま波に連れていかれたい気持ちをなにかに包ん

    • あるカタチのドライブデート

      平日の日中、多くの人がそうするように、同居人も仕事に出かける。 彼と私は、それぞれに障害をかかえていることもあり、社会人として外で働くには弱くて柔らかい。 外で働くには弱くて柔らかいについて少し補足すると、私の感覚では、疲れやすいうえ疲れがたまると鬱っぽくなりやすいように思っている。 そんなこともあり、朝の身支度を済ませた彼を見送る際、疲れた顔をしていたり、当日の天気が雨だったりしたとき、私の都合さえ悪くなければ仕事終わりの彼を車で迎えに行くことにしている。 少しでも通勤の負

      • ふたつ、ひとつ、ふたつ

        朝食を終えると同居人は煙草を吸う。 その間に食後の食器を片付け、コーヒーを用意するのが私の日課だ。 マグカップはお揃いではない。 ひとつは、二年前のクリスマスにリクエストを受けて贈ったSnow Peakのマグカップ。 彼は、朝からキンキンに冷えたコーヒーを飲みたがるので、たっぷりの氷の上から熱々の液体を注ぐ。 ステンレスの中で氷がカラカラと鳴ると、コーヒーの香りも相まってほんの少し頭が冴える気がする。 煙草を終えて戻ってきたタイミングで飲むこともあれば、出かける直前に飲んでい

        • ある朝を丁寧に

          カーテンの隙間から、部屋の中よりほんの少し明るい光が入る時刻に目を覚ますと、つい今見た夢が頭の中から消えかかりながら、おぼろげに今日が始まる。 窓を開けると、夜中の間に吐き出した重たいものが、ひんやりと新しい空気と入れ替わって清々しい。 寝室を出るとはじめにコーヒーを淹れる。 コポコポと音を立てながら、部屋を香りで包んでくれるので、適度な刺激がまだ眠っていた細胞を徐々に起こしてくれる。 平日の朝食はコーンフレークと決めている。 トーストを焼いていた時期もあったのだけれど、毎日

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        記事

          お米に惚れなおした話

          気づけばnoteを1年以上書いていなかったことが判明しました。お久しぶりです。さいとう(@saito_desu_maru)です。 私事ですが、つい先日結婚いたしました。へへ というのをきっかけに、お米との生活が一変しましたので、今回は「お米と私」というのをテーマに記事を書いていきたいと思います! お米と私の距離感疎遠期 3年前、私は唐突にダイエットをする気になり「医師が教える ダイエット 最強の教科書」という本を購入しました。 本の内容はさておき、読了後の私にとって、糖質

          お米に惚れなおした話

          謎の頭痛の原因探し

          (解決したので末尾に記載しました。) 昔から頭痛持ちでした。 いつから毎日頭痛がしていたのか知らないくらい昔から。 中学生の頃は偏頭痛が激しくてよく倒れていました。 この「倒れていた」とは、本当に意識を失って崩れ落ちるという意味の「倒れる」です。 当時の頭痛のサインは、目の前にチカチカしたものが出始めて、だんだんそれが広がっていくという典型的な偏頭痛の症状。 チカチカが出てくる日は、気づけば吐くほどの頭痛がやってくる。 恐怖でした。 でも、わかりやすい偏頭痛は20歳く

          謎の頭痛の原因探し

          手料理をおいしいと言って食べてもらおうじゃないか

          唐突ですが、料理をつくるのが好きです! とくにクリスマスにはおいしい手料理を作って、あたたかい時間を過ごすのが幸せです。 以前は実家の両親+1匹のワンコと過ごしたクリスマス、昨年は引っ越してからはじめてのクリスマスということで、同居人と時間をともにしました。 秋頃から体調を崩してしまい、手料理はローストチキンとサラダのみと、全力投球できませんでしたがおいしくできて満足。 なにより、おいしそうに食べてくれる人がいるのはありがたいことです。 20代の頃は、「クリスマスは豪華

          手料理をおいしいと言って食べてもらおうじゃないか

          猫のいる暮らし ―京都市まちねこ活動支援事業

          私が京都へ引っ越してきたのは2022年2月のこと。 不動産屋めぐりもそれほどせずに、立地やサイズに惹かれてほぼ即決で決めたこの家を、今ではとても気に入っています。 今回は、その理由の一つである、可愛い猫たちに囲まれた幸せな暮らしについて、ちょこっと書いてみようと思います。 初めて猫の存在に気づいたのは、契約に向けた取り交わしが進みはじめ、あらためてもう一度家を見に行こうと敷地内を訪れた日のこと。 エントランスを通り抜ける際ふと見上げると、塀の上に猫がいることに気がつきました

          猫のいる暮らし ―京都市まちねこ活動支援事業

          鬱の時やってよかったこと

          双極性障害と診断されたのはもう10年以上前のこと。 これまで何度も鬱の波を経験してきましたが、鬱になるといつも無心でやってしまうことがあります。 それはお菓子づくり。 どうして鬱になるとお菓子をつくりたくなるのか、いつも不思議に思いますが、結果的にはいいことがたくさんありました。 たとえば……… 手順どおりやれば上手くいく 段階ごとに小さな達成感が積み上げられる(生クリームが角が立つくらい泡立てられた!など) こねる、まぜる、並べるなど無心でできる工程が多い 全部

          鬱の時やってよかったこと

          話さないコミュニケーション_2

          必要以上に日々に追われることのないよう、全力で走らないように気をつけているさいとう(@saito_desu_maru)です。 こちらの記事は、以前4seasonさん(@route0477)さんとの往復書簡をした際書いた、以下の記事をシリーズ化しようと思い書いております。 今回の話さないコミュニケーションは、お互いを労うスキンシップです。 足湯!!! 足湯なんて、自分でやったって気持ちよいのですが、リラクゼーションサロン大好きな私は、サロンの方が気持ちよく足湯をしてくれ

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          眠れない夜に花を買う

          家庭菜園歴3年の私ですが、お花はラベンダーとネモフィラしか育てたことがありません。 ぼんやりと夜を過ごしていたら、お友だちからのメッセージが届く。 見ると、薔薇栽培のお誘いだった。 私は2月に京都に引っ越してきたばかりなのだけど、新しい家には小さな小さなお庭がある。 あれ?花育ててみてもいいんじゃない? やってみるか 薔薇には全く詳しくないのだけど、可愛い写真を集めてお友だちに送りまくっていたら、耐病性など詳しく調べてくれて、あっという間にうちの子になる可愛い薔薇ちゃん

          眠れない夜に花を買う

          雨で流れるから全部大丈夫

          「泣ける人がうらやましい」と言われることがある。 私は箸が転んでも泣くタイプの人間です。 映画や音楽ではもちろん号泣。 シルク・ドゥ・ソレイユのオープニング3秒で泣きました。 ありもしないことを妄想して涙が止まりません。 通勤電車ではなにも起こらなくても泣きます。 そんなふうに、泣くことが趣味のような私がおすすめする泣き方は「窓越しの雨の冷たさと音」で泣くやつ。 なんだか心地いい泣き方なのでおすすめです。 #雨の日をたのしく

          雨で流れるから全部大丈夫

          話さないコミュニケーション

          長い長い空白の時間に、なにかを詰め込むように生きています、さいとう(@saito_desu_maru)です。 今回の記事は、4seasonさん(@route0477)との公開交換日記、第2回、それぞれ5記事ずつ全10記事でお送りするはじめの記事です。 (以下4seasonさん=ふぉーさん) 第1回目、全6記事は、わりと自己紹介的に進んだかなと思っております。 お時間がある方は見ていただけたらうれしいです。 今回はどんなやり取りができるかな、楽しみです。

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          デミグラスハンバーグとにんじんのグラッセ

          デミグラスハンバーグが大好きだ。 なのに ハンバーグの横についてくるにんじんのグラッセが大嫌いだ。 大人になって、鶏レバーを食べながらお酒が飲めるようになった。 子どもの頃、晩ごはんにレバーがでる夜があんなに憂鬱だったのに。 今では焼き鳥屋さんのレバーが私の好きな物の上位。 これはビールのおかげか、焼き鳥屋さんの味を覚えたからなのか。 でも残念ながら、にんじんを好きになる日はやってこない。 おいしいハンバーグプレートをつくってくれる洋食屋さん、にんじんが苦手だなんて言

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