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ふたつ、ひとつ、ふたつ

朝食を終えると同居人は煙草を吸う。
その間に食後の食器を片付け、コーヒーを用意するのが私の日課だ。
マグカップはお揃いではない。
ひとつは、二年前のクリスマスにリクエストを受けて贈ったSnow Peakのマグカップ。
彼は、朝からキンキンに冷えたコーヒーを飲みたがるので、たっぷりの氷の上から熱々の液体を注ぐ。
ステンレスの中で氷がカラカラと鳴ると、コーヒーの香りも相まってほんの少し頭が冴える気がする。
煙草を終えて戻ってきたタイミングで飲むこともあれば、出かける直前に飲んでいることもある。
もうひとつは、友人が私宛に贈ってくれた、深い緑の小さなカップ。
私は、そこに注いだ熱いコーヒーを一口ずつ時間をかけて飲んでいく。
見た目にもあたたかみのある陶器の縁は、マグカップにしては厚みがあり、それでいて唇へのあたりがやわらかく、もう長いこと私のお気に入りだ。
こうしてほかのやらなければならないことの合間に、それぞれが好きなタイミングで、好きなようにコーヒーを飲む。
朝食のときとは違い、一緒のようで別々の時間を過ごしている。
それでも、この小さな家の中で流れる時間はダイニングテーブルを中心に、お互いを尊重しながらもひとつにまとまったり、あるときはふたつに戻ったりしながら、落ちてゆく木の葉が絡まるように、ひらひらと流れていく。


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