砂粒
予定をすっぽかした
通勤時間の人の波がおちついて
お昼ごろにまた寄せてくる
その間の時間帯
ゆるりとホームに滑り込んできた電車は
食べかけのお弁当箱を覗いた時ほどの乗車率
その箱の
ちょうど鮭が存在していたであろうスペースに座った
玉子焼きでもいい
海に行きたいと思った
裸足になり波打ち際に立つ
寄せてきた波に満たされた瞬間
足の指の隙間から壊れながら
すぐに海水から手放されてゆくのを感じたかった
足元から体が冷え始める頃
このまま波に連れていかれたい気持ちをなにかに包んで
砂浜をあとにする
いくら拭いてもまとわりついている砂が愛おしい
下り電車が郊外にさしかかり
お弁当箱も残りわずかになった頃には
なにもかもが面倒くさくなった
現実の範囲の中で
小さく
小さく
繰り返せばいつかはね
どこかへ
行けるだろうか
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